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『手紙から始まる物語。』
ここには、様々な思いが詰まった手紙が毎週届きます。
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写真家・幡野広志さんが、妻と子どもにおくる「ラブレター」

  • ON AIR
  • 2022/09/04

写真家の幡野広志さんをお迎えして

写真 今週は、写真家の幡野広志さんをお迎えしました。
写真 今年の7月、幡野さんは新刊『ラブレター』を出版されました。こちらは、「妻と子どもに宛てた48通のラブレター」がまとめられた1冊です。
まずは『ラブレター』の一節を、宇賀さんの朗読でお届けしました(朗読はradikoでお聞きください)。

宇賀「幡野さんは5年前に、血液がんの一種である多発性骨髄腫を発症し、余命宣告を受けていらっしゃるんですね」

小山「まったく、お元気そうですし、顔色もいいですし……」
写真 幡野「病気になってからふっくらとして、体重は20キロくらい増えたんですよ。健康な時はもっと、シックスパック寄りのお腹でした(笑)。体もガッチリしていました」

宇賀「鍛えていらしたんですね。病気になったことで、どう人生が変わりましたか?」

幡野「やっぱり価値観が大きく変わったかな、というのはありますね。健康で長生きすることが前提だったら、お金を貯めようとか、老後のこととかいろいろ考えますけど、そういうものがなくなってきちゃったので、そこに考えていたものを、別のところに考え方を振っていくというか。子どもが小さいし妻もいるので、その2人の生活のことを考えていく、というのが、大きく変わりましたね」

小山「今、お子さんはおいくつなんですか?」

幡野「6歳になりました。来年、小学生ですね」

小山「5年前に病気が発覚した時は、まだ生まれた直後ですか?」

幡野「1歳半くらいですね」

宇賀「この『ラブレター』というお手紙は、いつから書くことにしたんですか?」

幡野「病気になってから引越しをしたんですよ。住んでいたのが、玄関を開けて階段という物件だったんですね。その時、ちょっと歩けなくなっていて転倒すると骨折もしちゃう状況だったので、バリアフリーの物件に移り住んだんです。その時に、昔、僕が妻に書いた手紙が出てきたんですよ。それがまだ付き合っている時、ベトナムに僕が撮影に行った時に書いた手紙で。僕はアシスタントをしていたのですが、〈有名になって幸せな想いをさせてあげるね〉みたいなことを書いていて。そこから仕事は安定していたんですけど、病気になってからもう1回、1人でベトナムに渡航して、もう1回妻と子どもに手紙をまた書いた、というのがきっかけですね」

小山「病気になったあとに、ベトナムに?」

幡野「ようやく杖をついて歩けるくらいになってから、ベトナムのホーチミンに行って1週間くらい滞在して。そこでまた、あの時の感覚を思い出しながら妻に手紙を」
写真 小山「じゃあ、手紙を書くために?」

幡野「手紙を書くために行きましたね」

小山「写真を撮るためじゃなく?」

幡野「手紙ですね、手紙のために。今でも海が見えるところに行って手紙を書いたりとか。北海道とか沖縄とか、撮影でいろいろ行くのですが、そういうところでついでに手紙を書くみたいな」

宇賀「もともと、お手紙は書かれる方でしたか?」

幡野「でもそんなに頻繁に書いていたわけじゃないですね。妻と結婚したばかりの時に、僕が2ヶ月くらい出張で家を空けていたんですよ。その時子どもはいなかったんですけど、結構大変な仕事で。毎日電話をしていたんですけど、大変な仕事をしているとイライラして喧嘩しちゃうんです。これは良くないな、と思って手紙に切り替えたんです。書いて、送って、2日後くらいに向こうに着いて。その返事がまた3日後くらいに滞在しているホテルに来るんですけど、手紙なら喧嘩しようがないじゃないですか。手紙で喧嘩し始めたら、ほぼ離婚と同じですから(笑)。手紙ってすごくいいな、と思って。文字にすると、必然的に優しくなるので。相手を思う、考えてあげられるというか」
写真 小山「『ラブレター』に掲載されているのは、どれも愛おしく感じるような写真ばかりですね。お子さんがコーラを注いでいるだけの写真も、優しさにあふれている感じがありますよね」

幡野「もしかしたらそういう写真も、健康だったら撮っていないかもしれないですね」

宇賀「本当にいい写真ですよね。お子さんが赤ちゃんの頃の写真から、だんだん大きくなっていって。成長されていくというのが」

小山「優くん(お子さん)は、パパの病気のことは理解しているんですか?」

幡野「理解はどうですかね。ただ、毎日、薬を飲んでいるんですよ。飲む薬の量も、結構な量を飲んでいたり、定期的に病院に行ったりとか入院をしたりとか。『お父さん、病気だからね』ということは伝えているんですけど、しっかり理解まではちょっとわからないですね。これから教えていかなきゃな、と」
写真 宇賀「この番組はお手紙をテーマにしているのですが、すでにうかがっていますが、これまでで印象に残っているお手紙はありますか?」

幡野「さっきも話しちゃいましたけど、ベトナムで妻と子どもに書いた手紙は印象的でしたね。ガンになって2ヶ月後くらいに1人で渡航して、ベトナムのカフェで手紙を書いている時、『何やっているのかな? 普通、こんなことしないよね』と思いながらも書いて。でもやってよかったですね。すごく印象に残っています」

小山「それは手紙を書くためにベトナムに行くんだと、奥様には?」

幡野「言いました」

小山「(手紙が届くより)先に、幡野さんが帰ってくるわけですよね?」

幡野「あ、手紙はまだ、渡してもいないんですよ。まだ持っていますね。本棚に差しておいて。僕が死んだ時、死んだあとに、何かのタイミングで出てきて開けてくれればいいかなと」

宇賀「ベトナムに行く、と言ったら心配しませんでした?」

幡野「普通、心配しますよね。『行ってらっしゃい』って言っていましたね。うちの妻はいつもそうなんですよ。ベトナムだけじゃなくていろいろな国にそのあとも行くんですけど。日本中は今も行っていて、止められたことは1回もなくて。いつも『行ってらっしゃい』と言ってくれて。『行ってらっしゃい』と言ってくれるから、ちゃんと帰ってこなきゃな、と思いながら」
写真 宇賀「そして今日は、『いま手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いてきていただいているんですよね。どなたに宛てたお手紙ですか?」

幡野「月並みなんですけど、妻と息子に宛てた手紙を」

幡野さんが奥様と息子さんに宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聴きください(9月11日まで聴取可能)。

宇賀「今日の放送を聞いて、幡野さんへお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しいたします。
【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 幡野広志さん 宛】にお願いします」
写真 宇賀「幡野さんの著書『ラブレター』は、ネコノスから発売中です。ぜひ、ご覧になってください」

小山「『ラブレター』は、ビニールに包まれていて、上にシールが貼ってあるんですね」

宇賀「送れるようになっているんですね」

小山「このまま送れるんですね!」

幡野「そのまま送れるようになっています。実際、親に送るとか、子どもに送りたいという方が結構多くて」

小山「確かに、プレゼントとしていいですね」

宇賀「ぜひ、ご自身で読みたいという方も、誰かに送りたいという方も、一度手に取っていただけたらと思います」
写真 最後に、薫堂さんから幡野さんに、こんな質問が……。

小山「幡野さんにとって、命とは何ですか?」
写真 幡野「どう頑張っても、いずれ全員死にますよね。そうなってくると、どう生きるかっていう話じゃないですか。つらく、苦しく生きるよりも、ラクに楽しく生きた方がいいわけであって。突き詰めていくと、幸せになった方がいいわけですよね。ということは、幸せになるために生きてきているんじゃないかなと僕は思うんですよ。幸せになるって、結局、人間関係だなって思うんですね。人を幸せにすることもできるし、逆に不幸にすることもできちゃうし。人によって自分が幸せにもなるし、不幸にもされちゃうし。そういう選択の連続というか、幸せになって生きるのがいちばんいいんだな、と。そのために人生の駒を進めていくというか。病気というのは確かに、大きなアクシデントというか、予定外のことではあったんですけど、それもしょうがないかなと。それよりも先に、病気になったけど、楽しい病人生活を送った方がいいよね、という選択肢が出てくるわけで。そういう選択の連続だな、と思いますね」
写真 幡野広志さん、ありがとうございました!

幡野広志『ラブレター(ネコノス)』

皆さんからのお手紙お待ちしています

毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。
引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。

今週の後クレ

写真 今回のメッセージは、神奈川県〈横浜本牧原郵便局〉浅野奈保子さんでした!

「『また利用したいな』と思ってもらえるような接客を常に心がけています。郵便局では色々な商品を取り扱っており、生活に役立つ情報がたくさんあるので、ただ手続きを行うだけではなく、お客さまの相談に乗るようなイメージで、情報提供するように心がけています。会話を盛り上げ、お客さまを楽しませようとしているつもりなのですが、実は、自分も一緒になって会話を楽しんでおり、元気をもらい、また頑張ろう!と思っています。」
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