夏本番を迎え、猛暑に疲れた身体や気分を癒してくれるのが、花や植物の存在です。野の草花を楽しむブーケアレンジや、風情のある日本特有の園芸品など、ボタニカルな涼を生活に取り入れてはいかがでしょう。
今回は、夏に涼しげな癒しを届ける、洋と和の草花アレンジをご紹介します。
緑に癒される「KUSAKANMURI」のサマーブーケアレンジ
野原に広がる緑の植物を主役に、白い花を組み合わせたアレンジを特徴とするのが、フラワーショップ「KUSAKANMURI」のブーケアレンジです。店先を飾るのも白と緑の草花だけ。緑の野で白い花を摘むようにという思いを届けています。例えば「潮風のサマーリース」は、グリーンのあじさいをベースに青々とした実や多肉をあしらったフレッシュリースです。ポイントに入れた小さな貝がらが、潮風やさざ波をイメージさせてくれます。
潮風のサマーリース
「真夏のハーブブーケ」は太陽の光をふんだんに浴びたグリーンに、夏を代表するハーブ、バジルやミントをたっぷりあしらい、初夏から開花するケイトウやクレマチスシードなどを添えた、香り豊かなブーケです。爽やかな香りが心と身体を元気にしてくれます。
真夏のハーブブーケ
そして、かすみ草と夏の初めにかわいい花を咲かせるマトリカリアをあしらい、ミントのさわやかな香りも楽しめる「ミントが香るサマーブーケ」は、夏の食卓にぴったりですね。
ミントが香るサマーブーケ
「KUSAKANMURI」の店先に並ぶ緑と白の草花たち。花の色がたとえ白だけでも、周りを包むグリーンの存在で表情が無限に変わる、そんな自然が見せてくれるボタニカルなマジックを体験できます。
KUSAKANMURIの店内
夏の涼のインテリア、「釣りしのぶ」で楽しむ和の風情
竹などの芯に山苔を巻き、シダ科の植物「しのぶ草」を植えたものが「釣りしのぶ」です。江戸中期頃、庭師がお中元として得意先のお屋敷に配ったのが始まりと言われる園芸文化です。瑞々しく涼し気な姿は、特に夏に人気を呼び、明治以降は広く庶民にも愛されるようになりました。
現在、「釣りしのぶ」は東京都江戸川区無形文化財に指定されていますが、制作を手掛ける「釣りしのぶ萬園」の深野晃正さんは、伝統を大切にしながら、独自の「釣りしのぶ」作りも行っています。従来の丸型のものや、木材を組み合わせた枡型のもの、漢字の「井」をイメージした井型のものなど。深野さんは形や素材を選べるようにすることで、より多くの人にその魅力を伝え、楽しんでもらいたいと考えています。
釣りしのぶ
枡型釣りしのぶ
和の風情で夏を涼しくする「釣りしのぶ」は、それだけを飾っても緑が目を楽しませてくれますが、風鈴を下げたりすると、目と耳の両方で夏らしさを感じさせてくれます。
井型釣りしのぶと風鈴
「釣りしのぶ」に使われるしのぶ草は、枯れにくく育てやすいため、水やりや置き場所に注意すれば、四季を通して長く楽しむことができます。夏は直射日光が当たる場所は避け、日陰に置くようにしましょう。強い夏の太陽による葉焼けに注意が必要です。シダ科の植物は高温多湿を好む性質があります。特に春先から夏場は成長期ですので、水をたっぷりとあげるようにしましょう。春から初夏に初々しい緑の芽吹きが始まり、夏に葉が茂って涼感に溢れてきます。中には紅葉する種類もあるので、自然界の四季の移ろいをそのまま感じることができます。
夏の草原に広がる草花や、森の中で静かに揺れる緑の植物たち。そんな自然の風景を思わせる瑞々しい緑を飾って、夏ならではのグリーンライフを楽しんではいかがでしょう。
TOKYO FM
「ONE MORNING」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。
また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送している
ノエビア「Color of Life」。 8月8日は、歌人の俵万智さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。
KUSAKANMURI
東京都渋谷区恵比寿西1-16-4
www.kusakanmuri.com
釣りしのぶ 萬園
東京都江戸川区松島1丁目32番11号