日本を代表する作曲家・編曲家の千住明さんが登場!
- 2024/05/26
作曲家・編曲家の千住明さんをお迎えして
今回はスタジオに、作曲家・編曲家の千住明さんをお迎えしました。
宇賀「ご存知の方も多いと思いますが、千住さんは芸術一家でいらっしゃいまして」
小山「お兄さんは日本画の大家、千住博さん。ニューヨークでご活躍ですね」
千住「世界中、飛び回っていますけども、アトリエがニューヨークにあって。最近はハワイにもあるみたいですけど」
小山「妹さんは日本を代表するヴァイオリニストの千住真理子さん。そして千住明さんは、次男で真ん中ですね」
千住「そうですね、調整役ですね(笑)。親代わりのようなことをずっとしていますね」
宇賀「どういう風にご両親が育てたらそういう風になるのか、すごく気になりますよね」
千住「すごく自由があって、でも自由というのは不自由なもので。やっぱりルールがある。それを守らないと自由にはならないんです。自発的に選んでいくという環境だったように思いますね」
小山「すごい兄弟ですね」
宇賀「改めて、千住明さんのご紹介をさせていただきます。慶應義塾大学に進んだものの、中退されて、東京藝術大学の作曲科へ進み、同大学院を首席で卒業されます。今年で音楽家としての活動39周年。これまで、ドラマ『高校教師』、『家なき子』、『砂の器』など、数多くの作品に携わり、昨年、TBSのドラマ「VIVANT」の音楽を手掛けたことでも話題になりました。他にも、映画、アニメ、オペラ、ゲーム音楽など数多くの作品に携わっていらっしゃいます」
小山「映画やドラマは脚本を読んで作曲するんですか?」
千住「そうです。完全に僕らはオーダーされる側ですから、台本をいただいてオーダーメイドで作っていきます。特に映画の場合はシンクロをきっちりさせていくわけです。昔はコンピューターとか機械がなかったですから、毎回、毎回、デモテープを作ってラッシュの毎に監督に見せて。かなり時間をかけて作りました」
小山「どうやったらそんなことができるのか、想像がつかないです」
千住「昔は想像力を使ったんですけど、最近は監督も一緒に考えてくれるんです。昔の監督はふわっと見て『違う、何か違う』と、それだけなんですよね。それで読み取らなきゃいけないという、とっても難しい占い師のようなことをやらないといけないんです。最近はむしろ、ある意味ラインが決まっているので、ずいぶんスピードもアップしたしクオリティも上がっていると思いますね」
小山「オーケストラのスコアはすべて頭の中で書いていくわけですか?」
千住「あれはメソッドがあるので。いわゆるピアノの譜面がありますよね、これだけでもオーケストレーションできるんです、メソッドがあってどう振り分けていくか自ずと決まっているんです。でも僕らのスケッチとしては、3つくらい書いて、これは弦のところ、管のところ、これは金管、木管……みたいにして書いていく。ただそれは、料理のレシピと同じで決まり事なので、答えは1個しかないんですよ。最初のファンデーション、こしらえることが大切。ドレミを出す時の苦しみったらないですよ。アレンジはね、時間と共にできるんですけど。メインの最初のドレミはね、いわゆる7つしかない音の中で作っていくってよく皆さん言われるんですけど、だけどまだその中に、新しいメロディがあるんです。それを探していくっていう作業は本当に、相当冴えてないといけない。それを出すために皆、シャワーを浴びてみたり、早く起きてみたり、走ってみたり……」
小山「それはひらめくんですか? それともピアノをいじりながら?」
千住「両方です。時間がなくなったら無理やり出すためにピアノの前に座りますけど。確か一昨年、エンリオ・モリコーネの映画がありますよね。あの中でモリコーネが……」
小山「腕立て伏せとかやっていましたね」
千住「やっていましたよね。あれなんですよ。最初のテーマを出す、テーマ曲を書くって七転八倒するんだと。『絶対に出ると思うんだけど、いつ出るんだろう? 自分でも怖くなる』と。僕もそうなんですね。『VIVANT』を去年、やりましたけど、監督からは『誰が聴いてもVIVANTを書いてくれ』と」
小山&宇賀「(笑)」
千住「それだけなんですよ(笑)。それで皆、モンゴルに行っちゃったんで、残されて、僕は」
小山「それ、孤独ですよね」
千住「内容が秘密だったのである程度のことしか知らないんです、僕も。『VIVANTって何なの?』と。だから象の耳にさわって尻尾を描いていたようなものでね。鼻は描いていないんですよ(笑)。でも、出せるっていう自信は経験からある。大河ドラマのテーマ曲だと、全部の放送を合わせると200回以上かかるわけですね。それで飽きさせるといけないからどんどん噛めば噛むほど味が出てくる、スルメのような音楽を書かないといけないわけですけど。そういう意味では最初のドレミを絞り出すのに色々な方法がある。いつか出てくるのはわかっているんです」
小山「わかっているだけでもすごいですよね」
千住「簡単に出しちゃうと、何も言ってくれないんですよ、周りの人たちが。『VIVANT』は8曲書いたのかな、割と時間がかかったかもしれないですね」
小山「千住さんは藝大卒業ですが、藝大といえば、先輩の坂本龍一さんがお亡くなりになりましたが坂本さんとの交流は?」
千住「僕をデビューさせてくれた人が坂本龍一さんで。僕が名前を出してデビューをしていなかった時に、坂本さんのスタジオに遊びに行って、『どんな音楽が好き?』と言われて。ちょうど彼が『ラストエンペラー』をやっていて、『できないから、これやってくれる?』みたいなかたちで、大貫妙子さんのアルバムのアレンジが僕のデビューになったんです」
小山「そうなんですか」
千住「それで名前が出て。数年前に大貫さんとシンフォニックコンサートをやったんですけど、その時のゲストが坂本龍一さんで。坂本さんのピアノで僕が指揮をして、坂本さんの曲を大貫さんが歌って。僕にとってみればとんでもなく大切な瞬間。その翌日に、坂本さんは病院に行かれたんです。そのあと一緒のプロジェクトをやったりとかもありましたね」
小山「普段、たとえば車を運転されていて、ものすごくきれいな夕焼けが見えた時に、そのシーンに合う曲が呼吸をするように生まれてきたりするものなんですか?」
千住「焼き付けておこうと思うんですよ。それが全部取材になっていきます。その坂本さんの番組でもそうだし、きれいな夕焼けでもいいし。感動するようなことというか、感動って無垢にならないとできないものじゃないですか。無垢に自分がなれたっていう時の感覚を思い出せないと、きっと人を感動させるものは作れないんじゃないかなと思います。デビューした頃は頭だけだったんですね。加藤和彦さんが僕の最初のプロデューサーで、加藤さんはやっぱり感覚の人だったんですけど、『千住くんにあと足りないのは色気だよ』って言われたんです。色気っていうのは人間的な部分だったと思うんですね。若い頃ってやっぱり、システマティックに考えちゃったり、メソッド的に考えちゃったりして。僕ら音楽家でさえね、心っていうのは恥ずかしいことだったんです。特に藝大を出た時とか。最近はやっぱり、心だなということがわかってきました。綺麗事に聞こえていたことほど難しい。だけどそこを目指さないといけないんですよね」
小山「はっとする言葉をたくさん頂戴していますね」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、今日は『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
千住「僕が慶應大学を辞めて、藝大を受けようか、受からなくても音楽家になりたいと思っていた時に、アルバイトをしたんです。そのアルバイト先の先輩に書きたいなと思って」
千住さんから、アルバイト先の先輩へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(6月2日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、千住さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 千住明さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
千住明さん、ありがとうございました!
小山「お兄さんは日本画の大家、千住博さん。ニューヨークでご活躍ですね」
千住「世界中、飛び回っていますけども、アトリエがニューヨークにあって。最近はハワイにもあるみたいですけど」
小山「妹さんは日本を代表するヴァイオリニストの千住真理子さん。そして千住明さんは、次男で真ん中ですね」
千住「そうですね、調整役ですね(笑)。親代わりのようなことをずっとしていますね」
宇賀「どういう風にご両親が育てたらそういう風になるのか、すごく気になりますよね」
千住「すごく自由があって、でも自由というのは不自由なもので。やっぱりルールがある。それを守らないと自由にはならないんです。自発的に選んでいくという環境だったように思いますね」
小山「すごい兄弟ですね」
宇賀「改めて、千住明さんのご紹介をさせていただきます。慶應義塾大学に進んだものの、中退されて、東京藝術大学の作曲科へ進み、同大学院を首席で卒業されます。今年で音楽家としての活動39周年。これまで、ドラマ『高校教師』、『家なき子』、『砂の器』など、数多くの作品に携わり、昨年、TBSのドラマ「VIVANT」の音楽を手掛けたことでも話題になりました。他にも、映画、アニメ、オペラ、ゲーム音楽など数多くの作品に携わっていらっしゃいます」
小山「映画やドラマは脚本を読んで作曲するんですか?」
千住「そうです。完全に僕らはオーダーされる側ですから、台本をいただいてオーダーメイドで作っていきます。特に映画の場合はシンクロをきっちりさせていくわけです。昔はコンピューターとか機械がなかったですから、毎回、毎回、デモテープを作ってラッシュの毎に監督に見せて。かなり時間をかけて作りました」
小山「どうやったらそんなことができるのか、想像がつかないです」
千住「昔は想像力を使ったんですけど、最近は監督も一緒に考えてくれるんです。昔の監督はふわっと見て『違う、何か違う』と、それだけなんですよね。それで読み取らなきゃいけないという、とっても難しい占い師のようなことをやらないといけないんです。最近はむしろ、ある意味ラインが決まっているので、ずいぶんスピードもアップしたしクオリティも上がっていると思いますね」
小山「オーケストラのスコアはすべて頭の中で書いていくわけですか?」
千住「あれはメソッドがあるので。いわゆるピアノの譜面がありますよね、これだけでもオーケストレーションできるんです、メソッドがあってどう振り分けていくか自ずと決まっているんです。でも僕らのスケッチとしては、3つくらい書いて、これは弦のところ、管のところ、これは金管、木管……みたいにして書いていく。ただそれは、料理のレシピと同じで決まり事なので、答えは1個しかないんですよ。最初のファンデーション、こしらえることが大切。ドレミを出す時の苦しみったらないですよ。アレンジはね、時間と共にできるんですけど。メインの最初のドレミはね、いわゆる7つしかない音の中で作っていくってよく皆さん言われるんですけど、だけどまだその中に、新しいメロディがあるんです。それを探していくっていう作業は本当に、相当冴えてないといけない。それを出すために皆、シャワーを浴びてみたり、早く起きてみたり、走ってみたり……」
小山「それはひらめくんですか? それともピアノをいじりながら?」
千住「両方です。時間がなくなったら無理やり出すためにピアノの前に座りますけど。確か一昨年、エンリオ・モリコーネの映画がありますよね。あの中でモリコーネが……」
小山「腕立て伏せとかやっていましたね」
千住「やっていましたよね。あれなんですよ。最初のテーマを出す、テーマ曲を書くって七転八倒するんだと。『絶対に出ると思うんだけど、いつ出るんだろう? 自分でも怖くなる』と。僕もそうなんですね。『VIVANT』を去年、やりましたけど、監督からは『誰が聴いてもVIVANTを書いてくれ』と」
小山&宇賀「(笑)」
千住「それだけなんですよ(笑)。それで皆、モンゴルに行っちゃったんで、残されて、僕は」
小山「それ、孤独ですよね」
千住「内容が秘密だったのである程度のことしか知らないんです、僕も。『VIVANTって何なの?』と。だから象の耳にさわって尻尾を描いていたようなものでね。鼻は描いていないんですよ(笑)。でも、出せるっていう自信は経験からある。大河ドラマのテーマ曲だと、全部の放送を合わせると200回以上かかるわけですね。それで飽きさせるといけないからどんどん噛めば噛むほど味が出てくる、スルメのような音楽を書かないといけないわけですけど。そういう意味では最初のドレミを絞り出すのに色々な方法がある。いつか出てくるのはわかっているんです」
小山「わかっているだけでもすごいですよね」
千住「簡単に出しちゃうと、何も言ってくれないんですよ、周りの人たちが。『VIVANT』は8曲書いたのかな、割と時間がかかったかもしれないですね」
小山「千住さんは藝大卒業ですが、藝大といえば、先輩の坂本龍一さんがお亡くなりになりましたが坂本さんとの交流は?」
千住「僕をデビューさせてくれた人が坂本龍一さんで。僕が名前を出してデビューをしていなかった時に、坂本さんのスタジオに遊びに行って、『どんな音楽が好き?』と言われて。ちょうど彼が『ラストエンペラー』をやっていて、『できないから、これやってくれる?』みたいなかたちで、大貫妙子さんのアルバムのアレンジが僕のデビューになったんです」
小山「そうなんですか」
千住「それで名前が出て。数年前に大貫さんとシンフォニックコンサートをやったんですけど、その時のゲストが坂本龍一さんで。坂本さんのピアノで僕が指揮をして、坂本さんの曲を大貫さんが歌って。僕にとってみればとんでもなく大切な瞬間。その翌日に、坂本さんは病院に行かれたんです。そのあと一緒のプロジェクトをやったりとかもありましたね」
小山「普段、たとえば車を運転されていて、ものすごくきれいな夕焼けが見えた時に、そのシーンに合う曲が呼吸をするように生まれてきたりするものなんですか?」
千住「焼き付けておこうと思うんですよ。それが全部取材になっていきます。その坂本さんの番組でもそうだし、きれいな夕焼けでもいいし。感動するようなことというか、感動って無垢にならないとできないものじゃないですか。無垢に自分がなれたっていう時の感覚を思い出せないと、きっと人を感動させるものは作れないんじゃないかなと思います。デビューした頃は頭だけだったんですね。加藤和彦さんが僕の最初のプロデューサーで、加藤さんはやっぱり感覚の人だったんですけど、『千住くんにあと足りないのは色気だよ』って言われたんです。色気っていうのは人間的な部分だったと思うんですね。若い頃ってやっぱり、システマティックに考えちゃったり、メソッド的に考えちゃったりして。僕ら音楽家でさえね、心っていうのは恥ずかしいことだったんです。特に藝大を出た時とか。最近はやっぱり、心だなということがわかってきました。綺麗事に聞こえていたことほど難しい。だけどそこを目指さないといけないんですよね」
小山「はっとする言葉をたくさん頂戴していますね」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、今日は『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
千住「僕が慶應大学を辞めて、藝大を受けようか、受からなくても音楽家になりたいと思っていた時に、アルバイトをしたんです。そのアルバイト先の先輩に書きたいなと思って」
千住さんから、アルバイト先の先輩へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(6月2日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、千住さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 千住明さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
千住明さん、ありがとうございました!
ポストカーが東京蚤の市に登場!
今年も春の東京蚤の市の季節がやってきました!290組を超えるお店、エンターテインメントが勢揃いする中、ポストカーも駆け付けます。ぜひ、オリジナルデザインのポストカードでお手紙をお楽しみください。
開催は5月31日(金)から6月2日(日)まで、場所は立川の国営昭和記念公園です。ポストカーには無料で参加いただけますが、蚤の市には入場料がかかります。詳しくは、東京蚤の市のサイトをご覧ください。
「東京蚤の市」Webサイト
「東京蚤の市」Instagram
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
今回のメッセージは、大分県〈中津郵便局〉安部隆一さんでした!「僕は大学で福岡に進学し、新しい環境で不安なことも多かったのですが、その時に、もう亡くなった祖父から励ましの言葉や激励の言葉が書かれた手紙をもらいました。祖父からそのような手紙をもらうことは初めてで、その時はものすごく嬉しく、これから頑張ろうという気持ちになったことを、ふと思い出すことがあります。だいぶ真面目なおじいちゃんだったので、小さい頃は正直苦手に感じることもあったのですが、その手紙を読み返した時に、あの時、祖父が言っていたことはこういうことに繋がっていたんだなあと、今になって分かってきたところです。祖父がまだ生きていたらそういう話をしてみたかったなと思います。」
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この番組ではみなさんからの手紙を募集しています。
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