銀座の人気イタリアン・レストラン「アロマフレスカ」の原田慎次シェフに教えていただく、お家イタリアンが「本格シェフ」の味になるコツ。3回目は、新鮮なハーブを使った「ボウルパスタ」をご紹介します。
原田シェフが料理を提供する上でもっとも大事にしているものは、素材が放つフレッシュな香り。店名の「アロマフレスカ」は“さわやかで新鮮な香り”という意味で、その香りをお客さまに届けたいという思いからきています。原田さんの料理にとって、香り引き立つフレッシュなハーブは欠かせない存在なのです。
キッチンでハーブの鉢植え栽培をしよう!
ハーブの栽培は広い庭がないと……と考えている人が多いかも知れませんが、実は陽があたればキッチンでも、ハーブを栽培することは充分可能。お家イタリアンに1番活躍するのが「バジル」と「イタリアンパセリ」です。バジルは40以上もの種類がありますが、一般的といわれる「スイートバジル」は見た目もかわいくて、料理に使いやすいそうです。また栄養価が高いことでも知られている「イタリアンパセリ」は、仕上げにさらっと添えるだけで、見た目も一気に格上げされます。調理中にすぐ手の届くところにあると、とっても便利です。とりわけ「鉢植えからちぎった、“とれたてハーブ”を使うと格別に味が良くなる!」そうです。ただし、この「バジル」と「イタリアンパセリ」は葉っぱも柔らかく、ややデリケートな植物。初心者なら、種ではなく苗から育てるのがおすすめです。
では、「とれたてハーブ」の旨味を存分に引き出したレシピを原田シェフに教えていただきましょう。
新鮮ハーブをどっさり使った、ボウルで作る簡単パスタ
原田シェフが提案する本格お家イタリアン「トマトとフレッシュハーブのスパゲティ」は、自身が本場イタリアの知人の家で食べたパスタがベースとなっています。裏庭に生えていたローズマリー、セージ、バジリコ、イタリアンパセリをたっぷりと摘んできて、そのままザク切りに。ボウルに入れたゆでたパスタとトマト、にんにく、オリーブオイル、唐辛子にそれらを一緒に混ぜて、最後にパルメザンチーズをかけるだけというシンプルパスタ。とても簡単なのに、とれたてのフレッシュハーブの良さが引き立っていて、感激してしまったのだそうです。
ポイントは「新鮮なハーブをどっさり入れること」と、必ず「ボウルで混ぜる」こと。火を使わない分、余分な熱が加わらないので、フレッシュさが失われません。熱々じゃないということさえ除けば、パスタを作るのにボウルは、ほぼパーフェクトな調理器具。実は、イタリア人はそもそも熱々のものを好まず、少し冷めているぐらいが味がわかってちょうどいいという嗜好。細かいことを気にしない、そして豪快。この新鮮ハーブをどっさり使ったボウルパスタは、まさにイタリア人らしいスピリッツが受け継がれたような1品です。鮮やかなハーブの緑が目にも涼しげで、夏にもぴったりです。
毎日を素敵に変える、フレッシュハーブに囲まれた暮らし
キッチンに陽があたるのであれば、ぜひフレッシュハーブに囲まれた生活をして欲しいという原田さん。健やかな日射しで、すくすくと育つ新鮮なハーブの香りに包まれたキッチンは、とてもヘルシーな気分になります。そして、窓際に並ぶたくさんのグリーンたちは、素敵なインテリアとしても一役買ってくれます。もし、たくさん育ってしまったら、フレッシュ・ハーブティーとして楽しむのもおすすめ。また、キッチンに紐で結んでつるしておけば、自然乾燥して乾燥ハーブに。さらに長く使うことができます。
ハーブの鉢植え栽培がもたらしてくれるものは、まさに、自然のものを上手に取り入れた暮らし。緑あふれるキッチンで心豊かに料理を楽しむことも、プロのシェフの味に近づくエッセンスなのかもしれません。
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原田慎次(はらだ・しんじ)
1969年生まれ。六本木「ヂーノ」で修行を積み、青山「ジリオーラ」で4年間シェフを務める。1998年、広尾に「アロマフレスカ」を開店。現在は銀座に移転し、野菜を中心としたヘルシー料理で予約が殺到する人気店に。斬新かつ繊細な現代イタリアンは、高く評価され、ミシュランガイドで2008年から現在まで連続で星を獲得している。
2016年1月に発表された『アロマフレスカ直伝 おいしさに差がつく! イタリアンのコツ60』(講談社)は、「簡単で、おいしいパスタ、イタリアンが家で食べられたら……」という声に答えた1冊。ボウルであえるだけのパスタや、鍋ひとつでできる簡単リゾット、焼くだけのメイン料理など手軽で本格派なレシピが、美味しさのコツとともにラインナップされている。