大学受験の必需品「赤本」の歴史とは? 出版社代表の上原寿明さんが登場
- 2024/08/04
世界思想社教学社の上原寿明さんをお迎えして
今回は、大学入試過去問題集の代名詞でもある「赤本」を出版する京都の出版社・世界思想社教学社から社長の上原寿明さんをお迎えしました。
小山「懐かしいですね!」
宇賀「誰もが知っている赤本ですが、正式名称は合っているんですか?」
上原「いいえ、本当は『大学入試シリーズ』という名前で、長いので社内では“大入”と略して呼んでいます」
小山「社内では誰も赤本とは呼ばないんですね。誰が言い始めたんですか?」
上原「発刊して10年ほどは赤色ではなかったんです。だんだん点数が増えまして、100点くらいになった時に仕様を統一しようということで朱色にしました」
小山「なぜ朱色になったんですか?」
上原「いちばん目立つ色は赤か黄色で、頭に残るらしいんですけど、うちはその中間で朱色かな、となったようです」
宇賀「遠くから見てもわかりますもんね」
小山「発刊はいつ頃なんですか?」
上原「1954年ですから、70年前になりますね」
小山「その時から大学別だったんですか?」
上原「そうですね、数は少なかったんですけども京都、大阪の大学を出しました」
小山「出版社が京都にあるんですよね」
上原「東京は遅れて始まりまして」
小山「最初は京都大学とか?」
上原「ではここで、赤本クイズ! 創刊当初は、何校の赤本があったでしょうか?」
小山「2校?」
宇賀「70年前ですよね……京大、阪大?」
小山「私立もありましたか? 同志社、関西大学……生徒数が多いところじゃないと売れないわけだから」
宇賀「近大とか?」
小山「じゃあ、5校!」
上原「当たりです。ただ、中身が違います(笑)。京都大学、同志社大学、立命館大学、大阪市立大学、それから神戸大学」
小山「阪大は入っていないんですね」
上原「なぜか入らなかったですね」
小山「これは誰が選んだんですか?」
上原「記録には残っていないんですけども、創業者の部下の方が考えたと聞いています」
宇賀「いまは全部で何校分作っていらっしゃるんですか?」
上原「今年ですけれども、374大学。点数では556点」
宇賀「全体の大学のうちの何%なんですか?」
上原「大学は800ほどあるので50%弱になりますけど、志願者数を合計しますと90%を超えます。小さい規模の大学もたくさん他にあるということですね」
宇賀「今日は実際に赤本をお持ちいただいているんですよね。見せていただいてもいいですか?」
小山「しかも、我々が受験した年の赤本ですよね」
上原「83年の日芸に、2005年の立教の社会ですね」
宇賀「懐かしい! いま解けるかな……」
小山「これ、昔は問題ばっかりに気を取られていましたけど、大学案内の就職先とか、こういうの面白いですね」
宇賀「なんかぞわぞわしてきた。受験時代を思い出して胸が苦しくなってきた……(笑)」
上原「ここで赤本クイズ! 赤本の出版月はいつでしょう?」
小山「早まっている気がするから、受験が終わった直後じゃないですか? 4月?」
宇賀「ある程度、基礎の勉強をしてから赤本を解くイメージなんですよね。早めに慣れすぎちゃうとよくない気がするから……夏くらいじゃないですか? 6月、7月とか」
小山「じゃあ僕はね、8月」
上原「これは大学によって違うんですけども、いちばん最初に出す大学は5月に出します。それから10月までかけて順次、半年かけて作るという感じになります」
宇賀「早い大学と遅い大学は何か違いがあるんですか?」
上原「早くから勉強しないといけない大学ですね」
小山「難しい大学の方が早い?」
上原「志望が決まるのも早いので、皆さん4月から欲しいとおっしゃるんですけど、難しいので5月ですね」
小山「読者の方、学生さんからいろんなお手紙も来るんじゃないですか?」
上原「合格体験記を読んで非常に励まされてよかったというお手紙を受けたことがありまして。その手紙がすごく上手で、翌年、合格体験記をお願いしました」
宇賀「ありましたよね。私も読んで励みにしていました」
上原「先輩の言葉は重いというか、同じ経験をされた方の言葉ですので。その方は、そのあとご縁がありまして、当社に入社しました。いまは編集の仕事をしています」
宇賀「すごい!」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、今日は『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
上原「私が生まれた街の書店の店主、7代目平野惣吉さんです」
小山「京都ですか?」
上原「徳島なんですけども、古い紙屋さんが6代目から本屋さんを始めまして、私が子どもの頃に7代目の方がやっておられて。その時の思いを書いてみました」
上原さんから平野惣吉さんへ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(8月11日まで聴取可能)
宇賀「上原さんのこれからの夢はなんですか?」
上原「いま、全国の書店が次々と減っている状況がありまして、それを食い止めることを考えないといけないと。いろんなところに本があって、子どもがそれを見て育って、大人も本を見てちゃんとした社会を作る、と。そういうことがインフラとして必要ではないかと思っていますので、本がどんなところにも届くようなことを続けていきたいし、皆さんにも働きかけができたらと思っています」
小山「本屋さんで偶然巡り会うってことが大切ですよね」
上原「そうですね、本を開いた時の匂いであったりとか、ページを開く空気感ですよね。そういうのは電子にはないものですから」
宇賀「今日の放送を聞いて、上原さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 上原寿明さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
上原寿明さん、ありがとうございました!
世界思想社教学社ウェブサイト
赤本ウェブサイト
宇賀「誰もが知っている赤本ですが、正式名称は合っているんですか?」
上原「いいえ、本当は『大学入試シリーズ』という名前で、長いので社内では“大入”と略して呼んでいます」
小山「社内では誰も赤本とは呼ばないんですね。誰が言い始めたんですか?」
上原「発刊して10年ほどは赤色ではなかったんです。だんだん点数が増えまして、100点くらいになった時に仕様を統一しようということで朱色にしました」
小山「なぜ朱色になったんですか?」
上原「いちばん目立つ色は赤か黄色で、頭に残るらしいんですけど、うちはその中間で朱色かな、となったようです」
宇賀「遠くから見てもわかりますもんね」
小山「発刊はいつ頃なんですか?」
上原「1954年ですから、70年前になりますね」
小山「その時から大学別だったんですか?」
上原「そうですね、数は少なかったんですけども京都、大阪の大学を出しました」
小山「出版社が京都にあるんですよね」
上原「東京は遅れて始まりまして」
小山「最初は京都大学とか?」
上原「ではここで、赤本クイズ! 創刊当初は、何校の赤本があったでしょうか?」
小山「2校?」
宇賀「70年前ですよね……京大、阪大?」
小山「私立もありましたか? 同志社、関西大学……生徒数が多いところじゃないと売れないわけだから」
宇賀「近大とか?」
小山「じゃあ、5校!」
上原「当たりです。ただ、中身が違います(笑)。京都大学、同志社大学、立命館大学、大阪市立大学、それから神戸大学」
小山「阪大は入っていないんですね」
上原「なぜか入らなかったですね」
小山「これは誰が選んだんですか?」
上原「記録には残っていないんですけども、創業者の部下の方が考えたと聞いています」
宇賀「いまは全部で何校分作っていらっしゃるんですか?」
上原「今年ですけれども、374大学。点数では556点」
宇賀「全体の大学のうちの何%なんですか?」
上原「大学は800ほどあるので50%弱になりますけど、志願者数を合計しますと90%を超えます。小さい規模の大学もたくさん他にあるということですね」
宇賀「今日は実際に赤本をお持ちいただいているんですよね。見せていただいてもいいですか?」
小山「しかも、我々が受験した年の赤本ですよね」
上原「83年の日芸に、2005年の立教の社会ですね」
宇賀「懐かしい! いま解けるかな……」
小山「これ、昔は問題ばっかりに気を取られていましたけど、大学案内の就職先とか、こういうの面白いですね」
宇賀「なんかぞわぞわしてきた。受験時代を思い出して胸が苦しくなってきた……(笑)」
上原「ここで赤本クイズ! 赤本の出版月はいつでしょう?」
小山「早まっている気がするから、受験が終わった直後じゃないですか? 4月?」
宇賀「ある程度、基礎の勉強をしてから赤本を解くイメージなんですよね。早めに慣れすぎちゃうとよくない気がするから……夏くらいじゃないですか? 6月、7月とか」
小山「じゃあ僕はね、8月」
上原「これは大学によって違うんですけども、いちばん最初に出す大学は5月に出します。それから10月までかけて順次、半年かけて作るという感じになります」
宇賀「早い大学と遅い大学は何か違いがあるんですか?」
上原「早くから勉強しないといけない大学ですね」
小山「難しい大学の方が早い?」
上原「志望が決まるのも早いので、皆さん4月から欲しいとおっしゃるんですけど、難しいので5月ですね」
小山「読者の方、学生さんからいろんなお手紙も来るんじゃないですか?」
上原「合格体験記を読んで非常に励まされてよかったというお手紙を受けたことがありまして。その手紙がすごく上手で、翌年、合格体験記をお願いしました」
宇賀「ありましたよね。私も読んで励みにしていました」
上原「先輩の言葉は重いというか、同じ経験をされた方の言葉ですので。その方は、そのあとご縁がありまして、当社に入社しました。いまは編集の仕事をしています」
宇賀「すごい!」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、今日は『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
上原「私が生まれた街の書店の店主、7代目平野惣吉さんです」
小山「京都ですか?」
上原「徳島なんですけども、古い紙屋さんが6代目から本屋さんを始めまして、私が子どもの頃に7代目の方がやっておられて。その時の思いを書いてみました」
上原さんから平野惣吉さんへ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(8月11日まで聴取可能)
宇賀「上原さんのこれからの夢はなんですか?」
上原「いま、全国の書店が次々と減っている状況がありまして、それを食い止めることを考えないといけないと。いろんなところに本があって、子どもがそれを見て育って、大人も本を見てちゃんとした社会を作る、と。そういうことがインフラとして必要ではないかと思っていますので、本がどんなところにも届くようなことを続けていきたいし、皆さんにも働きかけができたらと思っています」
小山「本屋さんで偶然巡り会うってことが大切ですよね」
上原「そうですね、本を開いた時の匂いであったりとか、ページを開く空気感ですよね。そういうのは電子にはないものですから」
宇賀「今日の放送を聞いて、上原さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 上原寿明さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
上原寿明さん、ありがとうございました!
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赤本ウェブサイト
ズッキュン♡郵便局 開催のお知らせ
昨年度、約2万人を動員した「ズッキュン♡郵便局」が今年は池袋サンシャインシティで開催されます。カラフルなレターセットで、大切な人へのお手紙や、「推し」へのファンレターを書けたり、色々なビーズのパーツを組み合わせて、オリジナルのペンが作れたりと、手紙のための企画が盛りだくさんです。
ぜひ夏の思い出にお手紙を書きに行ってみるのはいかがでしょうか?
開催は8月9日(金)から、8月19日(月)までです。詳細は、「ズッキュン♡郵便局」の公式ホームページをご確認ください。
ズッキュン♡郵便局
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
今回のメッセージは、石川県〈押水郵便局〉桶仕一馬さんでした!「私の働く押水郵便局は、石川県能登地区の南の方にある、宝達志水町という町にあります。押水郵便局は通常通りに営業できているのですが、特に奥能登の方では、たくさんの仲間が被災し、営業できていない郵便局が未だにたくさんあるようです。被災後、県外の方からおハガキをいただいたことがありました。そこには、『その後、いかがお過ごしでしょうか。生活に大きな影響を受けた地域の皆さんに、少しでも良いことがありますように。』という応援のメッセージが手書きされていました。温かみがあり、すごく胸が熱くなりました。」
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この番組ではみなさんからの手紙を募集しています。
全国の皆さんからのお便りや番組で取り上げてほしい場所
を教えてください。
〒102-8080 東京都千代田区麹町1−7
SUNDAY'S POST宛