GWシーズン到来!動物園の楽しみ方とは? 「ズーラシア」園長 村田浩一さんが登場!
- 2024/04/21
『よこはま動物園ズーラシア』園長 村田浩一さんをお迎えして
今回はスタジオに、神奈川県にある「よこはま動物園ズーラシア」の園長 村田浩一さんをお迎えしました。ズーラシアは、「生命の共生・自然との調和」をメインテーマに掲げる動物園。世界旅行ができる動物園として、植物や自然環境について楽しく学ぶことができます。
宇賀「ズーラシアはいつ頃開園したんですか?」
村田「1999年4月24日ですから、25周年なんです」
小山「ズーラシアが開園した時、名前のせいか今までにない新しいスタイルの動物園ができたという印象があるんですけど、普通の動物園と違うところはどういうところなんですか?」
村田「25周年というと非常に長いように思われるかもしれないけど、日本ではいちばん新しい動物園なんです。これくらいの大規模の動物園では。当時の先進的なヨーロッパやアメリカの動物園を視察して、そこからいいとこ取りをしてできたので、かなり他とは違う動物園になっていますね」
宇賀「たとえばどういうところを真似したんですか?」
村田「これまで動物園というと、檻の中に動物がいていろんな種類が見られるというイメージがあったんですけど、かなり動物が住める場所も広くして、できるだけ檻を少なくし、彼らが生息する環境にいるような雰囲気を醸し出したところが大きなポイントですね」
小山「ちょっとサファリパークっぽい感じもあったりするんですか?」
村田「ジャングルの中を歩きながら動物を垣間見るという感じですね」
小山「開園して25周年でしたら、長寿の動物はそんなにいないですか?」
村田「そうでもないですね。開園当時からいる動物もいますので。他の動物園と比べると、まだ若い方かもしれないけど、チンパンジーで39歳とか、オカピっていう国外ではズーラシアと、横浜の金沢動物園にしかいない動物が26歳。世界的には30歳くらいが長寿なんですけど」
小山「日本の動物園と世界の動物園の差はどういうところにあるんですか?」
村田「動物園発祥の地はフランスとかイギリスとかヨーロッパで、貴族のお城の中にあった小さな動物園が元になっているんですけど、フランスあたりから動物園の目的が学術になってきたんですね。アカデミーという学士会みたいなものができたのがフランスなんですけど、そこで野生動物を研究するために動物を飼っていて。そのあとロンドンで、まさしく動物学会が運営する動物園ができた。そういうバックグラウンドがあるので、そのあたりを真似て日本で上野動物園がはじめてできたんです。ただ、日本ではその後、徐々に変質というか方向性が変わってきて、どちらかというとレクリエーション中心になってきて、それが今も引き継がれているという雰囲気はありますね。そこをズーラシアは基本に戻って変えようと、学術研究、繁殖というのを目指そうとしてできたと思います」
小山「飼育するのにいちばん難しい動物はなんですか?」
村田「いろいろ難しいですよね、それぞれの種によって違うので。最近難しいなと感じたのは、葉っぱしか食べないお猿さんがいるんですね。東南アジアにいるテングザルとか。日本は冬が来ると葉っぱが枯れるじゃないですか。そういう新鮮じゃない枯れた葉っぱを食べると、体調が悪くなるんです。なるべく新鮮な葉っぱを食べてもらうために沖縄から輸入をしたり、もしくは冷蔵保存をしたり、葉っぱに代わる固形飼料を与えたりという苦労をして。世界的にも珍しいんですけど、飼育下でテングザルを繁殖させています」
宇賀「ズーラシアにいる動物の中には絶滅危惧種もいるんですか」
村田「ズーラシアは最新の動物園を目指していたので、希少種の保全を目的にしてできたんですね。いま、飼育されている動物の90%以上が絶滅危惧種なんです。それを飼育下で守って、彼らが住んでいた自然が回復するまで維持しようという大きな目標があります」
小山「そうなると、スタッフの皆さんの向き合い方もまた違うでしょうね」
村田「大切な命をあずかっていますからね。日々、勉強して研究して、なるべく健康な状態で子孫を残す。しかも遺伝的多様性を守りながら交配を考えながらやっているんですけど、なかなか難しいですよね」
小山「今度、動物園デビューをするお子さんを連れて行くとしたらどういう視点で見て回るのがいいですか?」
村田「動物園というのは楽しく安らぎを得て、癒しが得られる場所ですから、そんな難しく考えないで遊んで、知らないうちに何かを学ぶような……私はよく“センス・オブ・ワンダー”という言葉を使うんですけど、自然の神秘とか不思議に感動するような時間を過ごしてもらいたいなと思っています」
小山「園内の順番に沿って、普通に見ていくというのでいいんですか?」
村田「小さなお子さんたちって、あまり珍しい動物とかは意識はしていないんですよ。オカピという日本ではほとんど飼育されていない動物の反対側に、池があるんですけど、そこで泳いでいるオタマジャクシとか、緑の中を飛んでいるチョウチョとかトンボがすごく好きだし、秋になるとどんぐりをずっと拾っていますね。ビニール袋いっぱいに拾いながら、動物なんか全然見ないで時間を過ごしています。それもまたすごくいいなと感じています」
小山「大人の感覚で、『せっかくここに来たんだからこれ見なさい』とか言っちゃいけないんですね」
村田「反対に、お母さんがドジョウを見ていて子どもに『早く行こうよ』と言われている逆転現象もあるので。どっちとも言えないんですけど、楽しんでいただければいいかなと思います」
小山「動物というとノアの方舟のエピソードがありますけど、いろんな動物と話をしていたらどの動物を方舟に乗せようか、迷うんじゃないですか?」
村田「それは世界的にも同じ悩みを持っていて、すべての動物は守れないのでいちばん絶滅の危機にある動物を選別して増やしていこうとするわけですよね。でも本当は、それでいいのかなという疑問はみんな持っているんですよ。希少動物で保護されている手厚く守られている動物って、人間が見てかわいい動物とかきれいな動物が多いんです。逆に絶滅寸前のゴキブリとかミミズとかそういうのは守られていないんです。それはちゃんと調べると研究があるんですけど、偏りがある。そういうことをしているとノアの方舟もあまり役に立たないんですよね」
小山「どうしても人間の感覚から言うと親近感が湧いたり、そばに置いておきたいと思う生き物を保護したいという気持ちが芽生えますもんね」
村田「でもそういう動物も、やっぱり土壌の微生物とか細菌がいるからこそ生きられているんですよね。生物多様性の世界を維持しないと、いくらパンダを保護してもこれから数百年後、数千年後に生き延びられるかどうかはわからないですよね」
小山「どうしても、パンダを守らないと、と言われるとなんとかしようと思うけど、ゴキブリを守るために言われると、いなくなった方がいいんじゃないかと思ってしまいますよね」
村田「希少種を守れって言う人も、ゴキブリが目の前にくると反射でスリッパで叩くんです。それっておかしいなと日頃から思っているんです。すべての生き物に愛を捧げなくては、生物多様性は守れないでしょうから」
宇賀「この番組はお手紙がテーマにお送りしているのですが、今日は『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
村田「動物園の来園者の皆さん、動物園を愛する人たちに、特に子どもたちに向けてちょっと難しいですけど手紙を書いてきました」
村田さんが動物園を愛する人たちへ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(4月28日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、村田さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 村田浩一さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
村田浩一さん、ありがとうございました!
よこはま動物園ズーラシア
村田「1999年4月24日ですから、25周年なんです」
小山「ズーラシアが開園した時、名前のせいか今までにない新しいスタイルの動物園ができたという印象があるんですけど、普通の動物園と違うところはどういうところなんですか?」
村田「25周年というと非常に長いように思われるかもしれないけど、日本ではいちばん新しい動物園なんです。これくらいの大規模の動物園では。当時の先進的なヨーロッパやアメリカの動物園を視察して、そこからいいとこ取りをしてできたので、かなり他とは違う動物園になっていますね」
宇賀「たとえばどういうところを真似したんですか?」
村田「これまで動物園というと、檻の中に動物がいていろんな種類が見られるというイメージがあったんですけど、かなり動物が住める場所も広くして、できるだけ檻を少なくし、彼らが生息する環境にいるような雰囲気を醸し出したところが大きなポイントですね」
小山「ちょっとサファリパークっぽい感じもあったりするんですか?」
村田「ジャングルの中を歩きながら動物を垣間見るという感じですね」
小山「開園して25周年でしたら、長寿の動物はそんなにいないですか?」
村田「そうでもないですね。開園当時からいる動物もいますので。他の動物園と比べると、まだ若い方かもしれないけど、チンパンジーで39歳とか、オカピっていう国外ではズーラシアと、横浜の金沢動物園にしかいない動物が26歳。世界的には30歳くらいが長寿なんですけど」
小山「日本の動物園と世界の動物園の差はどういうところにあるんですか?」
村田「動物園発祥の地はフランスとかイギリスとかヨーロッパで、貴族のお城の中にあった小さな動物園が元になっているんですけど、フランスあたりから動物園の目的が学術になってきたんですね。アカデミーという学士会みたいなものができたのがフランスなんですけど、そこで野生動物を研究するために動物を飼っていて。そのあとロンドンで、まさしく動物学会が運営する動物園ができた。そういうバックグラウンドがあるので、そのあたりを真似て日本で上野動物園がはじめてできたんです。ただ、日本ではその後、徐々に変質というか方向性が変わってきて、どちらかというとレクリエーション中心になってきて、それが今も引き継がれているという雰囲気はありますね。そこをズーラシアは基本に戻って変えようと、学術研究、繁殖というのを目指そうとしてできたと思います」
小山「飼育するのにいちばん難しい動物はなんですか?」
村田「いろいろ難しいですよね、それぞれの種によって違うので。最近難しいなと感じたのは、葉っぱしか食べないお猿さんがいるんですね。東南アジアにいるテングザルとか。日本は冬が来ると葉っぱが枯れるじゃないですか。そういう新鮮じゃない枯れた葉っぱを食べると、体調が悪くなるんです。なるべく新鮮な葉っぱを食べてもらうために沖縄から輸入をしたり、もしくは冷蔵保存をしたり、葉っぱに代わる固形飼料を与えたりという苦労をして。世界的にも珍しいんですけど、飼育下でテングザルを繁殖させています」
宇賀「ズーラシアにいる動物の中には絶滅危惧種もいるんですか」
村田「ズーラシアは最新の動物園を目指していたので、希少種の保全を目的にしてできたんですね。いま、飼育されている動物の90%以上が絶滅危惧種なんです。それを飼育下で守って、彼らが住んでいた自然が回復するまで維持しようという大きな目標があります」
小山「そうなると、スタッフの皆さんの向き合い方もまた違うでしょうね」
村田「大切な命をあずかっていますからね。日々、勉強して研究して、なるべく健康な状態で子孫を残す。しかも遺伝的多様性を守りながら交配を考えながらやっているんですけど、なかなか難しいですよね」
小山「今度、動物園デビューをするお子さんを連れて行くとしたらどういう視点で見て回るのがいいですか?」
村田「動物園というのは楽しく安らぎを得て、癒しが得られる場所ですから、そんな難しく考えないで遊んで、知らないうちに何かを学ぶような……私はよく“センス・オブ・ワンダー”という言葉を使うんですけど、自然の神秘とか不思議に感動するような時間を過ごしてもらいたいなと思っています」
小山「園内の順番に沿って、普通に見ていくというのでいいんですか?」
村田「小さなお子さんたちって、あまり珍しい動物とかは意識はしていないんですよ。オカピという日本ではほとんど飼育されていない動物の反対側に、池があるんですけど、そこで泳いでいるオタマジャクシとか、緑の中を飛んでいるチョウチョとかトンボがすごく好きだし、秋になるとどんぐりをずっと拾っていますね。ビニール袋いっぱいに拾いながら、動物なんか全然見ないで時間を過ごしています。それもまたすごくいいなと感じています」
小山「大人の感覚で、『せっかくここに来たんだからこれ見なさい』とか言っちゃいけないんですね」
村田「反対に、お母さんがドジョウを見ていて子どもに『早く行こうよ』と言われている逆転現象もあるので。どっちとも言えないんですけど、楽しんでいただければいいかなと思います」
小山「動物というとノアの方舟のエピソードがありますけど、いろんな動物と話をしていたらどの動物を方舟に乗せようか、迷うんじゃないですか?」
村田「それは世界的にも同じ悩みを持っていて、すべての動物は守れないのでいちばん絶滅の危機にある動物を選別して増やしていこうとするわけですよね。でも本当は、それでいいのかなという疑問はみんな持っているんですよ。希少動物で保護されている手厚く守られている動物って、人間が見てかわいい動物とかきれいな動物が多いんです。逆に絶滅寸前のゴキブリとかミミズとかそういうのは守られていないんです。それはちゃんと調べると研究があるんですけど、偏りがある。そういうことをしているとノアの方舟もあまり役に立たないんですよね」
小山「どうしても人間の感覚から言うと親近感が湧いたり、そばに置いておきたいと思う生き物を保護したいという気持ちが芽生えますもんね」
村田「でもそういう動物も、やっぱり土壌の微生物とか細菌がいるからこそ生きられているんですよね。生物多様性の世界を維持しないと、いくらパンダを保護してもこれから数百年後、数千年後に生き延びられるかどうかはわからないですよね」
小山「どうしても、パンダを守らないと、と言われるとなんとかしようと思うけど、ゴキブリを守るために言われると、いなくなった方がいいんじゃないかと思ってしまいますよね」
村田「希少種を守れって言う人も、ゴキブリが目の前にくると反射でスリッパで叩くんです。それっておかしいなと日頃から思っているんです。すべての生き物に愛を捧げなくては、生物多様性は守れないでしょうから」
宇賀「この番組はお手紙がテーマにお送りしているのですが、今日は『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
村田「動物園の来園者の皆さん、動物園を愛する人たちに、特に子どもたちに向けてちょっと難しいですけど手紙を書いてきました」
村田さんが動物園を愛する人たちへ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(4月28日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、村田さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 村田浩一さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
村田浩一さん、ありがとうございました!
よこはま動物園ズーラシア
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
今回のメッセージは、東京都〈芝郵便局〉久保田昭子さんでした!「私は芝郵便局の第六集配営業部に所属しており、麻布台ヒルズの中で館内物流等の業務をしています。具体的には、エレベーター専有の管理や、入退館の管理、荷捌き駐車場の管理などを担当しています。 ご利用いただいた方に『グッド』ではなく、『エクセレント』と思っていただけるように働いています。入退館の受付をしている時に、業者さんから『麻布台ヒルズの受付の方々は親切に教えてくれると評判になっているよ』とお褒めの言葉をいただき、とても嬉しかったです。」
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