音で日本を旅する サウンドデザイナーの菅原宏之さんが登場!
- 2024/04/28
サウンドデザイナー・フォトグラファーの菅原宏之さんをお迎えして
今回はスタジオに、「音」を採集している、サウンドデザイナーでフォトグラファーの菅原宏之さんをお迎えしました。
小山「音を採集するというのはどういうことなんですか?」
菅原「自然とか文化、環境音を主に録っています」
小山「それは趣味で?」
菅原「趣味であり仕事でもありますね」
宇賀「趣味と仕事のどちらから始まったんですか?」
菅原「最初に録音したのは、多分5、6歳なんです。はじめは趣味からですね」
小山「それは何の音だったんですか?」
菅原「常にいろいろな音を録っていたのでどれが最初かは覚えていないのですが、家族でご飯を食べている時に適当にラジカセで録ったりとか、テレビでアニメの歌が流れてくるものを録音したりとか、あとはゲームの音とか。そういったものですかね」
宇賀「採集したいちばんの目的は何だったんですか?」
菅原「子どもの頃にゲームの音を録音したんですけど、うちは結構厳しくて、ゲームは1時間しかやっちゃダメだったんです。そのゲームの音を録音しておいて、寝る時に聞いて頭の中でイメージしながらゲームをする、という遊びを一人でやっていたんです。友達が来た時とか麻雀をする時とか、いろんな遊びをする時に、音だけを録ってあとで聞くといろんな場面が浮かぶんですよね。映像付きだとそこに答えがあるので、もう想像ができないというか。音だけだといろいろ想像が膨らむので、それがすごく楽しいんです」
今回は、菅原さんがこれまで集めてきた中から選りすぐりの「音」のコレクションをお持ちいただきました。
音はメニュー風のリストで用意していただき、薫堂さんと宇賀さんが気になった音を注文する形で聞かせていただきます。
小山「この、〈カセットテープに収録されていた母との記録〜思い出の色やにおいを添えて〜〉。いいですね」
宇賀「私、この〈ゴミ収集車のメロディー 捨てるべきものと残すべきもの〉。これ、好きですね。好きだったんですよ、ゴミ収集車の音」
音を聞いて……。
菅原「この曲、何の曲かわかりますか?」
小山「はじめて聞きました」
宇賀「私も聞いたことないです」
菅原「『草競馬』なんです、実は。これは宮城県仙台市泉区に清掃会社がありまして、録音させてもらった音なんですけど。1972年くらいからこの音を清掃車でずっと流していたんですね。当時、カセットテープでずっと流していたらしいんですよ。それを毎日毎日、延々流すので、カセットテープが擦り切れてメロディが若干なくなったりして、こんな音になっているんです。自分もその話を聞くまで全然わからなくて。オリジナルのメロディなのかな? と思っていたんです」
小山「『草競馬』だとはまったくわからないですよね。こういうものもいつかはなくなるわけじゃないですか。あとで聞くと、それをきっかけに『あの時代、おばあちゃんが生きていて出しに行っていたよね』とか記憶の栞みたいになりますよね」
菅原「まさにそういうつもりで録っていましたね」
放送では、さらにいろいろな音を菅原さんにご紹介いただきました。詳しくはぜひ、radikoでお聞きください(5月5日まで聴取可能)。
宇賀「音を録りに行く時は、大体どのくらいの時間、録っているんですか?」
菅原「ものにもよるんですけど、いちばん長くかかったのだと3年くらいかかりました」
宇賀「3年! それは何ですか?」
菅原「山形県の酒田市というところに飛島があるんですけど、そこをもう少し南下していくと無人島があるんですね。そこの無人島の中に御積島という洞窟があって、そこの洞窟の中の音を録りたいと思ったんですけど。大体、5月6月の波が穏やかにならないと行けない場所で、1年に1、2ヶ月しかチャンスがないんです。行こうと思ってから何回かトライしたんですけど、どうしても波が高くて行けなくて3年かかりました」
御積島の洞窟の音を聞きながら……
小山「この鳴いているのは何ですか?」
菅原「ウミネコですね。ウミネコと、遠くの波の音と、水滴と。3つの音が主にあるんですけど、音の周波数がちゃんといいように分かれていまして、自分の中でも音の三重奏だなと思いました」
小山「こういう音があると知っていて行かれたんですか?」
菅原「何も知らなくて。ただ洞窟があるということしか知らなかったんです。女人禁制の場所で、男性しか入れない場所というのもあったのでなかなか行く人がいないんです。行ってもみんな写真は撮るんですけど音を録っている人は誰もいないので、自分が多分はじめてなんだろうな、と」
小山「写真を撮りに行くことはありますけど、あの音を録りたいという人はいないですもんね」
菅原「単純に天邪鬼なんだと思います(笑)」
宇賀「この番組はお手紙がテーマにお送りしているのですが、今日は『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
菅原「『次の文明の皆さんへ』というタイトルで書いてきました」
菅原さんが「次の文明の皆さん」へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。
小山「菅原さんがこの音を録りに行きたいというもの、場所はあるんですか?」
菅原「今は直近で考えているのは、沖縄の宮古島にパーントゥという祭があるんですけど、その祭りの音の風景を録ってみたいですね」
小山「どんな祭りなんですか?」
菅原「体中、泥だらけの妖精、お化けみたいなのがいて、それが子どもたちに泥を塗っていく儀式というか祭があるらしいんです」
宇賀「世界中にまだまだ知らない音がいっぱいありそうですよね」
小山「我々の日常の中でも、視点を変えるといい音がいっぱい転がっているかもしれないですね」
宇賀「今日の放送を聞いて、菅原さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 菅原宏之さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
菅原宏之さん、ありがとうございました!
菅原宏之さん webサイト
菅原「自然とか文化、環境音を主に録っています」
小山「それは趣味で?」
菅原「趣味であり仕事でもありますね」
宇賀「趣味と仕事のどちらから始まったんですか?」
菅原「最初に録音したのは、多分5、6歳なんです。はじめは趣味からですね」
小山「それは何の音だったんですか?」
菅原「常にいろいろな音を録っていたのでどれが最初かは覚えていないのですが、家族でご飯を食べている時に適当にラジカセで録ったりとか、テレビでアニメの歌が流れてくるものを録音したりとか、あとはゲームの音とか。そういったものですかね」
宇賀「採集したいちばんの目的は何だったんですか?」
菅原「子どもの頃にゲームの音を録音したんですけど、うちは結構厳しくて、ゲームは1時間しかやっちゃダメだったんです。そのゲームの音を録音しておいて、寝る時に聞いて頭の中でイメージしながらゲームをする、という遊びを一人でやっていたんです。友達が来た時とか麻雀をする時とか、いろんな遊びをする時に、音だけを録ってあとで聞くといろんな場面が浮かぶんですよね。映像付きだとそこに答えがあるので、もう想像ができないというか。音だけだといろいろ想像が膨らむので、それがすごく楽しいんです」
今回は、菅原さんがこれまで集めてきた中から選りすぐりの「音」のコレクションをお持ちいただきました。
音はメニュー風のリストで用意していただき、薫堂さんと宇賀さんが気になった音を注文する形で聞かせていただきます。
小山「この、〈カセットテープに収録されていた母との記録〜思い出の色やにおいを添えて〜〉。いいですね」
宇賀「私、この〈ゴミ収集車のメロディー 捨てるべきものと残すべきもの〉。これ、好きですね。好きだったんですよ、ゴミ収集車の音」
音を聞いて……。
菅原「この曲、何の曲かわかりますか?」
小山「はじめて聞きました」
宇賀「私も聞いたことないです」
菅原「『草競馬』なんです、実は。これは宮城県仙台市泉区に清掃会社がありまして、録音させてもらった音なんですけど。1972年くらいからこの音を清掃車でずっと流していたんですね。当時、カセットテープでずっと流していたらしいんですよ。それを毎日毎日、延々流すので、カセットテープが擦り切れてメロディが若干なくなったりして、こんな音になっているんです。自分もその話を聞くまで全然わからなくて。オリジナルのメロディなのかな? と思っていたんです」
小山「『草競馬』だとはまったくわからないですよね。こういうものもいつかはなくなるわけじゃないですか。あとで聞くと、それをきっかけに『あの時代、おばあちゃんが生きていて出しに行っていたよね』とか記憶の栞みたいになりますよね」
菅原「まさにそういうつもりで録っていましたね」
放送では、さらにいろいろな音を菅原さんにご紹介いただきました。詳しくはぜひ、radikoでお聞きください(5月5日まで聴取可能)。
宇賀「音を録りに行く時は、大体どのくらいの時間、録っているんですか?」
菅原「ものにもよるんですけど、いちばん長くかかったのだと3年くらいかかりました」
宇賀「3年! それは何ですか?」
菅原「山形県の酒田市というところに飛島があるんですけど、そこをもう少し南下していくと無人島があるんですね。そこの無人島の中に御積島という洞窟があって、そこの洞窟の中の音を録りたいと思ったんですけど。大体、5月6月の波が穏やかにならないと行けない場所で、1年に1、2ヶ月しかチャンスがないんです。行こうと思ってから何回かトライしたんですけど、どうしても波が高くて行けなくて3年かかりました」
御積島の洞窟の音を聞きながら……
小山「この鳴いているのは何ですか?」
菅原「ウミネコですね。ウミネコと、遠くの波の音と、水滴と。3つの音が主にあるんですけど、音の周波数がちゃんといいように分かれていまして、自分の中でも音の三重奏だなと思いました」
小山「こういう音があると知っていて行かれたんですか?」
菅原「何も知らなくて。ただ洞窟があるということしか知らなかったんです。女人禁制の場所で、男性しか入れない場所というのもあったのでなかなか行く人がいないんです。行ってもみんな写真は撮るんですけど音を録っている人は誰もいないので、自分が多分はじめてなんだろうな、と」
小山「写真を撮りに行くことはありますけど、あの音を録りたいという人はいないですもんね」
菅原「単純に天邪鬼なんだと思います(笑)」
宇賀「この番組はお手紙がテーマにお送りしているのですが、今日は『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
菅原「『次の文明の皆さんへ』というタイトルで書いてきました」
菅原さんが「次の文明の皆さん」へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。
小山「菅原さんがこの音を録りに行きたいというもの、場所はあるんですか?」
菅原「今は直近で考えているのは、沖縄の宮古島にパーントゥという祭があるんですけど、その祭りの音の風景を録ってみたいですね」
小山「どんな祭りなんですか?」
菅原「体中、泥だらけの妖精、お化けみたいなのがいて、それが子どもたちに泥を塗っていく儀式というか祭があるらしいんです」
宇賀「世界中にまだまだ知らない音がいっぱいありそうですよね」
小山「我々の日常の中でも、視点を変えるといい音がいっぱい転がっているかもしれないですね」
宇賀「今日の放送を聞いて、菅原さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 菅原宏之さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
菅原宏之さん、ありがとうございました!
菅原宏之さん webサイト
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
今回のメッセージは、富山県〈立山郵便局〉高井誠司さんでした!「私が勤める立山郵便局は、水やお米が美味しい自然豊かな町にあります。また、景色も大変良く、晴れた日には壮大な立山連峰の山々がこちらへ迫ってくるようにも見え、とても美しいところが魅力です。 先日、私の子どもが通う幼稚園で子どもたちに授業をする機会があり、子どもたちそれぞれのご家族宛てにはがきを書いて、実際に投函しに行こうという授業をしました。はがきには、覚えたばかりのひらがなで一生懸命にメッセージを書いた子もいれば、可愛らしいイラストを書いた子もいました。家族へのたくさんの思いを込めて書いたはがきを、キラキラの笑顔でポストへ投函する様子にはとても癒されました。子どもたちには手紙を受け取る人のことを考えながら、はがきや手紙を書く楽しさ、またその温かさを忘れずに大きくなってほしいと思います。」
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