小さな鉢で育った植物を手のひらに乗せて楽しむことができるミニ盆栽。小さい中に自然そのものの景色が広がり、眺めても、触れて手入れすることでも癒しを感じさせてくれます。普通の盆栽は敷居が高くて、という方でも手軽に始めることができ、植物を育てる喜びを四季を通じて味わうことができます。
今回のハーバルライフは、手軽にそして身近に自然や緑とのふれあいを楽しむことができる、ミニ盆栽の魅力をご紹介します。
ミニ盆栽の魅力と四季の楽しみ方
毎年5月の第2土曜日は世界盆栽の日として知られ、緑が萌える5月は、盆栽がより魅力的な姿を見せる季節です。その盆栽の魅力をよりおしゃれに、簡単に味わえるのがミニ盆栽です。小さな植物たちは置き場所も選ばず、鉢選びや飾り方も自由ですが、その中には日本独自の自然観もしっかり広がっています。それは、盆栽が自然界の植物と同じように、四季の移ろいとともに生きているから。小さいながらも冬の厳しい寒さを耐えて春を迎え、時に花を咲かせ実を付けるミニ盆栽は、鉢の中で「四季の物語」を奏でています。
盆栽といえば松をイメージする方も多いと思いますが、ミニ盆栽として楽しめる花や植物はたくさんあります。春は、小さい薄紅色の花をたくさん楽しめるアサヒヤマザクラや、ピンクや白など豊富な色の小さな花を咲かせるミニバラ。夏は、涼やかな緑の陰を落とすケヤキやブナ。秋は、1年を通じて異なる表情を楽しめるもみじにカエデや、実がみのるヒメリンゴ。そして、冬は、華麗なツバキの花やナンテンなど。ミニ盆栽は長く育てても小さいままですが、1年、2年と経つうちに風情が生まれ、より愛着のある深い存在となってゆきます。
(左)アサヒヤマザクラ (右)ミニバラ
(左)ケヤキ (右)ブナ
(左)カエデ (右)ヒメリンゴ
(左)ツバキ (右)ナンテン
ミニ盆栽の飾り方と育て方
小さな鉢の中でも、しっかり丈夫に育つミニ盆栽。盆栽は鉢の大きさに合わせて成長するため、葉や枝もコンパクトな姿を保ち続けます。鉢の大きさとのバランスを考え、伸びすぎた枝や茂った葉は剪定するようにしましょう。剪定に適した時期は春か秋。上の枝から下の枝の順に伸びすぎた枝を剪定すると、バランスよく形が整い、風通しも良くなります。
モミジ剪定前
モミジ剪定後
また、小さな鉢や容器も豊富に揃っていますので、お部屋や好みに合わせて選ぶ楽しみも生まれます。小さな鉢は置き場所も選ばず、違う種類のミニ盆栽をお皿にいろいろ乗せたり、棚に並べて楽しむなど、自由なアレンジや楽しみ方が可能です。
ミニ盆栽のお皿アレンジ
ミニ盆栽は、小さくても生きている植物。できるだけ風や光のあたるベランダなどの屋外に置きましょう。ただし、鉢が小さいので土が乾きやすいため、普段は1日1、2回、夏場には少し多めの回数、水をしっかりかけましょう。ゴールデンウィークなど、時間がゆったり取れる時期に、じっくりミニ盆栽と向き合って、身近に自然や緑とのふれあいを楽しんではいかがでしょう。
TOKYO FM
「ONE MORNING」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。
また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送している
ノエビア「Color of Life」。 5月2日は、女優の松下由樹さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。
取材協力 橋口リカ
盆栽家。(株)Soboku代表。盆栽家の祖父と父の影響を受けて、盆栽に親しみ、銀座「野の花 司」などの盆栽教室の講師などを務め独立。自然の樹形にこだわった新しい盆栽の手法を提案している。著書は『四季を楽しむミニ盆栽』(家の光協会)など。
『四季を楽しむミニ盆栽』(家の光協会) 橋口リカ