ナガオカケンメイさんをお迎えして/帰ってきた「旅するカメラ」!
- 2020/06/07
黒田征太郎さんからのお手紙
宇賀「先週のゲストの黒田征太郎さんからお手紙が届いていますよ。本当に描いてくださったんですね!」
小山「このまま額に入れて飾りたいですね」
宇賀「これはもう家宝にさせていただきます」
小山「この家宝をもっと手に入れるために、文通しましょう」
宇賀「これはもう家宝にさせていただきます」
小山「この家宝をもっと手に入れるために、文通しましょう」
ナガオカケンメイさんをお迎えして
宇賀「新型コロナウイルスもまだまだ油断はできない、そんな毎日ですが……いろいろなお仕事をされている方が大変な想いをされている中で、これからの日本のものづくりがどう変わっていくのか? 今回は、ロングライフデザインをコンセプトに様々なものをデザインされている方をお迎えします」
今回はゲストに、デザイン活動家のナガオカケンメイさんをお迎えします。
小山「ナガオカさんの肩書きって、デザイン活動家なんですか?」
ナガオカ「もう4年くらい前から」
小山「なんですか、デザイン活動家って?」
ナガオカ「具体的にはデザインをしていないんですよ。でもデザインの周辺に関して、すごく心配して色々やっているので」
デザイン活動家、そしてその土地に長く続くもの・ことを紹介するストア「D&DEPARTMENT」の代表であるナガオカさん。2009年からは、その土地らしさを持つ場所に2カ月住んで取材をする文化観光誌「d design travel」を刊行。渋谷ヒカリエ8階の、日本初の物産ミュージアム「d47MUSEUM」を運営されています。
小山「『d design travel』では2ヶ月住んで取材をするんですか?」
ナガオカ「1ヶ月住むと、だいたいその土地のことが何となくわかるじゃないですか。そのあと、その土地らしさのある喫茶店とか蕎麦屋さんとか、いろいろなところを探して、食べて、感動して、その土地らしいなと思ったら初めてそこで取材を申し込むんです」
小山「住むのはどこかアパートを借りるんですか? それとも誰かの家とかに住むんですか?」
ナガオカ「バラバラです。普通のホテルや高級ホテル、すごく安いバックパッカーの宿にも泊まるし、友達になった人の家にも泊まるし、という感じで」
小山「楽しそうですね!」
宇賀「理想的な生活のようにも聞こえますけど、実際は大変なんでしょうね」
ナガオカ「大変ですね。定期刊行物でね、年に3冊、今は2冊出していて。お金も1千万円以上かかるので、協賛企業を集めながらつくるという計画のないやつですね」
宇賀「私、『d design travel』よく見ていました。テレビ朝日で働いていたので、すぐ前にTSUTAYAがあるじゃないですか。あそこによく平置きされていて。表紙が美術館に並んでいるアートみたいですごく目を引くんですよね」
ナガオカ「僕らは“その土地に落ちていたもの”という言い方をするんですけど、その土地の有名な画家の人にお願いをして、作ったりしています」
小山「2009年にはじめて、今はいくつの都道府県に行ったんですか?」
ナガオカ「今は27です。やっと折り返しで。あと10年ちょっとかかるんですよ。ね、活動家でしょう(笑)」
宇賀「ナガオカさんは、そもそもどうして地方や地域に魅力を感じたんですか?」
ナガオカ「僕はデザイナーに憧れて18歳で東京に出てきて。デザインは東京のものだと信じて疑わずにずっとやってきたんですね。そうしたら、日本の伝統工芸とかが出てきた時に、すごいと思って。もしかしたら伝統工芸って呼んでいるからいけなくて、これは“デザイン”なんじゃないかと思い始めて、急に民芸の方に関心が行ったんです。意外と東京以外の地方のデザインって面白いと気づいて、それを均等に掘り起こそうと思ったのきっかけですね。掘り起こした結果、東京にない個性的なものがいっぱいあったんです」
宇賀「ロングライフデザインをキーワードにご活動されていますが、この“ロングライフデザイン”というのはどういうことなんですか?」
ナガオカ「簡単に言うと時間が証明したデザインですね。デザインとかアートは、どうしても専門家がいて『あれがいい、これがいい』って言うじゃないですか。そうじゃなくて、どんなおばちゃんやおじちゃんでも、これを20年使っているの、と。そういう世界のことをロングライフデザインと名前を付けているんですけど。なので20年、30年世の中にありますよ、というデザインのことをロングライフデザインと呼んでいます」
コロナの影響で、働き方や暮らし方も少しずつ変わっていく今。これからのものづくりはどう変化していくのか、ナガオカさんにさらにうかがいました。
ナガオカ「オフィスに通う日と、通わない日がつくれるんだな、っていうのはあるじゃないですか。このコロナで次の未来の働き方や生き方を提示されていると思って……路面店に行って買うべきものと、通販で買うものがある、と。路面店をやっている人はすごく勉強になったと思います。僕も路面店をやっていて、本当にお客さんが来ないとゼロなので。関係性がないのに巻き込んで、売り上げを立てようという発想はもうできないですよね。今は関係性のある人同士を繋いで、ものを買ってもらうという感じですね」
宇賀「実際にお店で買った方がいいものと、ネットでもいいものの違いってどこにあるんですか?」
ナガオカ「生活者が、ものだけが欲しいのか、ものの背景を欲しいのか。僕らは“もの・の・まわり”っていう言い方をしているんですけど、ものにはつくった人が住んでいる環境だとか、ものの経済的なマーケットがあって、それを全部手に入れた方がロングライフデザイン的に長く使えるんですよ」
小山「愛着がわく、と」
ナガオカ「そうですね。ものだけが欲しいという人は、ネットで買えばいいんですよ。本なんかも本に出会いたいという人はやっぱり本屋に行かないといけないし、あの本が欲しいとわかっていたらわざわざ本屋さんに行かなくていいし。ものづくりも、そういう風に割り切って二極化していくでしょうね」
小山「消費者の意識も変わってきますよね。どんな風に変わりますかね?」
ナガオカ「さっき言った“もの・の・まわり”という僕らの新しい売り方なんですけど、ものを手に入れただけじゃなくて、それとずっと付き合っていけるイベントが年に4回とか、そういうのもくっつけて販売していかないと。“もの・の・まわり”の中には仲間というキーワードがあるんですけど、同じ商品を使っている人たちが、たとえばお茶会で月に1回集まって、ああだこうだ楽しく話すみたいな。そういうこともやらないと、ただ、ものは検索してネットで買えばいいという話になるので。スタッフのスキルも問われていきますね」
小山「僕が直感的に思うのは、外じゃなくて内に向く消費になるのかなと。今まで外を意識して消費する人が多かった気がするんですよ、人にどういう印象を与えるか、とか。それよりも自分がどう心地良いかとか内側にお金をかけるようにならないかな、と」
ナガオカ「さすが、薫堂さんっぽい(笑)」
小山「外の洋服は安くていいけど、肌着はいちばん高いものがいいとか。家の中にずっといると、派手な洋服よりも素材がいいものを着たくなりませんか?」
ナガオカ「それはあると思います。僕、東京に30年以上住んでいて、東京の役割と地方の役割みたいなものを本当に感じます。高い家賃を払って、場所を借りて一体何をしたいんだということを自分に今問うてますね」
そして、ナガオカさんの手紙の思い出についてもお話をうかがいました。
宇賀「ナガオカさんはお手紙はよく書かれますか?」
ナガオカ「最近も書きました。僕、故郷が愛知県喜多郡阿久比町というところなんですけど、そこに今、D&DEPARTMENTの愛知店を作ろうとしていまして。その物件の交渉のために手紙を書きました。貸してくれないんですよ(笑)」
小山「でもそれは通じるんじゃないですか?」
ナガオカ「通じないんですよ(笑)」
小山「その物件じゃないとダメなんですか?」
ナガオカ「機織ののこぎり屋根の物件で、やっぱりその町の風景になっているような物件でお店をやりたいので。久しぶりに手紙を書くといいですよね。背筋が伸びるというか」
小山「でも、1通で通じてしまったら、あとで語る時にあんまり重みがなくなるじゃないですか(笑)。『15通目についにOKいただいた』という時に、そこに価値が出るんじゃないですか」
ナガオカ「小山薫堂の世界ですよね、それ(笑)。わかりました、あと10通くらい書きます!」
ナガオカケンメイさん、ありがとうございました!
帰ってきた! 旅するカメラ
宇賀「薫堂さん、なんと……カメラが戻ってきたんです! 覚えていますか?」
小山「もちろん! あれ、絶対に紛失していると思ってた!」
宇賀「そう! 去年の夏にスタートした企画『旅するカメラ』ですね」
小山「僕と宇賀さんがまず、使い捨てカメラでそれぞれ写真を撮って、それを薫堂カメラ・宇賀カメラでリスナーさんに送って、リスナーさんがまた誰かにバトンを渡すようにして……『いつかスタジオに戻ってくるといいね』と。去年の8月ですよね」
宇賀「やっと戻ってきましたよ、1年近くかけて!」
今回、戻ってきたのは宇賀カメラの方です。まずは、宇賀さんが撮った写真から見ていきましょう。
宇賀「鎌倉プリンスから撮りました。去年の7月かな?」
小山「これ面白いですね。1枚目を見ただけでワクワクしますよ」
TOKYO FMのスタジオからの風景。
宇賀「3枚目と4枚目は、福島県のオハラブレイクというフェスに出た時ですね。この手塚さんの本を朗読しました」
小山「フィルムカメラっていいですね」
宇賀「いいですよね、オシャレですよね」
小山「熟成した時間が刻まれているようですよ」
宇賀さんのバトンを受け取った1人目は、愛知県の坂本直子さん。カメラのバトンを次の人に渡した段階で、番組宛てにはがきを送っていただいていたので、放送ではそのはがきも一緒にご紹介しました。
バラ畑、並木畑、北海道のカムイワッカ湯の滝に旅行された時の写真です。
続いて2人目、愛知県のドンさんが春日井市植物園内のサニーカフェで「アルファベットくん旅に出る」という個展をされた時のお写真。
ドンさんからのバトンは、個展会場だった「サニーカフェ」の中本さんへ。
ドンさんのライフワークである「WISHくん」と、植物園の秋の風景。
4人目は、犬山城へ続く坂道、お屋敷、着物のお店の写真。お名前はありませんでした。
5人目の方もお名前はありませんでしたが、素敵なお写真を。雨の日の休日の大好きな過ごし方(映画と珈琲)、“私のパワースポット”である名古屋の高島屋、そして大切な友達とそのお子さん達とのホームパーティーの写真です。
6人目の方もお名前はありませんでしたが、はがきの消印は岐阜でした。
7人目は、三重県四日市市のあやこさんです。沖縄で買った三味線と、高校からの友人との忘年会。
8人目は、東京都杉並区のあゆみさんから。おみくじや、ホームパーティーのような写真。
小山「新年ですかね?」
宇賀「ここでやっとお正月ですね」
そしてカメラの最後のバトンを受け取ったのは……東京都のたけぴさんです!
宇賀「たけぴさんからです。〈遅くなりまして本当にごめんなさい。『旅するカメラ』というテーマでしたので、なるべく遠いところに旅をさせた方がいいと思い、私ごとですがちょうど自身のハネムーンもありましたので、最終的にはメキシコのカンクンまでカメラを持参し撮影してきました〉 すごい! 海外まで!」
小山「空の青もちょっと違いますね」
宇賀「お二人とも幸せそうですね。宇賀カメラ、メキシコまで行ったんですね。北海道に行って、東海地方を回って東京に戻ってきたと思ったら、最後はメキシコ……」
小山「こうなったら小山カメラもお願いしますよ。どこで止まっているんだろう? もし、自分のところで止まっているよという人がいたら、怒らないから言ってください(笑)」
宇賀「そうですね、とりあえず送ってください! でも、ちゃんと帰ってくるのは感激しました。またやりたいですね。サンポス名物にしたい」
小山「6月いっぱい僕のカメラを待ってみて、ダメだったらもうちょっと回しやすいスタイルを考えて、7月にまたスタートしましょう」
2020年のかもめ〜る
宇賀「6月1日から、夏のおたより郵便はがき かもめ〜るが発売になりました」
小山「宇賀郵便局で宇賀さんが1日郵便局長をやってから1年が経ったんですね」
宇賀「早いですね!」
小山「コロナが収まったら、また行きたいですね」
暑中見舞い・残暑見舞いにもお使いいただけるかもめ〜る。詳細はこちらからご確認ください。
https://www.post.japanpost.jp/kamome/
番組への暑中見舞いもお待ちしています!
宛先は【〒102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」】までお願いします。
今週の後クレ
今回のメッセージは、東京都<上野郵便局>横山美結さんでした!「手紙の配達をしています。 私は同じ地域を配達することが多いので、 同じお客さまに会うことが多いんですけど、そのお客さまに名前を覚えてもらえたりだとか、 あと上野郵便局が地域のお祭りに参加した時に、お客さまが横山さんが出るなら見に行こうかな、と声をかけてくれたことがあり、そういうのがとても嬉しかったです。」
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