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『手紙から始まる物語。』
ここには、様々な思いが詰まった手紙が毎週届きます。
読むと、送り主のことがもっと知りたくなってきます。
日曜の午後3時、1通の手紙から始まる物語。
手紙の送り主にじっくりお話をうかがいながら、
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『万葉集』がベストセラーに! ひとり出版社・万葉社 代表の佐々木良さん

  • ON AIR
  • 2024/01/07

ひとり出版社『万葉社』代表の佐々木良さんをお迎えして

写真 2024年最初のSUNDAY’S POST!
スタジオには、香川県が拠点のひとり出版社「万葉社」代表の佐々木良さんをお迎えしました。
写真 小山「気になったのが、“ひとり出版社”。言い換えれば、自費出版ですか?」

佐々木「そうですね」

宇賀「万葉社から出された本がベストセラーになっているんです! 一昨年出版された『愛するよりも 愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集』。私も本屋さんで、目立つところに置いてあって気になって読みました。なんと発行部数17万部を突破。続編である『太子の少年』は、発行部数6万部。シリーズ23万部を突破していると!」

小山「定価が1,000円ということは、すごい儲かりようじゃないですか?」
写真 佐々木「最初の方は刷り部数も少なかったので、刷っても赤字みたいな感じで。最近、部数が多いのでいいんですけど、いい紙を使い過ぎちゃって。アラベールという最高級紙を使っちゃったんです。誰も買わないと思ってたんで(笑)」

小山「自費出版でいいものを作って、これが全部なくなったらそれでまあいいか、くらいの?」

佐々木「その通りです、はい」

小山「でも思いの外、売れ始めて……」

佐々木「普通は紙があって印刷するんですけど、紙を作るところから始まるという感じですね」
写真 小山「佐々木さんはもともと、美大にいらっしゃったんですね」

佐々木「大学では油絵を描いていまして。勉強なんかしたことなかったです、1回も」

宇賀「どうして万葉集を、しかも奈良弁で訳そうと思ったんですか?」
写真 佐々木「大学を卒業して10年後くらいに本を書いたんですよ。それはまあまあ売れて、2冊目もまあまあ売れて。『3冊目、4冊目を作りましょう』と東京の出版社に言われたんですけど、両方ともコロナで中止になっちゃったんですよ。仕事もねえ、金もねえとなっちゃって、その時にコロナ給付金10万円をいただきまして、それで会社を作ったんです。机を買って椅子を買って、パソコンを買って。香川県で4,000円の家賃のところを借りて、本当に10万円でスタートして」

小山「でも万葉社という名前をつけたからには、最初から万葉集をモチーフにしてやろうと頭にはあったんですか?」
写真 佐々木「なかったんです。令和2年に作ったので、令和っぽい名前の会社がいいなと思って。『じゃあ、万葉集か』と思って。で、万葉社にしたら『万葉集やるしかないか!』って会社ありきで万葉集をやり始めたんですよ」

宇賀「じゃあもともと好きだったわけでもないんですね。奈良にゆかりがあるわけでもなく……」

佐々木「はい」
写真 宇賀「これ、本当に面白いのが、わかりやすいんですよ! 誰が読んでもグッと入ってくるの。
〈さのかたは 実 にならずとも 花のみに 咲きてみえこそ 恋のなぐさに〉……何? と思うじゃないですか? これを令和言葉の奈良弁で訳すと、〈そこのかわい子ちゃん! 結婚までとはいわへんから 付きあってくれ せめて チューだけでも!〉」

小山「これ、本当ですか?(笑) 佐々木さんが適当なことを言っているわけじゃなくて?」

宇賀「古い言葉って難しいし、崇高な感じがするから遠いところにある気がするんですけど、言っていることはいまと同じじゃん、っていう」
写真 佐々木「1,000年経っても男女が恋をする気持ちって変わらなかったりするので。それが1,000年間続いているから私たちがいるというか。誰かと誰かが恋をしたから自分がいる、というのが見えてくるかなと思いますね」

宇賀「1,000年前の人達も同じようなことをやっていたんだなと思うと、すごくホッとするというか。わかりやすくて面白くて、ついつい次のページをめくっちゃう。これはまた続編を、という話にはなってないんですか?」
写真 佐々木「なってますね。万葉集は4,500首あるので、全部やろうと思うと全50巻になっちゃうんです」

小山「この『太子の少年』が第2巻ってことですね」

佐々木「万葉集は奈良で生まれた文学なので奈良弁にして、奈良の歌手と言えば、1,000年前は大伴家持とかそういう人がいるんですけど、現代の奈良の歌手といえばKinKi Kidsの堂本剛さんってことで……KinKi Kidsの歌のタイトルをもじっているんです。『愛されるよりも愛したい』と『硝子の少年』」

宇賀「なるほど!」
写真 小山「この中で、佐々木さんがいちばん好きな歌はどれですか?」

佐々木「〈ここどこ?〉という歌ですね」

宇賀「〈恋ふること 慰めかねて 出でて行けば 山を川をも 知らず来にけり〉」
写真 佐々木「これは、僕は恋をしました、と。でも“慰めかねて”ということは、失恋をしちゃいました、と。だから家を飛び出して、山を越えて川を越えて、僕はダッシュしましたよ、それで知らないところに来てしまったわ、というところで詠んだ歌なんです」

宇賀「訳すと、〈え? ここどこ?〉」

小山「これだけ!」

宇賀「だいぶ省略していますよね(笑)」

佐々木「そうですね。でも〈え? ここどこ?〉を読むことで、みんな『本歌は本当に書いているのか?』と思うので、本歌を読みたくなる。これを誘導してあげるのは結構上手くいったのかなと思いますね」
写真 宇賀「これを作って出版したことで、何か変化したことってありましたか?」

佐々木「香川県で出版業を始めて、奈良弁が必要だと。現代語は標準語が東京の言葉じゃないですか。でも奈良で生まれた文学には奈良弁が必要だと思って、奈良に通っていたらインスタのフォロワーさんから『ご飯に行きましょう』と。その方とご飯に初めて行った時に、2時間後にもう僕、プロポーズしまして」

小山&宇賀「えー!」

佐々木「10日後に結婚しまして。この本作るよりも先に妻を手に入れたというのが、人生の変化ですね、いちばんの」
写真 宇賀「面白い! すごいなと思うのが、コロナで何も出来なくなって、あの10万円の給付金をこれに使おうと思って、動き出したところから人生が変わっていますよね」

小山「『給付金で成功を手に入れた人達図鑑』を作ったら面白そうですね。僕、これを読んで万葉集を改めて勉強してみようかなと思いました」

宇賀「私は読んでいて、大伴家持ってモテたんだな、って(笑)」

佐々木「すごいラブレター、和歌が送られているので、モテモテだなと思いますね」
写真 宇賀「当時はやっぱりこのお手紙というか、歌が感情表現のすべてだったんだなとすごく感じますね」

小山「時が経てば、どんなに下世話なものも高尚になるものなんですかね?」

佐々木「わからないですけど、下世話な話を書いて出版しても、『万葉集にこう書いてあるから許してね』って言えますね。万葉集を現代語訳するだけじゃなくて、現代の言葉から万葉集を探していくという逆のこともやっていて。(*雑誌を取り出して)こういうギャル雑誌とかから若者言葉みたいなものを1個1個掴んでいって」
写真 宇賀「すごい、『egg』とか『小悪魔ageha』」

佐々木「毎号買って、読んでますね」

宇賀「ここの言葉から万葉集を探していくんですね」

佐々木「やっぱり10代20代の女性の恋の姿がここに赤裸々に載っているので、当時の万葉集の赤裸々な姿とリンクしているな、と」
写真 宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、そして今日は『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」

佐々木「講演会に参加してくれたおばあちゃんです」
写真 佐々木さんのお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(1月14日まで聴取可能)。

宇賀「最後に、佐々木さんの今年の目標を教えてください」

佐々木「やっぱり皆さん、万葉集をいっぱい読みたいということなので、3巻4巻と続けて書くことが目標ですね」

宇賀「今日の放送を聞いて、佐々木さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 佐々木良さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
写真 佐々木良さん、ありがとうございました!

万葉社

万葉社 Instagram

佐々木良さん Instagram

2024年の年賀状、お待ちしています!

写真 2024年も、皆さんからの年賀状をお待ちしています。番組に年賀状を送ってくださった方には、サンポス特製のポストカードをお届けします! 2024年1月10日までに投函していただいた年賀状が対象となります。宛先は、【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。

今週の後クレ

写真 今回のメッセージは、福井県〈粟野郵便局〉長谷真由美さんでした!

「毎年、近隣の保育園の園児に、自分のお父さん、お母さん、おじいさんやおばあさんに宛てて年賀状を書いていただいています。内容は手形や足形、似顔絵もあれば、覚えたてのひらがなで書かれた「おかあさんだいすき」の一言であったりもします。年初の嬉しいサプライズに年賀状を受け取った方は大変喜ばれて、「涙が出るくらい嬉しかった」とおっしゃっていただいています。」
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