まち専門の植物ガイド 鈴木純さんが登場!
- 2023/07/02
植物観察家・まち専門の植物ガイド 鈴木純さんをお迎えして
今回は、植物観察家で、まち専門の植物ガイドの鈴木純さんをお迎えしました。
小山「植物観察家という職業をはじめて聞きました」
宇賀「どうしてこのようなお名前にしたんですか?」
鈴木「フリーで植物ガイドをやっているんですけど、何か所属している組織があるわけではないので、『鈴木純です!』と言うよりも、肩書きが欲しかったんですよね」
小山「普通、植物ガイドというと森に入ったり山に登ったりするじゃないですか。鈴木さんの場合は“まち専門”なんですね。これはどういうことですか? 一般の街中を歩きながら、街路樹を観察するんですか?」
鈴木「まさにそうですね。主にやっていたのが、街中の観察会で、これはどこでもいいんですけど、何かしらの駅のロータリーに集合してもらって、ロータリーに生えている植物だけを見て、1時間、時間を使ったりとか。そういうような観察会をやっていました」
宇賀「確かに言われてみると、都心でも探すと結構ありますね」
鈴木「ロータリーとかそういう空間でも、本気を出せば2、30種類はあるので。それをじっくり見ていれば十分、時間は経っていきます」
小山「普段はどちらにお住まいなんですか?」
鈴木「山梨県です」
小山「じゃあ、今日 東京にこうして出てこられたら、呼びかけたりするんですか?」
鈴木「そうですね。昨日、一昨日、一昨々日も観察会をしていたんですけど、今回は国分寺エリアで観察会をやっていました」
小山「何名くらい集まったんですか?」
鈴木「大体、1回につき15名程度ですね」
小山「そんなに集まるんですね!」
鈴木「集まりますね。小さいものを観るので、逆に15名が限界というか。それが最大定員という感じでやっていますね」
宇賀「観察ということは、見るだけなんですか?」
鈴木「僕が含んでいる意味は、五感ですね。見るだけではなく触る。匂いを嗅ぐ。街中なので“食べる”があまりできないんですけど、それ以外の五感でやっています」
小山「じゃあ、まずどこかに集合をして、鈴木さんが見つけて『これをご覧ください』となるのか、それとも『皆さんで何かを探してください』となるのか」
鈴木「大体は、いきなり『探してください!』と言っても見つけられないんです。なので、はじめは集合したところにまず、しゃがむ。そうすると大体どこでも、アスファルトとアスファルトの隙間にハマツメクサという、すごい細かい葉っぱがついた植物が、目地を埋めるように生えているんです。ほぼどこでも生えています。まずは、それを見つけるところからスタートして、街のどういう場所に植物がいるのかというアプローチをするところからスタートします」
小山「面白いですね」
宇賀「もともと植物はお好きだったんですか?」
鈴木「大学が東京農業大学っていうところだったんですけど、そこで造園科(造園科学科)というところに入りまして。日本庭園とか公園の設計とかをする学問だったのですが、そこで植物の名前を知らないと授業にならないんですよね。なので、大学1年生の前期に“葉っぱテスト”という180種類の樹木を葉っぱだけで同定できる、つまり種類を調べられるようにするというテストがありまして。それまでは僕は植物を全然知らなかったんですけど、180種類の樹木覚えたら、急に植物にハマっちゃって。それで造園の道じゃなくて植物の道の方にいっちゃったんです」
小山「日本各地でされているんですか?」
鈴木「呼ばれればどこでも行きますね」
小山「意外とここが面白い、という街はありますか?」
鈴木「これがですね、僕がなんで仕事が成り立っているのかというと、都市環境であればどこに行っても同じようなものが生えているんですよね。だから、特にここに行ったら面白いとかは実はなくて。これが野山であれば、日本ってすごく自然に恵まれたところなので、行く場所によって違う植物が生えているんですよ。そうなるとそこの下調べから始めないといけないので、日本全国をフィールドにすることはできないんですけど、都市環境であれば日本全国をフィールドにしてもある程度大丈夫という、そういうカラクリがありまして。だからどこに行ってもOKという感じですね」
小山「明日、僕が街に出た時、まずこれを見た方がいい! というアドバイスをいただけますか?」
鈴木「やっぱり、さっき言ったハマツメクサをぜひ探してもらいたいですね。なぜなら、絶対にいるから」
宇賀「言われてみたらわかります、隙間からプチプチって出ている緑の葉っぱ、ありますよね」
鈴木「ツメクサのツメというのは、鳥の猛禽類のツメに形が似ているからという理由なんですけど、だからそういう葉っぱを探してください。絶対にあると思います」
宇賀「地面にしゃがんで一生懸命見るっていうのをもう何十年もやっていない気がします。子どもの頃はよくやっていたんですけどね」
鈴木「楽しいですよ!」
小山「落ち葉には興味ありますか?」
鈴木「興味あります。あれこそが植物を支えていますので。植物が面白いなと思うのは、自分が住む環境を自分で作っていくんです。植物が葉っぱをつけて、落としますよね。そうすると土の上でいろんな生物によって分解されて、結局自分の栄養になるんです。おそらくですけど、今の都市環境の中から人が消えたとしますよね、そうしたらいろいろな木々の葉っぱとか枯れ枝とかが土壌に変わって、新しい植物が芽生えられる土壌を作っていくわけですね。そうやって自分たちで環境を変えて自分たちのエリアを広げていく能力があるので、そういう意味で落ち葉というのはものすごく面白い。だけど街中だと、落ち葉って捨てられちゃうんですよ。だからそれを見ることはないんですけど、見たいな、と」
小山「話を聞きながら想像しました、人類がいなくなった世界。植物だけがみんな元気を取り戻し、コンクリートが緑に覆われていて……」
鈴木「普通にそうなると思いますね。すごくたくましい生き物だと思います」
小山「今日のお話を聞いていると、早く街を歩きたくなりますね」
鈴木「ぜひ歩いてください」
宇賀「さて、この番組は『お手紙』をテーマにお送りしているのですが、今日は、『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきていただいているんですよね。どなたへのお手紙ですか?」
鈴木「名前も知らない料理屋のおっちゃんたちへ書いてきました」
小山「意外! 料理屋さん。てっきり植物への手紙かなと思っていました」
鈴木「そう書こうかなと思いながら、違う人に書いてきちゃいました。僕の中では少し繋がっている部分もあります」
鈴木さんのお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(7月9日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、鈴木さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 鈴木純さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
鈴木純さんの著書『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい(雷鳥社)』『まちなか植物観察のススメ(小学館)』もぜひお手に取ってみてください。
『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい(雷鳥社)』
『まちなか植物観察のススメ(小学館)』
宇賀「どうしてこのようなお名前にしたんですか?」
鈴木「フリーで植物ガイドをやっているんですけど、何か所属している組織があるわけではないので、『鈴木純です!』と言うよりも、肩書きが欲しかったんですよね」
小山「普通、植物ガイドというと森に入ったり山に登ったりするじゃないですか。鈴木さんの場合は“まち専門”なんですね。これはどういうことですか? 一般の街中を歩きながら、街路樹を観察するんですか?」
鈴木「まさにそうですね。主にやっていたのが、街中の観察会で、これはどこでもいいんですけど、何かしらの駅のロータリーに集合してもらって、ロータリーに生えている植物だけを見て、1時間、時間を使ったりとか。そういうような観察会をやっていました」
宇賀「確かに言われてみると、都心でも探すと結構ありますね」
鈴木「ロータリーとかそういう空間でも、本気を出せば2、30種類はあるので。それをじっくり見ていれば十分、時間は経っていきます」
小山「普段はどちらにお住まいなんですか?」
鈴木「山梨県です」
小山「じゃあ、今日 東京にこうして出てこられたら、呼びかけたりするんですか?」
鈴木「そうですね。昨日、一昨日、一昨々日も観察会をしていたんですけど、今回は国分寺エリアで観察会をやっていました」
小山「何名くらい集まったんですか?」
鈴木「大体、1回につき15名程度ですね」
小山「そんなに集まるんですね!」
鈴木「集まりますね。小さいものを観るので、逆に15名が限界というか。それが最大定員という感じでやっていますね」
宇賀「観察ということは、見るだけなんですか?」
鈴木「僕が含んでいる意味は、五感ですね。見るだけではなく触る。匂いを嗅ぐ。街中なので“食べる”があまりできないんですけど、それ以外の五感でやっています」
小山「じゃあ、まずどこかに集合をして、鈴木さんが見つけて『これをご覧ください』となるのか、それとも『皆さんで何かを探してください』となるのか」
鈴木「大体は、いきなり『探してください!』と言っても見つけられないんです。なので、はじめは集合したところにまず、しゃがむ。そうすると大体どこでも、アスファルトとアスファルトの隙間にハマツメクサという、すごい細かい葉っぱがついた植物が、目地を埋めるように生えているんです。ほぼどこでも生えています。まずは、それを見つけるところからスタートして、街のどういう場所に植物がいるのかというアプローチをするところからスタートします」
小山「面白いですね」
宇賀「もともと植物はお好きだったんですか?」
鈴木「大学が東京農業大学っていうところだったんですけど、そこで造園科(造園科学科)というところに入りまして。日本庭園とか公園の設計とかをする学問だったのですが、そこで植物の名前を知らないと授業にならないんですよね。なので、大学1年生の前期に“葉っぱテスト”という180種類の樹木を葉っぱだけで同定できる、つまり種類を調べられるようにするというテストがありまして。それまでは僕は植物を全然知らなかったんですけど、180種類の樹木覚えたら、急に植物にハマっちゃって。それで造園の道じゃなくて植物の道の方にいっちゃったんです」
小山「日本各地でされているんですか?」
鈴木「呼ばれればどこでも行きますね」
小山「意外とここが面白い、という街はありますか?」
鈴木「これがですね、僕がなんで仕事が成り立っているのかというと、都市環境であればどこに行っても同じようなものが生えているんですよね。だから、特にここに行ったら面白いとかは実はなくて。これが野山であれば、日本ってすごく自然に恵まれたところなので、行く場所によって違う植物が生えているんですよ。そうなるとそこの下調べから始めないといけないので、日本全国をフィールドにすることはできないんですけど、都市環境であれば日本全国をフィールドにしてもある程度大丈夫という、そういうカラクリがありまして。だからどこに行ってもOKという感じですね」
小山「明日、僕が街に出た時、まずこれを見た方がいい! というアドバイスをいただけますか?」
鈴木「やっぱり、さっき言ったハマツメクサをぜひ探してもらいたいですね。なぜなら、絶対にいるから」
宇賀「言われてみたらわかります、隙間からプチプチって出ている緑の葉っぱ、ありますよね」
鈴木「ツメクサのツメというのは、鳥の猛禽類のツメに形が似ているからという理由なんですけど、だからそういう葉っぱを探してください。絶対にあると思います」
宇賀「地面にしゃがんで一生懸命見るっていうのをもう何十年もやっていない気がします。子どもの頃はよくやっていたんですけどね」
鈴木「楽しいですよ!」
小山「落ち葉には興味ありますか?」
鈴木「興味あります。あれこそが植物を支えていますので。植物が面白いなと思うのは、自分が住む環境を自分で作っていくんです。植物が葉っぱをつけて、落としますよね。そうすると土の上でいろんな生物によって分解されて、結局自分の栄養になるんです。おそらくですけど、今の都市環境の中から人が消えたとしますよね、そうしたらいろいろな木々の葉っぱとか枯れ枝とかが土壌に変わって、新しい植物が芽生えられる土壌を作っていくわけですね。そうやって自分たちで環境を変えて自分たちのエリアを広げていく能力があるので、そういう意味で落ち葉というのはものすごく面白い。だけど街中だと、落ち葉って捨てられちゃうんですよ。だからそれを見ることはないんですけど、見たいな、と」
小山「話を聞きながら想像しました、人類がいなくなった世界。植物だけがみんな元気を取り戻し、コンクリートが緑に覆われていて……」
鈴木「普通にそうなると思いますね。すごくたくましい生き物だと思います」
小山「今日のお話を聞いていると、早く街を歩きたくなりますね」
鈴木「ぜひ歩いてください」
宇賀「さて、この番組は『お手紙』をテーマにお送りしているのですが、今日は、『今、想いを伝えたい人』に宛てたお手紙を書いてきていただいているんですよね。どなたへのお手紙ですか?」
鈴木「名前も知らない料理屋のおっちゃんたちへ書いてきました」
小山「意外! 料理屋さん。てっきり植物への手紙かなと思っていました」
鈴木「そう書こうかなと思いながら、違う人に書いてきちゃいました。僕の中では少し繋がっている部分もあります」
鈴木さんのお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(7月9日まで聴取可能)。
宇賀「今日の放送を聞いて、鈴木さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 鈴木純さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
鈴木純さんの著書『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい(雷鳥社)』『まちなか植物観察のススメ(小学館)』もぜひお手に取ってみてください。
『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい(雷鳥社)』
『まちなか植物観察のススメ(小学館)』
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
今回のメッセージは、高知県〈土佐中村郵便局〉中野玲南さんでした!「私は高知県四万十市出身で、地元で働いており、今年で勤続2年目です。 四万十市は自然豊かなところが魅力です。岩間沈下橋や山の絶景を見ながらドライブやサイクリング、カヌー、サップを楽しむことができ、観光地としても人気です。また四万十市は小京都と呼ばれ、それをPRするために毎年7月7日に市内の企業も参加し、『小京都ゆかたDAY』を実施しています。私も浴衣を着てお客さま対応をしました。最初は恥ずかしかったのですが、『似合っているね』とお褒めの言葉をいただきました。」
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