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『手紙から始まる物語。』
ここには、様々な思いが詰まった手紙が毎週届きます。
読むと、送り主のことがもっと知りたくなってきます。
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与那国島の音と文化を伝える 與那覇有羽さん

  • ON AIR
  • 2020/09/27

與那覇有羽さんをお迎えして

写真 今回は日本最西端の島・与那国島からのゲストをお迎えしました。与那国の音楽と文化を伝えるアーティスト、與那覇(よなは)有羽(ゆうう)さんです。
與那覇さんは1986年 沖縄県与那国島生まれ。人口およそ1700人、自転車でも約3時間かければ一周できる大きさの島です。幼い頃から与那国島の音楽に触れて育った與那覇さんは、高校進学を機に移り住んだ那覇でさらに多くの民謡と出会い、琉球古典音楽を学びます。2011年に与那国島に戻ってからは島の内外でライブを行うなど、島の音楽と伝承文化を発信されています。
写真 小山「与那国島は方言がかなり違うと聞きましたが、そんなに違うんですか?」

與那覇「喋ると県内でも通じません」

宇賀「いまは全国向けに喋っていただいているんですよね」

小山「でもいまの方言のイントネーションは沖縄っぽいですよ」

與那覇「沖縄の方言は琉球諸語と呼ばれるんですけど、その中で共通する三母音の法則というのがあるんですね。『あ・い・う・い・う』になるんです、あいうえおじゃなくて。たとえば、『ヨル』は『ユル』になって、与那国の言葉では『ドゥル』になるんです」

宇賀「へえ!」

小山「島の人口が1700人ということは、大体知り合いですか?」

與那覇「顔見知りですね。悪いことしたらすぐにバレますね、インターネットより速いです(笑)」

宇賀「行ってみたい! 本当に海が綺麗なんですよね。與那覇さんは一旦、高校は那覇に行ってそれから戻ってきたんですね。やっぱり与那国が良かったですか?」

與那覇「もともと帰りたいなという気持ちはあって。いつ帰るかは決めていなかったんですけど、やっぱり島に帰ってからしか歌えない歌があると思ったので」

宇賀「そんな与那国に伝わる与那国民謡というのは、どんな特徴があるんですか?」

與那覇「他の琉球民謡や八重山民謡も含めて、まずは与那国の言葉で歌っていることが大きいですね。音階だとか、そういうのは似たり寄ったりなんですけど、言葉が違うと伝わる時の触感が違うんですよ。ある一箇所から出た歌でも、この歌が移動して回るとすごい変化してくるんですよ。やっぱり言葉が違うと、違いが出てくるのがよくわかりますね」

小山「与那国の言葉は、ユネスコで消滅の危機にある言語に認定されているんですね。人口も1700人ですから、与那国の言葉を普通に使っている人は1700人ということですか?」

與那覇「いえいえ、ごく一部ですよ」
写真 小山「子どもたちはもう使わないんですか?」

與那覇「使わないというよりは使えなくなっているから、最近ではやっぱり大事にしないといけないということで、勉強し直したりとかですね」

小山「與那覇さんが歌で文化を残していこうと思った、歌い手になろうと思ったきっかけはなんだったんですか?」

與那覇「とにかく好きだったんですね。音楽は苦手なんですよ、どっちかっていうと(笑)。苦手なんだけど、島の民謡とか歌がとっても好きだったから、やったという感じです。だから何でもかんでもできるわけでもなくて」

9月23日にアルバム「風の吹く島〜どぅなん、与那国のうた」をリリースした與那覇さん。放送では、「若船(ばがふに)でぃばら」という曲から一節歌っていただきました。

小山「言葉の意味はまったく分かりませんけど、情景が浮かぶようでした」

宇賀「本当に気持ちのいいお声ですね。『風の吹く島〜どぅなん、与那国のうた』の、『どぅなん』はどういう意味なんですか?」

與那覇「与那国、という意味です。沖縄の人は『ゆなぐに』、石垣の人は『ゆのおん』、与那国の人は『どぅなん』と言うんです」

小山「全然違いますね!」

宇賀「『どうなの?』みたいな意味での『どぅなん』かと思いました(笑)。これは昔からずっと歌い継いでいる、暮らしとか生活に関わる歌なんですか?」

與那覇「日常に関係のある歌ですね。どの歌が思い入れありますか? とか聞かれるんですけど、全部、1つひとつ思い入れいっぱいの歌です。今回、特別に覚えた歌は1曲くらいで。あとはお祝いの時とか豊年祭の時に演じられる歌とかを歌ったり、あとはわらべ歌みたいに歌ったり。もしくは人が亡くなった時でも島の人は歌うんですね。その時に、もう見えなくなった相手に手紙を送るような感じで歌い上げたりしますね」

小山「情景が浮かびますよね。海があって、日が暮れて、茜色に空が染まっていくみたいな。夜も星がきれいなんでしょうね」

與那覇「星はとってもきれいです。星を見た人がよく言うのは、『あんまり輝きすぎて、星座がわからなくなる』。ちっちゃい星がいっぱい見えるから、星座がどれかわからなくなるって」
写真 アルバムには、與那覇さんの奥様、妹さんと、ご家族が演奏で参加されているそうです。

小山「家族で音楽ができるというのは、それだけ生活に密着していることでもあるんですか」

與那覇「密着していますね。僕自身はそんなに特別なことと思ってやっていなかったけど、いろんな人に会うと『家族でやるのいいね』と言われて、ああそうなんだ、と」

宇賀「與那覇さん、歌だけではなくて、民芸品も作られているんですね」

與那覇「クバ、日本語で言うとビロウと言う植物を使って。この葉っぱはいろいろなものを作れるんですね、笠を作ったり。畑用の笠です」

宇賀「かわいいですね!」
写真 写真 小山「宇賀さん似合いますね。これは、みなさん被って作業をされるんですか?」

與那覇「そうそう、とってもみんな使いますよ。帽子をかぶると暑くなるんですけど、笠は広くなっているから風が入ってきて涼しいですよ」

小山「これを與那覇さんは趣味として作っているんですか?」

與那覇「いえ、仕事ですね」

宇賀「これからはどんな活動をされる予定なんですか?」

與那覇「笠作ったり、歌を歌うというのはやっぱり特別な面もあったりするんですけど、特別とみんなが思わないで日常の感じで続けられたらいいなと思います」

小山「歌がきっかけで与那国に興味を持って、たくさんの人が来てくれると嬉しいですよね」
写真 與那覇さんに、お手紙についてのお話もうかがいました。

與那覇「やっぱり歌って手紙だなと思う部分があって。僕が島にいた時に、とても影響を受けたおばあちゃんがいて。学生で島を離れていた時、そのおばあちゃんの旦那さんが亡くなったと聞いて、お葬式に手紙を送ったら返事が来て。それはみんなに出す用のものだったんですけど、そこに『歌ありがとう』と書かれていたんです。島では歌を歌って見送るものだから、僕はその歌を一節だけ書いておばあちゃんに送っていたんです。ボールペンで書かれていた『歌ありがとう』がすごく印象的でしたね」

小山「一言だけでも、手書きだったら伝わりますよね」

宇賀「いま、手紙を書くとしたら誰にどんな手紙を書きたいですか?」

與那覇「やっぱり、CDが手紙かなと思いますね。歌自体が昔の人から届いた自分への手紙だなと思うし、歌うことが、僕からまた次の人へ伝える手紙なんだなあと思って。昔の人たちは字が書けないものだから、目に見えていることとか起こることを(歌で)手紙にするんですね。与那国にいる人が歌ったのは、そよそよ吹く風があなたのところに吹いたんだったら、私があなたのことを思っていると思って聞いてくださいね、と。字が伝わる前から手紙って出されているんだなと思いますね」

小山「僕、昔『おくりびと』の脚本を書いた時に、『いしぶみ』というもの(本)を出して。まだ字が生まれる前に、自分の心に似た石を探してそれを旅人に渡して、相手のところに持って行ってもらうという話を聞いて、それをモチーフにしたんですけど。風もそうなんですね」

與那覇「風というのは沖縄の歌の中ではとても大事なフレーズです。やりきれない自分の思いを風に託したり、あの人は聞いてくれているかな、と風に託したりします」

小山「いまの話を聞くと、与那国に行って風を浴びたくなりますね。そこに誰かからのメッセージがあるような気がしてきますね」

宇賀「放送を聞いて、與那覇さんにお手紙を書きたいと思ってくださった方もいらっしゃると思います。ぜひ番組へお寄せください。我々が責任を持ってご本人にお渡ししますので、ぜひお寄せください」

與那覇さんへのお手紙は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」與那覇有羽さん宛】にお願いします。

そして、與那覇さんからこんなご提案が……。

與那覇「手紙をいただいた方には、もし島に来られる機会があったら民具をひとつ差し上げますので、遊びに来てください。ただし、僕がお返事をする時に電話番号をちゃんと載せておくので、来るときは必ず電話してください(笑)。僕、いない時もあるので」

小山「與那覇さんに会いに与那国まで行くのもいいですよね。でも本当にいいんですか?」

宇賀「いっぱい来ちゃうかもしれない……」

與那覇「大丈夫ですよ! 何でかと言うと、歌を聞いて感じ取ってほしいな、と思うんです。CDの中にも想いは込めてあるんだけど、現地で聞くのとは全然違いますよ、僕自身がそう感じたので。島には島でしか歌えない、聞けない歌があると思うので」
写真 小山「今日、我々は與那覇さんと数十分一緒にいただけで、汚れた心が洗われていくような感じがありますね」

宇賀「波の音と風で、洗われていきますね」

與那覇「電気消さないと歌えない歌とかもありますからね」

宇賀「そんなのもあるんですね!」

小山「まずは、『風の吹く島〜どぅなん、与那国のうた』を聞いてもらうといいですね」

與那覇有羽さん、ありがとうございました!
写真

レターソングプロジェクト with YOASOBI

写真 SUNDAY’S POSTでは、音楽ユニットYOASOBIとのコラボ企画「レターソングプロジェクト with YOASOBI」を開催しています。
あなたの手紙を原作にYOASOBIが楽曲を制作するプロジェクト。テーマは〈「ありがとう」を伝える手紙〉。家族、友人、恋人……面と向かって言うには少し気恥ずかしい「ありがとう」の気持ちを手紙で伝えてみませんか?
ご応募は【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」レターソングプロジェクト】までお願いします。締め切りは10月31日。氏名、住所、電話番号の明記を忘れずにお願いします。
詳しい情報は、こちらのページからご確認ください。

レターソングプロジェクト with YOASOBI

今週の後クレ

写真 今回のメッセージは、沖縄県<真喜良郵便局>金成こずえさんでした!

「沖縄県外宛てに荷物を差出しにいらっしゃったお客さまを、窓口で対応した際に、『現在、新型コロナウイルスの影響で、飛行機が減便となっており、荷物のお届けに遅れが出る可能性があります』と説明したところ、そのお客さまは『急いでいるけれど、仕方ないさー』と了承してくださいました。 後日、その荷物が遅れずに届いたそうで、そのお客さまが嬉しかったのか、ご丁寧に郵便局へいらしてくださり、私に『ありがとう、届きましたよ』と笑顔で感謝を伝えてくださったのがとても嬉しかったです。」
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