津軽三味線の音を世界へ届ける 小山豊さんをお迎えして
- 2020/09/20
津軽三味線小山流三代目 小山豊さん
今回は、津軽三味線小山流三代目 小山(おやま)豊(ゆたか)さんをお迎えしました。小山流の三代目として、幼少の頃から三味線に励んでいた小山さんは、日本に伝わる民謡に限らず、ロックやJAZZなど、ジャンルを超えてご活躍。日本に限らず、カーネギーホールなど海外でも演奏を行うなど、高い評価を得ています。
宇賀「小山流というのはどういう流派なんですか?」
小山「うちは祖父が創流した流派です。小山村というのが青森県の津軽地方にありまして、そこの出身なので。昭和33年に東京の方に出てきて、基本的には津軽三味線は一人で弾く楽器なんですけど、『合奏スタイルでやってみようじゃないか』ということで合奏を始めた流派なんです。(津軽三味線には)基本的には譜面がないんですけど、譜面をこしらえて全国・一般の方に広めようとした流派でもあります」
薫堂「じゃあ昭和33年以降に、譜面ができたんですね」
小山「いわゆる“文化譜”と言いまして、ギターでいうポジションが書いてあるタグ譜のようなものですね」
薫堂「当然、子どもの頃から三味線の音を聞きながら育ったんですよね」
小山「そうですね、父もやっているので家の中には基本的に民謡が鳴り響いている環境でした」
宇賀「自分も大人になったら三味線をやっていくんだ、と言う気持ちはずっとあったんですか?」
小山「どこかしらにはありましたね。6歳の6月6日からやると上手くなるという日本の風習があるんですけど、それにもとづいて始めていました。やりたいことはたくさんあったんですけど、結局、やらなくてはいけないんだろうな、という思いはありました」
宇賀「いつ頃決心をされたんですか?」
小山「19歳くらいの時だと思うんですけど、津軽三味線のコンクールに初めて出ることになりまして。その時に初めて同世代の若い方がたくさんやっていることを知ることになって、それで火がついた感じですね」
薫堂「小山さんはこれまで、ジャンルを超えていろいろなアーティストの方とコラボレーションをされていますよね。最初は誰だったんですか?」
小山「演歌の城之内早苗さんのツアーに回らせていただいたのが19歳でしたね。そこから演歌は北島三郎先生もそうですし、藤あや子さんも。あとはジャズ方面のすごい方や、世界の民族楽器の方々。あとはフランスで『ラ・フォル・ジュルネ』というクラシックの祭典があるんですけど、そこで古楽器の楽団とも一緒にやっていますし。あとはお芝居、朗読劇、書道、J-POPとかですね」
宇賀「ただ、明るい話だけではなくて、三味線最大手のメーカーが、コロナ禍の影響で廃業寸前にまでなってしまったニュースがあって」
薫堂「それは公演がなくなって、ということなんですか?」
小山「コロナ以前に生産量はかなり減っていたんですけど……職人の腕があまりに良すぎて、楽器が頑丈で(買い替えの必要がないから)自分の首を絞めてしまった部分も、実はあって。でもまだ廃業が決まったわけではなく、募金があったり修理の受注が増えたり、未確定なところはあるんですけど」
薫堂「まだみんなで守れば、何とかなるんですか?」
小山「そうですね」
宇賀「いつまでも引き継いでいくためには、奏者だけではなく、作る人たちがいなくては成り立ちませんよね。今回スタッフが、三味線を作っていらっしゃる、東京の荒川区町屋にある『三味線かとう』におじゃましてきました。せっかくなので、小山さんとともに、その三味線づくりの音に耳を済ませてみたいと思います」
放送では、「三味線かとう」のご主人・加藤金治さんによる、三味線づくりの音をお届けしました。
そして、8月12日にリリースされた小山さんのニューアルバム「obi」から、「椰子の実Yashinomi」を生演奏していただきました。こちらはradikoでぜひお楽しみください。
宇賀「このアルバムはどんなきっかけで作ろうと思われたんですか?」
小山「長年溜め込んでいた想いみたいなものがあったんですけど、江ノ浦測候所という場所がありまして……」
薫堂「杉本博司さんの?」
小山「はい、あそこで演奏させていただく機会があって、そこで原点回帰をしないといけないという想いがすごくあって。僕の原点はやっぱり民謡なので、民謡をどうやって皆さんに聞いていただけるものになるかな、とか、ワールドミュージックとして昇華できるかなというのを考えて、今回はいろいろなアレンジを加えてアルバムを作りました。これまでよくあった洋楽のフォーマットに和楽器をアレンジとして入れるのではなくて、和楽器の持っているものに洋楽を加えていくという真逆のアプローチをしてみました」
薫堂「世界の音楽になっている感じですよね。海外のホテルのロビーでかかっていても違和感ないですよね」
宇賀「世界の人に聴いていただきたい音楽ですよね」
そして、小山さんの心に残っているお手紙の思い出についてもうかがいました。
小山「強烈に印象に残っている手紙がありまして。2010年に、僕は初めてアメリカ本土での公演をやらせてもらったのですが、その時にプロデュースで入っていただいた田村光男さんという、残念ながらもうお亡くなりになっているのですが、その方からいただいた手紙がありまして。
〈どうやったら受け入れられるか。どんな風に、どんなきっかけで、どんな曲、とかの前にしっかりと存在していることが大切だと思います。それが音楽なのだと思います。だから音楽は音を出している時のみが音楽ではない。考えている時も、無駄な時間を費やしている時も、何よりも本人の意識が音楽家であるということが大切なのだと思います。〉2010年にこの手紙をもらった時、全く理解ができなくて。常にこれを持ち歩いていているんです。5年経った時に見て、『まだ読めないな』とか……すごく僕の指針になっている手紙です」
薫堂「では、10年くらい経った今はいかがですか?」
小山「ちょっとずつですけどわかるようになってきて。これがわかるようになりたいな、と」
薫堂「いままでたくさんの方とコラボされていますけど、この人とやってみたい! という人はいますか?」
小山「めちゃくちゃいますよ」
薫堂「日本国内ではどうですか?」
小山「山下達郎さんとか、ユーミンさんとか。海外ではスティング、スティービー……」
薫堂「出てくる名前がすごいですね。ドミニク・ミラーと一緒に演奏したらかっこいいでしょうね」
小山「そういう妄想はよくしています」
宇賀「でも言葉に出すと叶うかもしれないですからね」
宇賀「放送を聞いて、小山さんにお手紙を書きたいと思ってくださった方もいらっしゃると思います。番組が責任を持ってご本人にお渡ししますので、ぜひお寄せください」
小山さんへのお手紙は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」小山豊さん宛】にお願いします。
小山豊さん、ありがとうございました!
小山「うちは祖父が創流した流派です。小山村というのが青森県の津軽地方にありまして、そこの出身なので。昭和33年に東京の方に出てきて、基本的には津軽三味線は一人で弾く楽器なんですけど、『合奏スタイルでやってみようじゃないか』ということで合奏を始めた流派なんです。(津軽三味線には)基本的には譜面がないんですけど、譜面をこしらえて全国・一般の方に広めようとした流派でもあります」
薫堂「じゃあ昭和33年以降に、譜面ができたんですね」
小山「いわゆる“文化譜”と言いまして、ギターでいうポジションが書いてあるタグ譜のようなものですね」
薫堂「当然、子どもの頃から三味線の音を聞きながら育ったんですよね」
小山「そうですね、父もやっているので家の中には基本的に民謡が鳴り響いている環境でした」
宇賀「自分も大人になったら三味線をやっていくんだ、と言う気持ちはずっとあったんですか?」
小山「どこかしらにはありましたね。6歳の6月6日からやると上手くなるという日本の風習があるんですけど、それにもとづいて始めていました。やりたいことはたくさんあったんですけど、結局、やらなくてはいけないんだろうな、という思いはありました」
宇賀「いつ頃決心をされたんですか?」
小山「19歳くらいの時だと思うんですけど、津軽三味線のコンクールに初めて出ることになりまして。その時に初めて同世代の若い方がたくさんやっていることを知ることになって、それで火がついた感じですね」
薫堂「小山さんはこれまで、ジャンルを超えていろいろなアーティストの方とコラボレーションをされていますよね。最初は誰だったんですか?」
小山「演歌の城之内早苗さんのツアーに回らせていただいたのが19歳でしたね。そこから演歌は北島三郎先生もそうですし、藤あや子さんも。あとはジャズ方面のすごい方や、世界の民族楽器の方々。あとはフランスで『ラ・フォル・ジュルネ』というクラシックの祭典があるんですけど、そこで古楽器の楽団とも一緒にやっていますし。あとはお芝居、朗読劇、書道、J-POPとかですね」
宇賀「ただ、明るい話だけではなくて、三味線最大手のメーカーが、コロナ禍の影響で廃業寸前にまでなってしまったニュースがあって」
薫堂「それは公演がなくなって、ということなんですか?」
小山「コロナ以前に生産量はかなり減っていたんですけど……職人の腕があまりに良すぎて、楽器が頑丈で(買い替えの必要がないから)自分の首を絞めてしまった部分も、実はあって。でもまだ廃業が決まったわけではなく、募金があったり修理の受注が増えたり、未確定なところはあるんですけど」
薫堂「まだみんなで守れば、何とかなるんですか?」
小山「そうですね」
宇賀「いつまでも引き継いでいくためには、奏者だけではなく、作る人たちがいなくては成り立ちませんよね。今回スタッフが、三味線を作っていらっしゃる、東京の荒川区町屋にある『三味線かとう』におじゃましてきました。せっかくなので、小山さんとともに、その三味線づくりの音に耳を済ませてみたいと思います」
放送では、「三味線かとう」のご主人・加藤金治さんによる、三味線づくりの音をお届けしました。
そして、8月12日にリリースされた小山さんのニューアルバム「obi」から、「椰子の実Yashinomi」を生演奏していただきました。こちらはradikoでぜひお楽しみください。
宇賀「このアルバムはどんなきっかけで作ろうと思われたんですか?」
小山「長年溜め込んでいた想いみたいなものがあったんですけど、江ノ浦測候所という場所がありまして……」
薫堂「杉本博司さんの?」
小山「はい、あそこで演奏させていただく機会があって、そこで原点回帰をしないといけないという想いがすごくあって。僕の原点はやっぱり民謡なので、民謡をどうやって皆さんに聞いていただけるものになるかな、とか、ワールドミュージックとして昇華できるかなというのを考えて、今回はいろいろなアレンジを加えてアルバムを作りました。これまでよくあった洋楽のフォーマットに和楽器をアレンジとして入れるのではなくて、和楽器の持っているものに洋楽を加えていくという真逆のアプローチをしてみました」
薫堂「世界の音楽になっている感じですよね。海外のホテルのロビーでかかっていても違和感ないですよね」
宇賀「世界の人に聴いていただきたい音楽ですよね」
そして、小山さんの心に残っているお手紙の思い出についてもうかがいました。
小山「強烈に印象に残っている手紙がありまして。2010年に、僕は初めてアメリカ本土での公演をやらせてもらったのですが、その時にプロデュースで入っていただいた田村光男さんという、残念ながらもうお亡くなりになっているのですが、その方からいただいた手紙がありまして。
〈どうやったら受け入れられるか。どんな風に、どんなきっかけで、どんな曲、とかの前にしっかりと存在していることが大切だと思います。それが音楽なのだと思います。だから音楽は音を出している時のみが音楽ではない。考えている時も、無駄な時間を費やしている時も、何よりも本人の意識が音楽家であるということが大切なのだと思います。〉2010年にこの手紙をもらった時、全く理解ができなくて。常にこれを持ち歩いていているんです。5年経った時に見て、『まだ読めないな』とか……すごく僕の指針になっている手紙です」
薫堂「では、10年くらい経った今はいかがですか?」
小山「ちょっとずつですけどわかるようになってきて。これがわかるようになりたいな、と」
薫堂「いままでたくさんの方とコラボされていますけど、この人とやってみたい! という人はいますか?」
小山「めちゃくちゃいますよ」
薫堂「日本国内ではどうですか?」
小山「山下達郎さんとか、ユーミンさんとか。海外ではスティング、スティービー……」
薫堂「出てくる名前がすごいですね。ドミニク・ミラーと一緒に演奏したらかっこいいでしょうね」
小山「そういう妄想はよくしています」
宇賀「でも言葉に出すと叶うかもしれないですからね」
宇賀「放送を聞いて、小山さんにお手紙を書きたいと思ってくださった方もいらっしゃると思います。番組が責任を持ってご本人にお渡ししますので、ぜひお寄せください」
小山さんへのお手紙は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」小山豊さん宛】にお願いします。
小山豊さん、ありがとうございました!
レターソングプロジェクト with YOASOBI
SUNDAY'S POSTでは、音楽ユニットYOASOBIとのコラボ企画「レターソングプロジェクト with YOASOBI」を開催しています。あなたの手紙を原作にYOASOBIが楽曲を制作するプロジェクト。テーマは〈「ありがとう」を伝える手紙〉。家族、友人、恋人……面と向かって言うには少し気恥ずかしい「ありがとう」の気持ちを手紙で伝えてみませんか?
ご応募は【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」レターソングプロジェクト】までお願いします。締め切りは10月31日。氏名、住所、電話番号の明記を忘れずにお願いします。
詳しい情報は、こちらのページからご確認ください。
レターソングプロジェクト with YOASOBI
ぽすくまのバースデーパーティー2020のお知らせ
9月21日は、日本郵便のキャラクターぽすくまのお誕生日です。昨年はKITTEで開催したバースデーパーティーですが、今年は、より多くの皆さまにぽすくまを知ってもらい、親しみ、楽しんでもらうために、新しい試みとして、「ぽすくまのバースデーパーティー2020」をYouTubeで配信します!開始時間は2020年9月21日(月・祝)16:00〜で、ぽすくまの公式YouTubeチャンネルで配信されます。配信の中では「ぽすくまグッズつめあわせ」が当たるキャンペーンもありますので、ぜひお楽しみに!
そして、バースデーパーティー終了後には、ぽすくまの生みの親である日本郵便切手デザイナー中丸ひとみさんが視聴者の方の質問に答える、双方向型ティーパーティーも配信する予定です。
新作アニメーションの制作秘話やコラボカフェの先行情報など、ここでしか聞けない話題が盛りだくさんとなっています。(イベントはぽすくまの公式YouTubeチャンネルのみでの開催となりますので、ご注意ください)
詳しい情報は「ぽすくまのバースデーパーティー2020」の特設サイトでご確認ください。
ぽすくまのお誕生日、ぜひ一緒にお祝いしましょう!
ぽすくま Youtube チャンネル
今週の後クレ
今回のメッセージは、宮崎県<宮崎中央郵便局>野田幸喜さんでした!「20年程前、今働いている郵便局から遠く離れた郵便局で働いていた時に、配達中にニコニコしながら自転車で付いてくる小学生の少年がいました。おそらく、その少年は自転車に乗れるようになったばかりで嬉しくて、同じく自転車に乗っている私に付いてきたのではないかと思います。 その後、現在働いている宮崎中央郵便局へ異動になってから、ある日、配達していると、『僕のこと、覚えていますか?』と声をかけられ、その相手がなんとかつて自転車で付いてきていた少年でした。少年は大きくなっており、当時は、私が少年に『気を付けて』と言う立場だったのに、大きくなった少年から『気をつけて頑張ってください』と言われて、とても嬉しかったです。」
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