人の「手帳」を見ることができる?「手帳類図書室」とは
- 2023/03/12
『手帳類図書室』主催の志良堂正史さんをお迎えして
今週は、様々な人の手帳を集めて展示する「手帳類図書室」を主催されている志良堂正史さんをお迎えしました。
小山「手帳類図書室……どういうことですか?」
志良堂「文字通りで、手帳の図書室みたいな感じなんですよね」
小山「手帳“類”と付いているのは、手帳だけではなく、ということなんですか?」
志良堂「僕の定義なんですけど、手帳というのは“手で書いた帳”全般的を言っていまして。たとえば、スケジュール帳だったり日記帳だったりとか、様々な手で書かれたものを指して“手帳類”と言っている感じになります」
小山「なるほど、じゃあメモ帳も入るということですね」
宇賀「極めて個人的なものじゃないですか。どういう人がどういう気持ちで差し出すのかな? と思ったんですけど」
志良堂「きっかけは、僕が人々が書いた記録を読むことで、ゲームの創作の中の人物造形に使いたいなと思って、『手帳を売ってください』という形で募集をしたんです」
小山「あ、買うんですね」
志良堂「今は寄贈になっているんですけど、当初はそうそうくれるものではないから、なんとか集めようとした時に『1冊1,000円だったら売ってくれる人もいるかな?』という感じで始めたんですよね。noteというブログサイトがありますよね、あれが2014年くらいに始まった時からです」
小山「手帳は何名くらいからきたんですか?」
志良堂「2、3週間くらいかけてようやく1人『いいですよ』という方が現れて」
小山「その最初の方はどんな方か覚えていますか?」
志良堂「当時は学生か浪人をしていて、就職を目指されているような方の記録でしたね」
小山「それを見て、期待通りだったんですか?」
志良堂「いや、それが全然思っていたのとは違っていて。どっちかというと僕は思考の断片みたいなものが書いてあるのかなと思ったんですけど、〈おばあちゃんに親孝行をしたいな〉とかそういうことが書いてあって。僕の中では全然違っていたんですけど、逆にそれがちょっと面白くなっちゃって。これだったら僕以外の人が読んでも結構面白いんじゃないかな? と思って。もっと集めていろんな人に読んでもらって、みんなで面白がろうとしたっていうのが当初のきっかけというか」
宇賀「いくつか見ているのですが、本当に面白いですね。日本地図を書いて、〈ここに行ったよ〉みたいな」
志良堂「それは最初の人ですね」
宇賀「〈会社の飲み会だった ベロンベロンになった 幹事やったけど段取りが悪かった カラオケで盛り上げ役に徹しようとしたけれどなんかムリだった〉とか、日記が延々書いてある人とか。面白い!」
小山「僕が面白いと思ったのは、テレビ局のADさんの『北の国から』の日誌。これは、この道を志す人には貴重な資料ですよね」
宇賀「〈2005年のテーマ 私は強い たとえば10回告白してみる イコール10回フラれる〉。これも面白いですね、男性20代」
志良堂「それ、自分のなんです。一応僕のも、人のだけを見て面白がっているのもちょっと失礼かなと思って入れています」
宇賀「手帳の使い方って本当に人によるんだなとよくわかりますね。私たちが今見ているのは、インデックスなんですよね」
小山「目次みたい感じで。この手帳を見たい、と思ったらどうすればいいんですか?」
志良堂「参宮橋のピカレスクというギャラリーにある手帳類図書室で、その目録が置かれているんですけど、これを見たい、と思ったらスタッフが実物を持ってきてくれて、実際に読んで楽しむというかたちになっていますね」
小山「何冊くらいあるんですか?」
志良堂「書き手の数だと80人くらいで、冊数でいうと400冊くらいあります。今日は図書室にはないものをいくつか持ってきています」
放送では、志良堂さんにお持ちいただいた手帳の実物もいくつか見せていただきました。どんな手帳があったのか……ぜひ放送でお聞きください(radikoは3月19日まで聴取可能)。
宇賀「これまで受け取った手帳で、特に印象に残っているものはありますか?」
志良堂「たとえば、探偵の手帳だったり。浮気調査のメモが書かれていて、もちろん図書室には置けないんですけど。それを送ってくれるのは本当にびっくりしましたね」
小山「読み物としては最高の書物ですね。1冊しか世の中にないわけですよね」
志良堂「やっぱり1冊の手書きで書かれている物質感と言いますか。それってやっぱりいくらAIが、人の文章を書くのが上手くなったとしても、“この人のものである”という実感というんですかね、それはなかなかすごいなという感じはありますね」
宇賀「ぜひ私の手帳をお渡ししたい、寄贈したいという人はどうするといいんですか?」
志良堂「手帳類図書室の公式サイトから寄贈依頼を送っていただいてもいいですし、Twitterとか僕宛てに連絡くださってもいいですし、どんな形でも」
宇賀「これは何年前のでもいいんですか?」
志良堂「そうですね、令和のでもいいし、昭和のでもいいし。特にですね、1980年、70年代の記録が実はあまりなくて。結構、平成と令和なんですよ、今持っているのが。その頃のがないんですよね」
宇賀「薫堂さん、下書きを持ってくるタイミングじゃないですか?」
小山「僕はラブレターの下書きがあるんですよ、高校時代に書いていた」
志良堂「もちろん、そういうのでも! 手で書かれているのであれば」
小山「でもそれを持っていくのはちょっと恥ずかしいですね……」
志良堂「そろそろいいんじゃないですか?(笑)」
小山「自分が死んで、燃やすのはもったいない気がするから……どこか残しておくと言ったらやっぱり志良堂さんに託すという気にはなりますよね」
志良堂「捨てられないけど、でも家に置いておくのも嫌だという人が結構送ってくれたりもするんですよね、実際」
宇賀「さて、この番組は手紙をテーマにしているのですが、今日は『今、お手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
志良堂「これまでに手帳類を売ったり、寄贈してくれた方々にお礼を言いたくて手紙を書かせていただきました」
志良堂さんのお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。
宇賀「今日の放送を聞いて、志良堂さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 志良堂正史さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
志良堂正史さん、ありがとうございました!
「手帳類図書室」
志良堂正史さん ホームページ
志良堂「文字通りで、手帳の図書室みたいな感じなんですよね」
小山「手帳“類”と付いているのは、手帳だけではなく、ということなんですか?」
志良堂「僕の定義なんですけど、手帳というのは“手で書いた帳”全般的を言っていまして。たとえば、スケジュール帳だったり日記帳だったりとか、様々な手で書かれたものを指して“手帳類”と言っている感じになります」
小山「なるほど、じゃあメモ帳も入るということですね」
宇賀「極めて個人的なものじゃないですか。どういう人がどういう気持ちで差し出すのかな? と思ったんですけど」
志良堂「きっかけは、僕が人々が書いた記録を読むことで、ゲームの創作の中の人物造形に使いたいなと思って、『手帳を売ってください』という形で募集をしたんです」
小山「あ、買うんですね」
志良堂「今は寄贈になっているんですけど、当初はそうそうくれるものではないから、なんとか集めようとした時に『1冊1,000円だったら売ってくれる人もいるかな?』という感じで始めたんですよね。noteというブログサイトがありますよね、あれが2014年くらいに始まった時からです」
小山「手帳は何名くらいからきたんですか?」
志良堂「2、3週間くらいかけてようやく1人『いいですよ』という方が現れて」
小山「その最初の方はどんな方か覚えていますか?」
志良堂「当時は学生か浪人をしていて、就職を目指されているような方の記録でしたね」
小山「それを見て、期待通りだったんですか?」
志良堂「いや、それが全然思っていたのとは違っていて。どっちかというと僕は思考の断片みたいなものが書いてあるのかなと思ったんですけど、〈おばあちゃんに親孝行をしたいな〉とかそういうことが書いてあって。僕の中では全然違っていたんですけど、逆にそれがちょっと面白くなっちゃって。これだったら僕以外の人が読んでも結構面白いんじゃないかな? と思って。もっと集めていろんな人に読んでもらって、みんなで面白がろうとしたっていうのが当初のきっかけというか」
宇賀「いくつか見ているのですが、本当に面白いですね。日本地図を書いて、〈ここに行ったよ〉みたいな」
志良堂「それは最初の人ですね」
宇賀「〈会社の飲み会だった ベロンベロンになった 幹事やったけど段取りが悪かった カラオケで盛り上げ役に徹しようとしたけれどなんかムリだった〉とか、日記が延々書いてある人とか。面白い!」
小山「僕が面白いと思ったのは、テレビ局のADさんの『北の国から』の日誌。これは、この道を志す人には貴重な資料ですよね」
宇賀「〈2005年のテーマ 私は強い たとえば10回告白してみる イコール10回フラれる〉。これも面白いですね、男性20代」
志良堂「それ、自分のなんです。一応僕のも、人のだけを見て面白がっているのもちょっと失礼かなと思って入れています」
宇賀「手帳の使い方って本当に人によるんだなとよくわかりますね。私たちが今見ているのは、インデックスなんですよね」
小山「目次みたい感じで。この手帳を見たい、と思ったらどうすればいいんですか?」
志良堂「参宮橋のピカレスクというギャラリーにある手帳類図書室で、その目録が置かれているんですけど、これを見たい、と思ったらスタッフが実物を持ってきてくれて、実際に読んで楽しむというかたちになっていますね」
小山「何冊くらいあるんですか?」
志良堂「書き手の数だと80人くらいで、冊数でいうと400冊くらいあります。今日は図書室にはないものをいくつか持ってきています」
放送では、志良堂さんにお持ちいただいた手帳の実物もいくつか見せていただきました。どんな手帳があったのか……ぜひ放送でお聞きください(radikoは3月19日まで聴取可能)。
宇賀「これまで受け取った手帳で、特に印象に残っているものはありますか?」
志良堂「たとえば、探偵の手帳だったり。浮気調査のメモが書かれていて、もちろん図書室には置けないんですけど。それを送ってくれるのは本当にびっくりしましたね」
小山「読み物としては最高の書物ですね。1冊しか世の中にないわけですよね」
志良堂「やっぱり1冊の手書きで書かれている物質感と言いますか。それってやっぱりいくらAIが、人の文章を書くのが上手くなったとしても、“この人のものである”という実感というんですかね、それはなかなかすごいなという感じはありますね」
宇賀「ぜひ私の手帳をお渡ししたい、寄贈したいという人はどうするといいんですか?」
志良堂「手帳類図書室の公式サイトから寄贈依頼を送っていただいてもいいですし、Twitterとか僕宛てに連絡くださってもいいですし、どんな形でも」
宇賀「これは何年前のでもいいんですか?」
志良堂「そうですね、令和のでもいいし、昭和のでもいいし。特にですね、1980年、70年代の記録が実はあまりなくて。結構、平成と令和なんですよ、今持っているのが。その頃のがないんですよね」
宇賀「薫堂さん、下書きを持ってくるタイミングじゃないですか?」
小山「僕はラブレターの下書きがあるんですよ、高校時代に書いていた」
志良堂「もちろん、そういうのでも! 手で書かれているのであれば」
小山「でもそれを持っていくのはちょっと恥ずかしいですね……」
志良堂「そろそろいいんじゃないですか?(笑)」
小山「自分が死んで、燃やすのはもったいない気がするから……どこか残しておくと言ったらやっぱり志良堂さんに託すという気にはなりますよね」
志良堂「捨てられないけど、でも家に置いておくのも嫌だという人が結構送ってくれたりもするんですよね、実際」
宇賀「さて、この番組は手紙をテーマにしているのですが、今日は『今、お手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」
志良堂「これまでに手帳類を売ったり、寄贈してくれた方々にお礼を言いたくて手紙を書かせていただきました」
志良堂さんのお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。
宇賀「今日の放送を聞いて、志良堂さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 志良堂正史さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
志良堂正史さん、ありがとうございました!
「手帳類図書室」
志良堂正史さん ホームページ
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
宇賀さんのエッセイ『じゆうがたび』レターパックサイン会を開催!
宇賀さんのはじめてのエッセイ本『じゆうがたび』が2月22日に発売されました。それを記念して、SUNDAY’S POSTで「レターパックサイン会」を開催します。宇賀さんのサインを希望される方は、ご自身で購入された『じゆうがたび』の本と、返信用のレターパックを同封して番組宛てにお送りください。宇賀さんがその本にサインを入れて、お戻しいたします。
宛先は【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。3月22日 必着でお願いします。
今週の後クレ
今回のメッセージは、福岡県〈戸畑中本町郵便局〉生田莉子さんでした!「福岡県北九州市の戸畑区と若松区を繋ぐ若戸大橋が2022年2月に重要文化財に指定され、北九州市内の郵便局でも記念のフレーム切手を販売し、好評をいただいています。 お客さまが、この郵便局を利用してよかったと思っていただけるように、また、大切なお手紙やお荷物を安心して預けていただけるように、笑顔と丁寧な接客を心がけて仕事をしています。普段、お客さまと雑談することもあるのですが、後日そのお客さまが来られたときに『あなたに会いに来たよ』『あなたに対応してもらってよかった』と言っていただけるのがとても嬉しいです。」
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