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『手紙から始まる物語。』
ここには、様々な思いが詰まった手紙が毎週届きます。
読むと、送り主のことがもっと知りたくなってきます。
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旅する映画館「キノ・イグルー」とは?

  • ON AIR
  • 2023/03/05

旅する映画館『キノ・イグルー』の有坂塁さんをお迎えして

写真 今週は、全国を旅する映画館「キノ・イグルー」の有坂塁さんをお迎えしました。
小山「“キノ”は映画という意味ですよね。“イグルー”は、あのイグルーですか?」

有坂「そうです、雪で作るかまくらですね。キノ・イグルー自体は場所ありきでイベントを作っていきます。テントの中で映画を上映することもありますし、カフェでコース料理を食べながらとか、あとは無人島でやったりとか。依頼のあった場所で、そこでしか体験できない映画の時間を作っていくという形でやっています」
写真 写真 小山「有坂さんはそれをキュレーションして、『無人島だったらこれを観るといいですよ』とか、そういうことをされているんですか?」

有坂「そうですね。映画だけではなくて、たとえば映画の前の時間をどう過ごすかとか、映画を観ながらどういう料理を食べたいかとか……その映画を楽しむ時間や空気を作っていきます」
写真 宇賀「どんなところでもできるものなんですか?」

有坂「基本的にはどこでもできます。小さい規模だと、5人くらいしか入れないようなテントの中で映画をやったこともありますし、規模が大きいのだと6,500人で1本の映画を観ることもあります」

宇賀「6,500人……どこで?」

有坂「東京国立博物館の野外上映会です」

小山「それは何を観たんですか?」

有坂「日本のアニメーションという縛りで毎年やっているので、『サマー・ウォーズ』とか」

宇賀「いいですね! でも、どういうきっかけで活動を始められたんですか?」

有坂「もともとは移動映画館という形ではなくて、いわゆるシネクラブっていう自主上映会で始めたんです。ビデオレンタル店でバイトをしていた時の友達が、東京のはずれに小さい映画館をオープンして、僕がシネクラブの文化に憧れがあるのを彼は知っていたので『うちの映画館でやれば?』と言ってくれたのが、2003年でした。最初は35ミリのフィルム上映でソフト化されていないトップレアな映画を上映するというコンセプトで始めたんですけど、だんだん広がっていって、移動映画館というスタイルになっていきました」

宇賀「もともと映画はお好きだったんですか?」
写真 有坂「もともとは大嫌いでした(笑)。僕は19歳で映画に目覚めたんですけど、19年間でいうと、たぶん日本でいちばん観ていないっていうくらい積極的に嫌いだったんです。2本しか観ていなくて」

小山「何と何ですか?」

有坂「『グーニーズ』と、『E.T.』。人生初映画が『グーニーズ』で、それはもう夢中になって観たんですよね。僕も7歳くらいだったので、登場人物のひとりみたいな楽しみ方をしたら気をよくした母親が『E.T.』に連れていってくれたんですけど。僕はそもそもじっとしているのが苦手なので、『グーニーズ』はフィーリングが合ったんですけど、『E.T.』は途中で『無理だ!』と思って。無理、と思った時に、上映中の映画館を走り回ったんです。僕は双子なんですけど、兄と2人で2度と映画は観ないと走り回った記憶があります。誰のせいで映画が嫌いになったかというと、スピルバーグ」

小山・宇賀「(笑)」
写真 小山「じゃあ、好きになったきっかけは何ですか?」

有坂「19歳の時に……『クール・ランニング』っていう映画、知っていますか?」

小山「ボブスレーの?」

有坂「そうです。あれを本当に嫌々、当時の彼女に連れて行かれて、『嫌だ嫌だ』と思いながら観ていたら、あっという間に映画にのめり込んで、最後は本当に涙が止まらなくなって。次の日からひとりで映画館に行くようになったんです」

小山「『クール・ランニング』で変わったんですか? それも変わってますね(笑)」

有坂「そこで『ゴッドファーザー』とか言えるとかっこいいんですけど、間違いなく僕の心は『クール・ランニング』に奪われたっていう」

宇賀「19年間、溜めていたものが一気にバーっと出たんでしょうね」
写真 宇賀「有坂さんはパンフレット文化を広める活動もされているんですね」

有坂「映画パンフレット愛好家、という肩書きをつけて、映画パンフの魅力をもっと日本各地に届けていきたいなということで活動をしています」
写真 小山「今まで何冊くらいお買いになったんですか? 劇場で買うんですか?」

有坂「必ず買っているんです」

宇賀「パンフレットは世界中にあるものなんですか?」

有坂「完全に日本独自の文化なんです」

小山「日本だけなんですか!」
null 有坂「意外とそれを日本人が知らないということがやっぱり問題だなと思って、こういう活動を始めるきっかけにもなっていたりするんですけど。ヨーロッパの人とか、アジアの他の国の人が見ると『うらやましい』って言うんですよ、パンフレットがあることが。でも僕らにとっては当たり前のことなので、まず当たり前ではないということをちゃんと届けていって。特に今のパンフレットっていうのは、デザイン性が優れたもの、部屋のインテリアとして飾っておきたいものも増えているので、そういったものをお土産として買って。パンフレットは、映画の余韻の中で読めるっていうところがとってもいいなと思っていて。作品によっては、その国の歴史をわからないと理解できないものってありますよね。僕はユーゴスラビアの映画を観た時に、他民族で全然背景がわからない中、パンフレットを読んだら、そこに書いてあるんですよね、ユーゴスラビアの民族的な歴史とか。ただ、それを教科書で読んでいた時は全然情報が入ってこなかったんですけど、映画に打ちのめされるほど感動をしていたら、その言葉ってすごくスッと入ってくるんです。なので余韻の中で読むというのはすごく大事なことかなと。そこまでが自分の中での映画鑑賞なんです」

宇賀「さて、この番組は手紙をテーマにしているのですが、今日は『今、お手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」

有坂「母親になります」

有坂さんのお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(3月12日まで聴取可能)。

宇賀「今日の放送を聞いて、有坂さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 有坂塁さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
写真 有坂塁さん、ありがとうございました!

「キノ・イグルー」

有坂塁さんInstagram

皆さんからのお手紙、お待ちしています

写真 毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。
引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。

宇賀さんのエッセイ『じゆうがたび』レターパックサイン会を開催!

宇賀さんのはじめてのエッセイ本『じゆうがたび』が2月22日に発売されました。それを記念して、SUNDAY’S POSTで「レターパックサイン会」を開催します。
宇賀さんのサインを希望される方は、ご自身で購入された『じゆうがたび』の本と、返信用のレターパックを同封して番組宛てにお送りください。宇賀さんがその本にサインを入れて、お戻しいたします。
宛先は【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。3月22日 必着でお願いします。

今週の後クレ

写真 今回のメッセージは、東京都〈三鷹郵便局〉鮫島陽香さんでした!

「雨の日だろうと、嵐の日だろうと手紙を届けに行くという仕事自体に『かっこいいな』と憧れのような気持ちがあり、自分もそのような仕事ができればと思い入社しました。 私は高卒で入社しており、入社した時はまだ未成年でしたので、お客さまからも『何歳なの?』と声をかけていただくことが多かったのですが、入社以来ずっと同じ地域の配達を続けているので、今では『鮫ちゃん』『陽香ちゃん』と呼ばれるようになりました。 配達に伺った際に、インターホンを押した時点で、お部屋の中から『あ!来た!』というお客さまの声が聞こえて、お渡しする際も嬉しそうな笑顔でその郵便物等を受け取られるところを見ると、『この仕事をやっていてよかった!』と思います。」
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