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『手紙から始まる物語。』
ここには、様々な思いが詰まった手紙が毎週届きます。
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センジュ出版 吉満明子さんをお迎えして/フリーペーパー「手紙暮らし」

  • ON AIR
  • 2020/05/03

千住の小さな出版社 センジュ出版代表 吉満明子さん

写真 小山「いま、家で過ごす時間しかなくなっていると思いますけど、家で本を読む時間、増えましたか?」

宇賀「増えましたね。お世話になっている方が本を出版されたりとか、ゲストにいらした方からいただいた本とか、積み重なっていたものをこの機会にかなり読みましたね。
今回は、薫堂さんが気になった本を作った方がいらっしゃるんですね?」

小山「ワタナベアニさんの『ロバート・ツルッパゲとの対話』というエッセイなんですけど、すごく哲学的な、でもユーモアがあって膝を打つようなものがたくさん書かれていて。その本も面白いと思ったんですけど、これをよくこの才能を発掘して、本にしたなあと思って。どういう出版社なんだろう? と思ったら『「しずけさ」と「ユーモア」を大切にする まちのちいさな出版社』というコピーが書かれていて……」

今回は、そんな「センジュ出版」代表の吉満明子さんをゲストにお迎えしました。
写真 小山「吉満さんがお一人で立ち上げた出版社なんですよね。何で千住だったんですか?」

吉満「今から12年前になるんですけど、北千住に自宅を購入して住んでいたんです。でもその時は、小さな出版社を立ち上げるとは思っていませんでした。2011年の東日本大震災と、翌年の長男の出産で何となく人生の価値観がガラリと変わりまして。自宅のそばに、自分で出版社を立ち上げることになったというのが事の次第です」

小山「すごいですよね、出版社を作ろうというのは、なかなか挑戦だったと思うんですけど」

吉満「大反対にあいました。2015年の9月に立ち上げたんですけど、その年の春までは前職の出版社に勤めていたので、部長ですとか先輩、後輩も含めてこの時代に紙の出版社を立ち上げるのは無謀すぎると」

小山「それを押し切ってまで立ち上げたのは、背中を押す何かがあったんですか」

吉満「東日本大震災の中で、一体私は何を作っているのかなという自問自答が始まりまして。何となく40手前の年齢でしたから、40歳になった時に自分自身にも納得がいくような本づくりを正直に、いつかやれたらいいなというのがきっかけになったと思います。それからお腹が大きい時に、昼間に街を歩いていて、この街のことを住んでいる立場から発信したいなと思ったんです」
写真 センジュ出版はこれまで8冊の本を刊行。年に1、2冊のペースです。

吉満「前は年間で26、7冊作っていた時期もありました。そのころに比べると、1冊にかけられる時間が物理的に変わりまして。思いはそれほど変わらないかもしれないですけど、その分著者とコミュニケーションは密に取れるようになりました」

小山「センジュ出版のコピーは、『「しずけさ」と「ユーモア」を大切にする まちのちいさな出版社』。この“しずけさ”というのはどういうことですか?」

吉満「うちの会社のロゴデザインを手がけてくださったデザイナーさんが『どんなデザインにしたいの?』と質問をされた時に、思わず口について出た言葉が『しずけさとユーモアを大切にする会社にしたい』だったんです。とはいえ、言った本人が、それがどういう意味なのかはわかっていませんでした」

小山「何となく直感的に?」

吉満「そうですね、こういう風に質問を受けたり、読者の方とお話をするうちに私の中でも解像度は上がっていったんですけども、私自身は震災の前までは、朝5時まで働いて、タクシーの中で仮眠をとって、数時間後にはまた会社に出勤するという生活を、ノルマでも何でもなく楽しんでやっている日々を送っていたんです。その頃、私の心の中にも身の回りにもまったく静けさがなくて。どこか背中の薄ら寒さを感じていて、離婚直前にもなっていました(笑)。震災の後、本当はもうちょっと静かな時間が欲しかったなと思っていたのがその時ぽろっと出たんだと思うんですね。だた、本を読んだり書いたり、編んだりする静かな時間だけでは……福岡生まれで退屈してしまう性格なので、内省の時間を持った後で、ユーモアを交えながら楽しめる会社でありたいと」
写真 小山「しずけさというワードがひらめいたところがすごいですね。そういう意味では今のこの状況は、しずけさと言えば、しずけさですよね」

吉満「思いがけずのことでしたけど、やっぱり原点に戻るような自問自答をしている友人たちがすごく多くてですね。その時に、本がそばにあってその方の味方になってくれるだろうと、うちの会社は信じています」

小山「吉満さんは常に、本を出したいとか、この人ならこんな企画、というのを考えていらっしゃるんですか」

吉満「今日も含めてですけども、どなたかと会わせていただく機会があると、この人とご一緒して本を作ったらどんな本になるんだろうと、無意識に考えています」

小山「たとえば宇賀なつみさんが本を作るとしたら……」

吉満「お酒がとてもお好きと聞いたので、まずはお酒をご一緒したいなと(笑)」

宇賀「薫堂さんはいかがですか?」
写真 吉満「小説とか脚本もお書きになっていて幅広くていらっしゃるんですけど、私は何となく創作の方の原稿を拝見してみたいな。昨日、『おくりびと』を観て改めてそう思っています」

小山「恐縮です。いつか小説を書いたときは、ぜひ(笑)。ここまで愛に満ちて担当していただけると、やっぱり産み落とした子供を安心して預けられる感じしますよね。『この人の本を出したい』という時の、ポイントって何かあるんですか?」

吉満「私は声で選ばせていただいています」

小山「声!?」
写真 吉満「リスナーの方々も、声を聞きながらいろいろなことを想像されていると思うんですよね。声の中に含まれている情報って、大きさだとか速さだとか、たくさんの情報が込められている気がして。そこに違和感とか、嘘がないかとかをいつも決めて聞いています」

小山「宇賀さんの声はどうですか?」

吉満「お二人とも素敵な声ですよ(笑)」
写真 宇賀「お仕事でもいろいろな手紙のやり取りをされてきたと思うんですけど、特に心に残っているものはありますか?」

吉満「いま、私が皆さんにお伝えしたい手紙が1通ありまして。センジュ出版を立ち上げた時、インターンの男性が働いてくれていました。うちの会社が1冊目の本を作っている最中に、“赤字落とし”といって、初稿から再校に変わっていく中で、ちゃんと赤字が直っているかの照合作業をしてくれていたんですね。その中で、その『ゆめのはいたつにん』という書籍の内容に触れてくれた彼は、その後私に手紙を書いてきまして。その手紙とともに現金が添えられていて、『この本の第一号のお客さんにさせて欲しい』と言ってきたんです。しかもその手紙を、私の目の前に座って読むんですよね。思わず泣けてしまいました」
写真 そんな吉満さんがセンジュ出版について書いた書籍『しずけさとユーモアを 下町のちいさな出版社(エイ出版)』も販売中です。
そして、イベントの中止も相次いでいるいま、センジュ出版では書籍やオリジナルグッズを通販サイトで販売されています。ぜひ、放送を聞いて吉満さんにお手紙を書きたいと思われた方は、こちらまでお願いします→【〒120-0034 東京都足立区千住3-16 2階 センジュ出版】

吉満明子さん、ありがとうございました!

手紙文化を盛り上げよう! ポスト会議#44

写真 全国の郵便局と連携をはかりながら、手紙や音にまつわる企画を考えるコーナー「ポスト会議」。前回に引き続き、手紙や文通の魅力を伝えるフリーペーパー「手紙暮らし」から、江森みずほさんと、岸田カノさんをお迎えしました。

小山「先週お二人に、当番組のアドバイザーになってもらえないかとお願いをして。手紙の楽しさや使い方、SNSで文通相手を探しているという意外な楽しさもうかがいましたけど……我々、まだまだやらなくてはいけないこと、たくさんある気がしますよね」

宇賀「どうすればもっとみんな、手紙を書いてくれると思いますか?」
写真 江森「私手紙は一度も書いたことがない、受け取ったことがない人はいないと思っていて。私たちはLINEとかFacebookとかをすごく自然に使い分けていると思うんですけど、手紙は『手紙文化を大切にしよう』と言うとすごく宿題みたいになって、手紙って難しそうとか、逆にハードルが上がっちゃう気がします。書きたいときは書けばいいし、使いたいときに使えばいいというか。SNSみたいにあくまで選択肢の一つであるツールとして認識されるのが、すごく理想かなと思っています」

宇賀「確かに、大人も自然と使い分けていますもんね。ビジネスメールなのか、LINEなのかって」

岸田「もっと気軽になった方がいいのかなって思います」

宇賀「海外の人の方が手紙って書いていますか?」

江森「海外の人の方が多い気がしますね。クリスマスカードの文化とかもあると思います」
写真 小山「『手紙暮らし』の第2号で『ポストクロッシングを楽しむ』、という特集がありますけど、これは何ですか?」

江森「これはそういうwebサイトがあるんですけど。住所を登録して『ポストカードを送る』というボタンを押すと、世界中の誰かの住所が表示されて、そこにはがきを送るんですね。逆に私の住所も誰かの画面に表示されて、そこからハガキがまた1枚届くんです。たとえば私がはがきを5枚送ったら、世界の誰かからもランダムに5枚届く感じです」

小山「そのシステム面白いですね。じゃあ予期せぬ国から届いたり。これ、番組でやってみても面白いですね」。基本的に英語何ですか?」

江森「たまに日本人の方と巡り会うこともあります。その時は日本語で書いてもいいんですけど、英語が公用語です」

宇賀「知らない世界ですね!」

小山「我々、1年間手紙に関する番組やっていましたけど、まだ何も知らないですね」
写真 宇賀「二人が今までもらった手紙で一番印象に残っているものって何ですか?」

岸田「小学生の頃なんですけど、体調が悪かった時期があって、学校に毎日通えていなかったんです。その時に学校の校長先生がはがきを送ってくださって。小学校って何百人も生徒がいるの中で、自分を認識してくれているのもすごいなと思ったんですけど、季節ごとに送ってくださって。今でも時々読み返しています」

宇賀「どんなことが書いてあったんですか?」
写真 岸田「学校に行けないことをプレッシャーに感じていて悩んでいたんですけど、それを察してくださったのか、心配しなくていいよという言葉や、今度はこういうことをしようとしているから来てみてね、とか、本当に優しく寄り添ってくださったので励まされました」

宇賀「江森さんはどうですか?」

江森「オーストラリアの女の子が書いてくれた絵と手紙で。自分は今ガンで入院をしていて、狭い病院の中で過ごしているけど、手紙を通していろんな世界の人と繋がっているから頑張れるし、広い心を持てているんです、ということが書かれていて。14歳の女の子だったんですけど、その子にとってインターネットで海外の写真を見るのと、リアルに手紙で海外と繋がっているのは大きく違うんだろうな、と実感しました。その子は病院でいろいろな絵を描いて、海外の文通相手に送って楽しんでいると言っていました」

小山「江森さんにとってのお守りのような」

江森「宝物になっていますね」
写真 小山「今、番組でノベルティを考えているんですけど、手紙好きのお二人はどんなものだと嬉しいですか?」

岸田「手紙を書くときの便箋とか、ペンとかは必需品なのであったら嬉しいですね」

江森「私は手紙を書きたいと思う時に、結構便箋がなかったりするんですよ。どこでも持ち運べる便箋セットとか、手紙を書くセットがあると嬉しいなと思います」

小山「なるほど。いま考えているのがコースターと鉛筆なんですけど、便箋も作った方がいいですよね」

江森「便箋を持ち運べるケースとか嬉しいかもしれません」

小山「それもアリですね」

宇賀「海外からの手紙を見ていると、すごくカラフルですよね」
写真 岸田「日本は綺麗な便箋を買って、封筒とセットにしてすごく綺麗に仕上げるんですけど……海外の子たちはすごいこだわりがあるわけではなくてルーズリーフとかメモ帳の裏側に書く子がすごく多くて。私は手紙は人に送るものだから、すごく綺麗に仕上げないといけないという気持ちがあって、それがあるとどんどん書けなくなったりもしたんです。でも、海外の子たちから気楽な気軽な感じの手紙を受け取ると、こういうあり方でいいんだな、と」

江森「気持ちだな、と思いました」
写真 小山「『手紙暮らし』、番組で協賛していいですか? 番組広告を出させてください! 逆にこの番組を使ってお二人がしたいことがあれば、言ってください」

宇賀「強力な味方ができましたね」

江森みずほさんと、岸田カノさん、ありがとうございました!

今週の後クレ

写真 今回のメッセージは、長崎県<長崎中央郵便局>山内隆大さんでした!

「今配達を担当しているところがですね、長崎で有名な諏訪神社というところを配達しているのですが、こちらのほうがだいたい90分位歩きで配達をするんです。長崎は階段とか坂が多いものですから、バイクでも入れないところが非常に多いんですよね。
必ず、夏にになるとお客様がお茶を準備していらっしゃるんですよね。そういったお客様の暖かさに触れることができる、こういったことが私達の仕事の喜びだったり、素晴らしさじゃないかなといつも感じております。」
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