江戸から続く夏の音/レターソングプロジェクト with YOASOBIが始動!
- 2020/08/30
お江戸ル・堀口茉純さんと聴く江戸時代から続く音
今回は、江戸のことならば何でもご存知の「お江戸ル」こと、堀口茉純さんをお迎えしました。
小山「堀口はさんはどうして江戸に興味を持ったんですか?」
堀口「おじいちゃん・おばあちゃん子で、時代劇を一緒に観ていたんです。物心つく頃には憧れの対象が江戸時代のお侍さんだったりして、ずっと大好きな世界なんです。それに江戸時代は平和じゃないですか。暇だとみんな文化を楽しむようになるので、江戸文化のそういうところにすごく魅力を感じています」
残暑も厳しく、遠出をするのもまだ難しい今日のこの頃。今回は堀口さんの解説付きで、スタッフが取材した「江戸から続く夏の音」に、耳をすましてみたいと思います。
まずご紹介したのは、浅草寺の境内、弁天山にある「時の鐘」の音。音はぜひ「radiko」で、ここでは写真でお楽しみください。
堀口「時の鐘というのは、江戸の人々が時刻を知るために聞いていた鐘の音なんですね。松尾芭蕉が『花の雲 鐘は上野か 浅草か』と俳句にも詠んでいる音なのですが、鐘は元禄5年、1692年という年に、五代将軍 徳川綱吉の命によって改鋳されたと言われています」
小山「そう聞くと、俄然価値が出てきますね」
堀口「300年以上、この音なので。こんな経験なかなかないですね。江戸時代の時の鐘は戦争中に金属を供出するということで全部持って行かれているケースが非常に多いので、江戸時代の時の鐘を聞ける場所というのは本当にありがたいな、と。現在は朝6時に鐘がつかれています」
宇賀「じゃあ行けば聞くことができるんですね」
続いてご紹介したのは、江戸の夏、庶民の暮らしに欠かせなかった「すだれ」の音です。
繁栄につれて、武家屋敷、神社仏閣、商家などにも用いられるようになったすだれ。江戸で作られるすだれは「江戸すだれ」と呼ばれるように。素材となる材木が、隅田川を使って運ばれていたことから、現在の台東区には、たくさんの職人さんがいたそうです。台東区にある「田中製簾所」さんを取材しました。
堀口「独特のケタという陸上のハードルみたいな四角い台があって、投げ玉という紐が付いているんです。この紐をポンと向こうに投げたり、こっちに持ってきたりすることですだれを編むようにしていて」
宇賀「今も江戸と全く同じ方法で作っているんですね」
小山「球は何で出来ているんですか?」
堀口「木だと思います。すだれを作るときにしか使わない道具がたくさんあって、それも面白かったですね」
小山「これは夏にしか作っていなかったんですか?」
堀口「すだれと言っても夏に使う遮光のものだけではなくて、せいろだったり小物も作っているみたいなので。でも一番のハイシーズンは、やっぱり夏の使う時期ですよね」
続いての江戸から続く夏の音は……寅さんのお膝元、葛飾区柴又の帝釈天(たいしゃくてん)から徒歩5分のところにある「矢切の渡し」です。
宇賀「薫堂さん、渡ったことありますか?」
小山「いや、ないですね」
宇賀「今でも渡れるんですか?」
堀口「渡れます! 矢切の渡しというのは、江戸時代の初期から続いている、柴又と対岸の千葉県の松戸を結ぶ渡し船なんですね。都内に唯一残っている江戸時代からの渡し場ということで、本当に熱い場所なんです。もともとは、地元の住人の方々専用に幕府が特別に許可した渡し場の1つでありまして、江戸川の両側に田んぼを持っていた農民さんが、いわゆる関所と言われるような関門を通らずに往来をすることができたのが始まりなんですね。江戸時代の川は、いわゆる軍事境界線の役割を果たしてもいましたので、往来をすることも簡単ではなかったんですけれども、地元の方達の利便性を考えて、幕府が特別に許可を出したという由来があるのが『矢切の渡し』です」
小山「東京でこういう時間を過ごせる場所がまだあるということが意外ですよね」
堀口「私は本当にこの音が大好きで。江戸の人と同じ音を聞いている気がするんですよね」
宇賀「漕いでいて時々ギュッと鳴るのがいいですよね」
堀口「江戸って今の東京からは想像もできないくらい、水路が多い町だったんですよね。今の自動車とか電車感覚でみんな船を使っていたはずなんですね。当時の人たちは、この船を漕ぐ音だったりとか、川のせせらぎ、風の音、夏は蝉の声を聞きながら過ごしていたのかな? と妄想ができる場所ですね」
続いては、「盆踊り」の音です。今年は開催中止が相次いでいるお祭りですが、江戸の人々にとって、盆踊りとはどんな存在だったのでしょう?
堀口「盆の踊りですから、本来は亡くなった方への慰霊の意味を込めてということだったと思うんですけど、徐々に夏のイベント化をして、将来のパートナーを探す男女の出会いの場になったりとか、結構楽しみの要素も膨らんでいったフェスティバルですね」
小山「縁日も江戸時代にはもうあったんですか?」
堀口「夜の屋台はお祭りに付随してあったわけではないのですが、花火の時は河辺によしず張りの、のちの縁日になるような屋台が出たりはしていました。意外と夜遊びも結構していたんですね」
今回、ご紹介した盆踊りは、佃島の盆踊りです。東京都の指定無形民俗文化財にも認定されています。
堀口「400年前の江戸時代初期、いわゆるオーソドックスな、盆踊り本来の姿と思えるような盆踊りです。無縁仏の供養だったり回向のための行事として行われていて、『佃島念仏踊り』とも呼ばれています。
いま歌っていらっしゃるのが、佃島の盆踊りの名人、飯田恒雄さんとおっしゃる方なんですけれども。インタビューをさせていただいたところ、70年歌い手を続けていらっしゃるということで。10代からお祭りに参加されているようなんですね」
小山「盆踊りのリズムは、江戸時代の頃のリズムと同じなんですか?」
堀口「ほとんど変わっていないとおっしゃっていました」
宇賀「音を聞くと恋しくなっちゃいますね、今年は全然聞けていないので」
小山「こんなに身近なところに時代の足跡があったのかと、改めて思いますね」
江戸から続く音、最後にご紹介するのは、日本橋「龍工房」さんが手がける江戸組紐の音です。
堀口「おふたりは、組紐はご存知ですか?」
小山「お酒の焼酎の桐箱に付いているものとか……」
宇賀「帯締めもそうですよね」
堀口「意外と身近なところにも江戸組紐の名残は残っていたりしますよね。最近だと、『君の名は。』という映画にも出ていて」
宇賀「局アナ時代に、江戸ではなかったのですが組紐の取材に行かせていただいたことがあって。体験したんですけど、本当に難しいですよ。私はもう、『ぽこん……ぽこん……』というスピードで。これじゃ1年かかる! という感じでした」
絹糸をはたき、巻き取り、そして巻き取った糸を専用の道具で編んでつくられる組紐。1日で1本組めるもの、3日かかるもの、そして1ヶ月かかるものもあるようです。
宇賀「今日は江戸の音をお聞きいただきましたが、薫堂さん、いかがでしたか?」
小山「音の方が想像できますね。時代を巻き戻していく感じがあって、リアルなものは当然見たことがないですけど、目の前に江戸の風景が広がっているようでした」
宇賀「映像で見ると、どこか“現代”が入ってきてしまいますけど、音だと昔と変わらないですものね」
堀口茉純さんへのお手紙もお待ちしています! 番組宛てに送っていただければ、堀口さんにお渡しさせていただきます。【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」堀口茉純さん】までお願いします。
堀口茉純さん、ありがとうございました!
堀口茉純さん オフィシャルWEBサイト
https://hoollii.com
堀口「おじいちゃん・おばあちゃん子で、時代劇を一緒に観ていたんです。物心つく頃には憧れの対象が江戸時代のお侍さんだったりして、ずっと大好きな世界なんです。それに江戸時代は平和じゃないですか。暇だとみんな文化を楽しむようになるので、江戸文化のそういうところにすごく魅力を感じています」
残暑も厳しく、遠出をするのもまだ難しい今日のこの頃。今回は堀口さんの解説付きで、スタッフが取材した「江戸から続く夏の音」に、耳をすましてみたいと思います。
まずご紹介したのは、浅草寺の境内、弁天山にある「時の鐘」の音。音はぜひ「radiko」で、ここでは写真でお楽しみください。
堀口「時の鐘というのは、江戸の人々が時刻を知るために聞いていた鐘の音なんですね。松尾芭蕉が『花の雲 鐘は上野か 浅草か』と俳句にも詠んでいる音なのですが、鐘は元禄5年、1692年という年に、五代将軍 徳川綱吉の命によって改鋳されたと言われています」
小山「そう聞くと、俄然価値が出てきますね」
堀口「300年以上、この音なので。こんな経験なかなかないですね。江戸時代の時の鐘は戦争中に金属を供出するということで全部持って行かれているケースが非常に多いので、江戸時代の時の鐘を聞ける場所というのは本当にありがたいな、と。現在は朝6時に鐘がつかれています」
宇賀「じゃあ行けば聞くことができるんですね」
続いてご紹介したのは、江戸の夏、庶民の暮らしに欠かせなかった「すだれ」の音です。
繁栄につれて、武家屋敷、神社仏閣、商家などにも用いられるようになったすだれ。江戸で作られるすだれは「江戸すだれ」と呼ばれるように。素材となる材木が、隅田川を使って運ばれていたことから、現在の台東区には、たくさんの職人さんがいたそうです。台東区にある「田中製簾所」さんを取材しました。
堀口「独特のケタという陸上のハードルみたいな四角い台があって、投げ玉という紐が付いているんです。この紐をポンと向こうに投げたり、こっちに持ってきたりすることですだれを編むようにしていて」
宇賀「今も江戸と全く同じ方法で作っているんですね」
小山「球は何で出来ているんですか?」
堀口「木だと思います。すだれを作るときにしか使わない道具がたくさんあって、それも面白かったですね」
小山「これは夏にしか作っていなかったんですか?」
堀口「すだれと言っても夏に使う遮光のものだけではなくて、せいろだったり小物も作っているみたいなので。でも一番のハイシーズンは、やっぱり夏の使う時期ですよね」
続いての江戸から続く夏の音は……寅さんのお膝元、葛飾区柴又の帝釈天(たいしゃくてん)から徒歩5分のところにある「矢切の渡し」です。
宇賀「薫堂さん、渡ったことありますか?」
小山「いや、ないですね」
宇賀「今でも渡れるんですか?」
堀口「渡れます! 矢切の渡しというのは、江戸時代の初期から続いている、柴又と対岸の千葉県の松戸を結ぶ渡し船なんですね。都内に唯一残っている江戸時代からの渡し場ということで、本当に熱い場所なんです。もともとは、地元の住人の方々専用に幕府が特別に許可した渡し場の1つでありまして、江戸川の両側に田んぼを持っていた農民さんが、いわゆる関所と言われるような関門を通らずに往来をすることができたのが始まりなんですね。江戸時代の川は、いわゆる軍事境界線の役割を果たしてもいましたので、往来をすることも簡単ではなかったんですけれども、地元の方達の利便性を考えて、幕府が特別に許可を出したという由来があるのが『矢切の渡し』です」
小山「東京でこういう時間を過ごせる場所がまだあるということが意外ですよね」
堀口「私は本当にこの音が大好きで。江戸の人と同じ音を聞いている気がするんですよね」
宇賀「漕いでいて時々ギュッと鳴るのがいいですよね」
堀口「江戸って今の東京からは想像もできないくらい、水路が多い町だったんですよね。今の自動車とか電車感覚でみんな船を使っていたはずなんですね。当時の人たちは、この船を漕ぐ音だったりとか、川のせせらぎ、風の音、夏は蝉の声を聞きながら過ごしていたのかな? と妄想ができる場所ですね」
続いては、「盆踊り」の音です。今年は開催中止が相次いでいるお祭りですが、江戸の人々にとって、盆踊りとはどんな存在だったのでしょう?
堀口「盆の踊りですから、本来は亡くなった方への慰霊の意味を込めてということだったと思うんですけど、徐々に夏のイベント化をして、将来のパートナーを探す男女の出会いの場になったりとか、結構楽しみの要素も膨らんでいったフェスティバルですね」
小山「縁日も江戸時代にはもうあったんですか?」
堀口「夜の屋台はお祭りに付随してあったわけではないのですが、花火の時は河辺によしず張りの、のちの縁日になるような屋台が出たりはしていました。意外と夜遊びも結構していたんですね」
今回、ご紹介した盆踊りは、佃島の盆踊りです。東京都の指定無形民俗文化財にも認定されています。
堀口「400年前の江戸時代初期、いわゆるオーソドックスな、盆踊り本来の姿と思えるような盆踊りです。無縁仏の供養だったり回向のための行事として行われていて、『佃島念仏踊り』とも呼ばれています。
いま歌っていらっしゃるのが、佃島の盆踊りの名人、飯田恒雄さんとおっしゃる方なんですけれども。インタビューをさせていただいたところ、70年歌い手を続けていらっしゃるということで。10代からお祭りに参加されているようなんですね」
小山「盆踊りのリズムは、江戸時代の頃のリズムと同じなんですか?」
堀口「ほとんど変わっていないとおっしゃっていました」
宇賀「音を聞くと恋しくなっちゃいますね、今年は全然聞けていないので」
小山「こんなに身近なところに時代の足跡があったのかと、改めて思いますね」
江戸から続く音、最後にご紹介するのは、日本橋「龍工房」さんが手がける江戸組紐の音です。
堀口「おふたりは、組紐はご存知ですか?」
小山「お酒の焼酎の桐箱に付いているものとか……」
宇賀「帯締めもそうですよね」
堀口「意外と身近なところにも江戸組紐の名残は残っていたりしますよね。最近だと、『君の名は。』という映画にも出ていて」
宇賀「局アナ時代に、江戸ではなかったのですが組紐の取材に行かせていただいたことがあって。体験したんですけど、本当に難しいですよ。私はもう、『ぽこん……ぽこん……』というスピードで。これじゃ1年かかる! という感じでした」
絹糸をはたき、巻き取り、そして巻き取った糸を専用の道具で編んでつくられる組紐。1日で1本組めるもの、3日かかるもの、そして1ヶ月かかるものもあるようです。
宇賀「今日は江戸の音をお聞きいただきましたが、薫堂さん、いかがでしたか?」
小山「音の方が想像できますね。時代を巻き戻していく感じがあって、リアルなものは当然見たことがないですけど、目の前に江戸の風景が広がっているようでした」
宇賀「映像で見ると、どこか“現代”が入ってきてしまいますけど、音だと昔と変わらないですものね」
堀口茉純さんへのお手紙もお待ちしています! 番組宛てに送っていただければ、堀口さんにお渡しさせていただきます。【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」堀口茉純さん】までお願いします。
堀口茉純さん、ありがとうございました!
堀口茉純さん オフィシャルWEBサイト
https://hoollii.com
始動! レターソングプロジェクト with YOASOBI
宇賀「薫堂さん、先日ゲストに来てくださった、小説を音楽にするユニット・YOASOBIのAyaseさんとikuraさんと、あの話で盛り上がったこと覚えていますか?」小山「もちろんです。『番組宛てにきた手紙をテーマに音楽を作ってくれませんか?』と言いました」
宇賀「その時は、前向きぜひやりましょうね! という感じでしたが…・なんと、正式に決定しました! 番組宛てに届いた手紙をベースにして、YOASOBIが音楽を作ってくれる『レターソングプロジェクト』が始動します!」
小山「すごい!」
宇賀「募集するお手紙にはテーマがありまして、ずばり『ありがとう』。リリースは来年の春を目指すということです。家族、恋人、春の卒業シーズンでもあるので、先生やクラスの仲間へのありがとうの手紙、たくさんお寄せいただきたいなと思います」
小山「その手紙をYOASOBIのふたりが読んで、『これは曲になる』とか『メロディが浮かびそうだ』というものが採用されるということですね。手紙が原作となり、歌が生まれるという感じですね」
宇賀「選考には私たちも入れていただけるということでした」
レターソングプロジェクトへのご応募は【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」レターソングプロジェクト】までお願いします。氏名、住所、電話番号の明記をお願いします。締め切りは10月31日までです。
さらに詳しい情報は、こちらのページからご確認ください。YOASOBIからのメッセージ動画もご覧いただけます。
https://www.tfm.co.jp/post/lettersong/
今週の後クレ
今回のメッセージは、秋田県<秋田駅トピコ郵便局>齊藤真一郎さんでした!「私は、大変お世話になっているお客さまに、手書きで暑中見舞いや、年賀はがきを書いています。自分で言うのも恥ずかしいですが、お客さまから好評をいただき、丁寧に、お電話やお手紙で返事を下さるお客さまもいらっしゃいます。暑中見舞いですと、イルカやお魚、しろくまなどの夏らしいイラストを描き、一言添えて出しています。 拙いイラストだと思っていたら、「とても味のある絵だね」と言っていただいたり、クスっと笑っていただけたり、私もとても楽しんでお手紙を書いています。」
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