和の鉄人・道場六三郎さんが登場!
- 2022/04/03
料理人の道場六三郎さんをお迎えして
今回はスタジオに、料理人の道場六三郎さんをお迎えしました。
宇賀「薫堂さんが手掛けられた料理番組『料理の鉄人』。調べたら、1993年から99年までフジテレビで放送されていたんですね。それまでにはない斬新な番組で、今も伝説として知られているわけなのですが、今日はそんな料理の鉄人の中でも最も人気の高かった和の鉄人・道場六三郎さんをお迎えしました!」
道場「よろしくどうも」
小山「ご無沙汰しています」
宇賀「道場さんはお元気ですよね、背筋とかもピンとしていらっしゃって。元気の秘訣や健康の秘訣はありますか?」
道場「健康の秘訣はですね、僕はゴルフをやっていてね。今でも週に2回から3回やるんです。それで足の筋肉が強いので、まだ転んだことがないんでね、そういったこともありますし。なんでもポジティブに考える性格でプレッシャーってあんまりないんですよ。そういったことが僕の長生きの秘訣かなと」
宇賀「薫堂さん、どうして料理の鉄人に道場さんをお呼びしようと思ったんですか?」
小山「確かお亡くなりになった岸朝子さん、服部幸應先生の推薦で道場さんがいいんじゃないかとなったんです。いま91歳でいらっしゃって……鉄人の時はおいくつですか?」
道場「62、3歳ですね」
宇賀「どうですか、オファーを受けた時は?」
道場「『いつ頃まであるんだ?』と聞いたら、『半年くらいだ』と言うので、じゃあいいんじゃないかな、と(笑)」
宇賀「実際、やってみてどうでしたか?」
道場「やっぱり負けたくないという気持ちもあるし。それを女房がハラハラドキドキして見るんでね、かわいそうだと思ったこともあります」
小山「僕は試合が終わった後に、つまみ食いをするわけですよ。その時にフォアグラとポン酢を和えたものを道場さんが作られたんです。その当時、フォアグラはフレンチにしか使わないと思っていたんです。ポン酢がこんなにフォアグラに合うんだ、と思ったことはありましたね」
道場「僕は昔、鯛の対決があった時に、小山さんの『鯛の頭に作法なし』と言ったあの言葉をいまだに覚えています」
小山「僕、全然覚えていないです(笑)」
道場「格好良かったですよ」
宇賀「道場さんが料理の道に進もうと思われたのはいつ頃だったんですか?」
道場「僕は生まれが石川県の山中温泉という小さな町でね、食べるものが全然ない時代ですからね。料理人をやっていれば何とか食べてはいけるんだろうという、安易な気持ちなんですけど、それがきっかけですね。僕の家の家業が漆の仕事なんですけど、それが嫌でね。だったら料理人になろうと。ずっといまだにやっていてよかったです。東京に来て70年が過ぎましたね。包丁を持って75年くらいになるかな」
宇賀「その間、一度もやめようと思ったことはないんですか?」
道場「そうですね。やめたら食べていけないですからね。親の教えじゃないけど、石の上にも三年というのが頭の中にあって、かじりつきましたね。だけど料理は楽しいですね。本当に好きな道に入れて良かったと思います」
小山「70年間料理を作っていて、いちばん緊張した時はどんな、誰に作った時とかは覚えていますか?」
道場「そうですねえ、中曽根(康弘)さんが90歳の時にうちに来てくれて、料理を作ったんですけどね。中曽根さんが『年寄りには年寄りの料理人がいいな』って、えらい年の差はあるんだけどね、言われたのが今となると嬉しいのか、悲しいのか(笑)」
小山「それは90歳の方が喜ぶような調理法だったんですか?」
道場「やっぱり歳をとるとね、口が大きく開けられないんですよ。小さくカットしてあげてね、味加減も気をつけました」
小山「食べる方に合わせて常に味も変えるし、考え方も変えられるんですね」
道場「やっぱり思いやりでしょうね」
宇賀「75年されてきて、料理への想いや仕方はずっと変わらないんですか?」
道場「僕の場合は変わっていくんですよ。今までの日本料理の職人というのは、昔の仕事を意外と尊がるのですが、僕は昔やった仕事はやりたくないのでね。自分で考えた仕事の方が生き生きしているんです。人真似をしたくないね」
小山「最近でも発見した技はあるんですか?」
道場「大根おろしにマヨネーズを入れて、レモンを絞って砂糖をちょっと入れる“マヨおろし”なるものを作ったんです。それが今まで聞いたことも見たこともない代物で、おろしとマヨネーズをミキサーにかけますとね、また真っ白になるんですよ。だからそれに彩りも、アスパラやエビなんかを入れると色が爽やかでね、食べるとさっぱりで、面白いマヨおろしですね」
小山「すぐやってみたいですね!」
宇賀「確かに聞いたことがないですね」
小山「どうしてそういうのがひらめくんですか?」
道場「僕は寝ながら考えるのが、料理のことと、ゴルフのことなんですよ」
小山「寝ている時になんとなく『大根おろしとマヨネーズ、うまいかも』と思ったんですか?」
道場「そういう発見が結構あるんですよ。それが楽しくてね、夜中に起きてやってみたりするんです」
小山「すごいですね。91歳になってもクリエイティブが止まらないですね」
今年の2月に、道場さんの新しいエッセイ集『91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く』が発売になりました。
小山「これも読ませていただくと、初心忘るべからずを常に実践されている感じですよね。原点を忘れるということはないんですね」
道場「いまだに子どもの頃のいたずら心はありますね」
宇賀「これまでお弟子さんもたくさんいらっしゃって、その時は何を大事に伝えていらっしゃったんですか?」
道場「若い連中には『包丁は研げよ』と言うんですよ。切れる包丁は気持ちがいいんで楽しくなるんですよね。今の連中はどうも包丁をあまり研いでいないんだよね。一昨年の僕の座右の銘が『許す』だったんです。いろんなことがあっても何とか許してやろう、と。思いやりというのはお客さんだけじゃなく、働く連中にも思いやりをかけています」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、道場さんはこれまで書いたり、受け取ったりした中で印象に残っているお手紙はありますか?」
道場「僕が東京に出てきた頃、『風邪引くな』『可愛がってもらえ』という親からの手紙が来て。僕がね、時々自慢する癖があるんですよ。そうしたら『六ちゃん、あんまり自慢話をするんじゃないよ』と書いてあって、あんまり自慢話をしちゃいけないと、いまだに想いがありますね。本当には親はいつまで経っても子のことを思ってくれるんですね」
宇賀「今日は、『いま手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いていただいているんですよね」
道場「女房に、思いつくまま書きました」
道場さんが奥様に宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聴きください(4月10日まで聴取可能)。
宇賀「今回の放送を聞いて、道場さんへお手紙を書きたい、と思った方もいらっしゃると思います。ぜひ番組にお寄せください。責任を持って、ご本人にお渡しいたします。【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 道場六三郎さん宛】にお願いします」
小山「今日の放送を聞いて、道場さんのお料理を食べたいと思った方は、銀座のお店(銀座ろくさん亭/懐食みちば)にぜひ」
道場さんのエッセイ『91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く』、こちらもぜひお手に取ってみてください。
『91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く(KADOKAWA)』
道場六三郎さん、ありがとうございました!
道場「よろしくどうも」
小山「ご無沙汰しています」
宇賀「道場さんはお元気ですよね、背筋とかもピンとしていらっしゃって。元気の秘訣や健康の秘訣はありますか?」
道場「健康の秘訣はですね、僕はゴルフをやっていてね。今でも週に2回から3回やるんです。それで足の筋肉が強いので、まだ転んだことがないんでね、そういったこともありますし。なんでもポジティブに考える性格でプレッシャーってあんまりないんですよ。そういったことが僕の長生きの秘訣かなと」
宇賀「薫堂さん、どうして料理の鉄人に道場さんをお呼びしようと思ったんですか?」
小山「確かお亡くなりになった岸朝子さん、服部幸應先生の推薦で道場さんがいいんじゃないかとなったんです。いま91歳でいらっしゃって……鉄人の時はおいくつですか?」
道場「62、3歳ですね」
宇賀「どうですか、オファーを受けた時は?」
道場「『いつ頃まであるんだ?』と聞いたら、『半年くらいだ』と言うので、じゃあいいんじゃないかな、と(笑)」
宇賀「実際、やってみてどうでしたか?」
道場「やっぱり負けたくないという気持ちもあるし。それを女房がハラハラドキドキして見るんでね、かわいそうだと思ったこともあります」
小山「僕は試合が終わった後に、つまみ食いをするわけですよ。その時にフォアグラとポン酢を和えたものを道場さんが作られたんです。その当時、フォアグラはフレンチにしか使わないと思っていたんです。ポン酢がこんなにフォアグラに合うんだ、と思ったことはありましたね」
道場「僕は昔、鯛の対決があった時に、小山さんの『鯛の頭に作法なし』と言ったあの言葉をいまだに覚えています」
小山「僕、全然覚えていないです(笑)」
道場「格好良かったですよ」
宇賀「道場さんが料理の道に進もうと思われたのはいつ頃だったんですか?」
道場「僕は生まれが石川県の山中温泉という小さな町でね、食べるものが全然ない時代ですからね。料理人をやっていれば何とか食べてはいけるんだろうという、安易な気持ちなんですけど、それがきっかけですね。僕の家の家業が漆の仕事なんですけど、それが嫌でね。だったら料理人になろうと。ずっといまだにやっていてよかったです。東京に来て70年が過ぎましたね。包丁を持って75年くらいになるかな」
宇賀「その間、一度もやめようと思ったことはないんですか?」
道場「そうですね。やめたら食べていけないですからね。親の教えじゃないけど、石の上にも三年というのが頭の中にあって、かじりつきましたね。だけど料理は楽しいですね。本当に好きな道に入れて良かったと思います」
小山「70年間料理を作っていて、いちばん緊張した時はどんな、誰に作った時とかは覚えていますか?」
道場「そうですねえ、中曽根(康弘)さんが90歳の時にうちに来てくれて、料理を作ったんですけどね。中曽根さんが『年寄りには年寄りの料理人がいいな』って、えらい年の差はあるんだけどね、言われたのが今となると嬉しいのか、悲しいのか(笑)」
小山「それは90歳の方が喜ぶような調理法だったんですか?」
道場「やっぱり歳をとるとね、口が大きく開けられないんですよ。小さくカットしてあげてね、味加減も気をつけました」
小山「食べる方に合わせて常に味も変えるし、考え方も変えられるんですね」
道場「やっぱり思いやりでしょうね」
宇賀「75年されてきて、料理への想いや仕方はずっと変わらないんですか?」
道場「僕の場合は変わっていくんですよ。今までの日本料理の職人というのは、昔の仕事を意外と尊がるのですが、僕は昔やった仕事はやりたくないのでね。自分で考えた仕事の方が生き生きしているんです。人真似をしたくないね」
小山「最近でも発見した技はあるんですか?」
道場「大根おろしにマヨネーズを入れて、レモンを絞って砂糖をちょっと入れる“マヨおろし”なるものを作ったんです。それが今まで聞いたことも見たこともない代物で、おろしとマヨネーズをミキサーにかけますとね、また真っ白になるんですよ。だからそれに彩りも、アスパラやエビなんかを入れると色が爽やかでね、食べるとさっぱりで、面白いマヨおろしですね」
小山「すぐやってみたいですね!」
宇賀「確かに聞いたことがないですね」
小山「どうしてそういうのがひらめくんですか?」
道場「僕は寝ながら考えるのが、料理のことと、ゴルフのことなんですよ」
小山「寝ている時になんとなく『大根おろしとマヨネーズ、うまいかも』と思ったんですか?」
道場「そういう発見が結構あるんですよ。それが楽しくてね、夜中に起きてやってみたりするんです」
小山「すごいですね。91歳になってもクリエイティブが止まらないですね」
今年の2月に、道場さんの新しいエッセイ集『91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く』が発売になりました。
小山「これも読ませていただくと、初心忘るべからずを常に実践されている感じですよね。原点を忘れるということはないんですね」
道場「いまだに子どもの頃のいたずら心はありますね」
宇賀「これまでお弟子さんもたくさんいらっしゃって、その時は何を大事に伝えていらっしゃったんですか?」
道場「若い連中には『包丁は研げよ』と言うんですよ。切れる包丁は気持ちがいいんで楽しくなるんですよね。今の連中はどうも包丁をあまり研いでいないんだよね。一昨年の僕の座右の銘が『許す』だったんです。いろんなことがあっても何とか許してやろう、と。思いやりというのはお客さんだけじゃなく、働く連中にも思いやりをかけています」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、道場さんはこれまで書いたり、受け取ったりした中で印象に残っているお手紙はありますか?」
道場「僕が東京に出てきた頃、『風邪引くな』『可愛がってもらえ』という親からの手紙が来て。僕がね、時々自慢する癖があるんですよ。そうしたら『六ちゃん、あんまり自慢話をするんじゃないよ』と書いてあって、あんまり自慢話をしちゃいけないと、いまだに想いがありますね。本当には親はいつまで経っても子のことを思ってくれるんですね」
宇賀「今日は、『いま手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いていただいているんですよね」
道場「女房に、思いつくまま書きました」
道場さんが奥様に宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聴きください(4月10日まで聴取可能)。
宇賀「今回の放送を聞いて、道場さんへお手紙を書きたい、と思った方もいらっしゃると思います。ぜひ番組にお寄せください。責任を持って、ご本人にお渡しいたします。【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 道場六三郎さん宛】にお願いします」
小山「今日の放送を聞いて、道場さんのお料理を食べたいと思った方は、銀座のお店(銀座ろくさん亭/懐食みちば)にぜひ」
道場さんのエッセイ『91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く』、こちらもぜひお手に取ってみてください。
『91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く(KADOKAWA)』
道場六三郎さん、ありがとうございました!
今週の後クレ
今回のメッセージは、富山県〈久目郵便局〉広瀬京子さんでした!「久目郵便局は富山県氷見市の山間部にある小さな郵便局です。郵便局へいらっしゃるお客さまは、地元の方がほとんどでご高齢の方も多いです。みなさん、遠くにいるお子さんやお孫さんに地元の野菜を送りたいと、よく来局されます。先日も「お米美味しかったよー!と連絡が来たのよ」と嬉しそうにお話ししていかれたお客さまがいました。 郵便局へいらっしゃるお客さまの癒やしになればいいなと、郵便局の前にプランターを置き、お花を植えました。マリーゴールド、ベゴニア、ペチュニア、ホウセンカなどがあり、お客さまに「綺麗に咲いてるねえ」と笑顔で仰っていただき、とても嬉しかったです。」
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