徳島に暮らす桶と樽の職人の音/ノベルティグッズで鉛筆を作ろう!
- 2020/03/29
徳島県 司製樽から届いた音
宇賀「薫堂さんは、木樽とか木桶とか使ったりする機会はあります?」小山「意外と使いますよ。まずお風呂で『湯道』のお道具として使いますし、あとはワインクーラー」
宇賀「ワインクーラーとして使うんですか、おしゃれ! 私は正直なところほとんど使うことないです。ワインを冷やすのもちょっとおしゃれなバケツみたいなものを使っていますね」
小山「でもいいですよ。木桶は氷を入れても外に水滴ができないからテーブルが濡れないんですよね」
宇賀「木でできた桶や樽というのは、プラスチックと違って修理をすることで長い間使うことができる、と。まさに今の時代に求められている製品ではあるわけなんですが、現在、桶樽職人というのは、全国に100人もいないそうです。かなり少なくなっているんですね」
今回番組でご紹介するのは、徳島県阿南市の桶樽職人 湯浅啓司さんです。現在35歳。9年前に独立をして、「司製樽」を立ち上げました。
「お師匠から飯のタネをいただいているので。誰が始めたかわからんこの桶と樽の仕事をちゃんと自分に教えてくれたお師匠がおって。この仕事に感謝しとりますね。うちは昔ながらに桶と樽を使ってくれる人のために、手で作る仕事で役に立てたらと思っています。この仕事はほんまに、まだまだ人の役に立てると思ってしよるんですよね」
10メートル以上もある竹を細く割いて、樽を締め付ける箍(タガ)を編んでいく作業。このタガに使う竹の収穫も桶樽職人の仕事の一つ。朝6時過ぎから竹林に入り、作業をします。
「一般的に使うのは真竹。旬ではないときにとると虫が入るんですよ。11月、12月でうちはできるだけ新月の時に切りに行くんです。新月の時は潮位が上がっていないでしょう、竹に水が上がっていないんですよ。勝手な推測だけど、昔の人が言おうことって外れていることがあんまりないんで」
8つに割いた竹を輪っかにして車に積んでいきます。この日は10メートルを超す竹を7本分詰め込みました。
工房では木を削る音も響いています。丸く象った樽に、タガをはめていきます。
「プラスチックがどうとか、カネがどうとかいうよりもその中に桶と樽という選択肢もあるんですよと知ってもらって。お客さんがお風呂の桶をプラスチックにしようか、カネにしようかだけじゃなくて、木にしようかというのがあってもいいんじゃないかと。無理に桶がいいんですよ、という話では全くないんやけど。これがいちばん、買う側の人からしたら健全なかたちかなと」
そう語る湯浅さんは、いま新しい取り組みに挑んでいます。
「『47都道府県から一人ずつ弟子をとる』という冗談みたいなほんまみたいな。47都道府県に一人ずつでも桶谷さんがいて、直しながら使う言うんがやりやすい環境ではないのかなと思います。いま、弟子は一人やけど4月から一人入ってくるので二人になりますね。6年後、独立する時に当たって、桶屋に必要なカンナだったりの手道具は一式うちから買って、渡して自分の地元で独立しなはれよ、というかたちで今はやっています」
弟子入りして3年目の翠さんが、親方から学んだことを教えてくれました。
「辛いことやしんどいことの方が仕事中って多いんですけど。だからって、仕事が楽しくない、仕事が嫌なことっていう風にはならないんですよね。親方の自信を持って仕事をしている背中を毎日見ていると、仕事って本当にいいものなんだなって。32歳で弟子入りをしたんですけど、この歳になってそれを親方から教わりました」
湯浅さんは最後にこう語ってくれました。
「人間として基本的な部分をしっかりと持ってもらう。特別なことをしようわけじゃないんですよ、僕らの仕事は。当たり前にみんなで仕事をしよう中の一つなんで。自分の仕事に責任を持てる仕事をしていってほしいなと思っています」
小山「どうですか、聞いていて欲しくなりました?」
宇賀「さっそく欲しくなりました。木の音とか、竹の音とかが本当に心地よくて。こうやって作られているものをちゃんと持っておきたいなと思いました」
小山「そもそも日本人は桶と樽で人生を歩んできたんですよ。生まれた時はたらいで産湯に浸かり、味噌でご飯を食べて、おひつも使って、酒も樽で作りますよね。そして死んだあとは棺桶ですよ。たらいから棺桶まで。桶と樽の文化で日本人は一生を終えると」
司製樽の木桶を実際に手にしてみて、宇賀さんは……。
宇賀「手に取っただけで木の香りがしますよ。軽いし、手触りもいいですよ」
小山「杉の木ですね。使い込むほどにいい味が出てきそうですよね」
宇賀「これはずっと使えるんですか?」
小山「タガが外れる、という言葉があるように、このタガがだんだん緩んでくるので、そうしたらもう1回修理をしてもらうんですよね」
司製樽の木桶・木樽はオンラインストアでも購入できます。ぜひWEBサイトもご覧ください。
司製樽
「お師匠から飯のタネをいただいているので。誰が始めたかわからんこの桶と樽の仕事をちゃんと自分に教えてくれたお師匠がおって。この仕事に感謝しとりますね。うちは昔ながらに桶と樽を使ってくれる人のために、手で作る仕事で役に立てたらと思っています。この仕事はほんまに、まだまだ人の役に立てると思ってしよるんですよね」
10メートル以上もある竹を細く割いて、樽を締め付ける箍(タガ)を編んでいく作業。このタガに使う竹の収穫も桶樽職人の仕事の一つ。朝6時過ぎから竹林に入り、作業をします。
「一般的に使うのは真竹。旬ではないときにとると虫が入るんですよ。11月、12月でうちはできるだけ新月の時に切りに行くんです。新月の時は潮位が上がっていないでしょう、竹に水が上がっていないんですよ。勝手な推測だけど、昔の人が言おうことって外れていることがあんまりないんで」
8つに割いた竹を輪っかにして車に積んでいきます。この日は10メートルを超す竹を7本分詰め込みました。
工房では木を削る音も響いています。丸く象った樽に、タガをはめていきます。
「プラスチックがどうとか、カネがどうとかいうよりもその中に桶と樽という選択肢もあるんですよと知ってもらって。お客さんがお風呂の桶をプラスチックにしようか、カネにしようかだけじゃなくて、木にしようかというのがあってもいいんじゃないかと。無理に桶がいいんですよ、という話では全くないんやけど。これがいちばん、買う側の人からしたら健全なかたちかなと」
そう語る湯浅さんは、いま新しい取り組みに挑んでいます。
「『47都道府県から一人ずつ弟子をとる』という冗談みたいなほんまみたいな。47都道府県に一人ずつでも桶谷さんがいて、直しながら使う言うんがやりやすい環境ではないのかなと思います。いま、弟子は一人やけど4月から一人入ってくるので二人になりますね。6年後、独立する時に当たって、桶屋に必要なカンナだったりの手道具は一式うちから買って、渡して自分の地元で独立しなはれよ、というかたちで今はやっています」
弟子入りして3年目の翠さんが、親方から学んだことを教えてくれました。
「辛いことやしんどいことの方が仕事中って多いんですけど。だからって、仕事が楽しくない、仕事が嫌なことっていう風にはならないんですよね。親方の自信を持って仕事をしている背中を毎日見ていると、仕事って本当にいいものなんだなって。32歳で弟子入りをしたんですけど、この歳になってそれを親方から教わりました」
湯浅さんは最後にこう語ってくれました。
「人間として基本的な部分をしっかりと持ってもらう。特別なことをしようわけじゃないんですよ、僕らの仕事は。当たり前にみんなで仕事をしよう中の一つなんで。自分の仕事に責任を持てる仕事をしていってほしいなと思っています」
小山「どうですか、聞いていて欲しくなりました?」
宇賀「さっそく欲しくなりました。木の音とか、竹の音とかが本当に心地よくて。こうやって作られているものをちゃんと持っておきたいなと思いました」
小山「そもそも日本人は桶と樽で人生を歩んできたんですよ。生まれた時はたらいで産湯に浸かり、味噌でご飯を食べて、おひつも使って、酒も樽で作りますよね。そして死んだあとは棺桶ですよ。たらいから棺桶まで。桶と樽の文化で日本人は一生を終えると」
司製樽の木桶を実際に手にしてみて、宇賀さんは……。
宇賀「手に取っただけで木の香りがしますよ。軽いし、手触りもいいですよ」
小山「杉の木ですね。使い込むほどにいい味が出てきそうですよね」
宇賀「これはずっと使えるんですか?」
小山「タガが外れる、という言葉があるように、このタガがだんだん緩んでくるので、そうしたらもう1回修理をしてもらうんですよね」
司製樽の木桶・木樽はオンラインストアでも購入できます。ぜひWEBサイトもご覧ください。
司製樽
手紙の部屋『レタールーム』からの手紙
リスナーのみなさんからいただいたお手紙の中に、こんな1通がありました。〈私が働く宮崎のフェニックス・シーガイアには、「レタールーム」という手紙を書くためのお部屋があり、そこのレタールームコンシェルジュを父が務めています。実は今月、定年を迎え、家族のために仕事に従事してきた父に感謝の気持ちを伝えたくお手紙を書かせていただきました〉
宮崎のリゾートホテルの「レタールーム」。そこでコンシェルジュをしている山下茂男さんの娘さんからのお手紙です。
〈父は基本、どんな仕事でも自分が楽しめる部分を探して常に楽しみながら働いています。しかしレタールームにおいては、本当に父にとって天職であると感じられるほど日々生き生きとしています。最近はよく、お客様から父宛てのお手紙が届きます。それは小さなお子様から年配の方まで、国内外問わず様々な内容のお手紙です。父はその手紙を読んで、嬉しそうにそのお客様のお話をしてくれます。その度、やはり父には叶わないなあと感じています。
私は社会に出て、接客の難しさを痛感しました。だからこそ、父がお客様との話が楽しいと言う度、その裏にどれほどの努力があったのだろうと思わずにはいられません。本当に仕事に対して熱心で、笑顔を絶やすことなく、お客様に接し、仕事に誇りを持つ父親を社会人としても心から尊敬しています。
そして伝え損ねていたけれど、定年おめでとう。これまでお疲れ様でした。そしてありがとう。これからも父の背中を追って頑張ります。 娘〉
小山「コンシェルジュの山下さん、僕も会ったことありますけど、手紙のコンシェルジュってこんな感じだろうなっていうままで。いつも机に座ってニコニコしながら絵はがきを渡してくれたり、万年筆を一緒に選んでくれたり。そこで手紙を書くと、3箇所出すところがあるんですよね。普通の手紙、未来への手紙、そして宛てのない手紙。言葉に旅をさせるようなポストっていう感じなんですよね」
宇賀「お父様はもう定年されたんですね」
小山「聞いたところ、定年なさったんですが、再雇用でまたいらっしゃるみたいです。まだ、いらっしゃるはずです」
宇賀「でもこれ嬉しいですね。お父様がこのラジオを聞いてくれているということなんですかね?」
小山「この手紙は、我々から山下さんにお送りしましょう」
手紙文化を盛り上げよう! ポスト会議#40
全国の郵便局と連携をはかりながら、手紙や音にまつわる企画を考えるコーナー「ポスト会議」。現在、番組オリジナルのノベルティグッズ企画が進行中。銀座の月光荘画材店・日比康造さんと会議を重ねた結果、コースターと鉛筆を作ろう、ということになりました。
今回は、どんな鉛筆を作るか会議をすべく東京・葛飾区の北星鉛筆株式会社代表、杉谷龍一さんをお迎えしました。
小山「鉛筆業界というのは、大体何社くらいあるものなんですか?」
杉谷「細かいところも合わせると30社ちょっとくらいかな、という感じですね。ただ注文を受けられるような窓口があるところは片手でたりちゃうくらい、5社6社くらいですね」
小山「そもそも、鉛筆がどう出来ているのか考えたことがないですよね。杉谷さんはやっぱり子どもの頃から鉛筆で勉強をしてきたんですか?」
杉谷「そうですね、生まれた時からその場にあったので。私が使うのは不良品ですけどね(笑)」
小山「鉛筆会社の社長として、シャープペンシルに憧れたりもしたんですか?」
杉谷「そうですね、中学生くらいになると憧れたりも(笑)」
宇賀「でも中学生の頃ってシャーペン禁止じゃなかったですか? 学校は鉛筆じゃないとダメでした」
杉谷「そうですね、鉛筆は書くことに集中できますので。鉛筆の良さっていうのは絶対に書けるところなんですよね」
小山「絶対に書ける?」
杉谷「鉛筆で、書けるかな? って試し書きする人っていないんですよ。芯が見えていれば絶対に書ける。何年経っても書けなくならないんですよね。うちでよく言うのは『鉛筆は人を裏切らない』」
小山「鉛筆は裏切らない!」
宇賀「確かにシャーペンだと心が折れちゃって、ということありますもんね。そもそも鉛筆っていつ誕生したんですか?」
杉谷「450年前まで遡るんですけど、イギリスのボロデール鉱山というところで黒鉛が見つかったことに始まるんですけども。当時はその黒鉛の塊に、ヒモだったり布を巻いて書いた、というのが始まりだったんですよね」
小山「木に芯を埋め始めたのはいつ頃なんですか」
杉谷「その数年後には木に挟んだり、木を削り出して芯を挟んだりという形になっていたそうです」
小山「日本ではいつ頃から使われるようになったんですか?」
杉谷「残っているものでいちばん古いのは、徳川家康の所持品に含まれています」
小山「先日、(名古屋おもてなし武将隊の)家康公がゲストに来たんですよ」
杉谷「家康のは日本製ではなく、オランダからの贈り物だったんですけども」
小山「ちなみに杉谷さんがいちばん好きな鉛筆の硬さは?」
杉谷「硬さですか。あまり考えたことないですね。よく使うのは、B、2Bを使っていますね。最近は10Bの商品も出しました」
宇賀「(10Bで書いてみて)これいいですね、クレヨンみたい!」
小山「書きやすいですよね」
杉谷さんには他にも、北星鉛筆の商品もいろいろお持ちいただきました。
宇賀「これはなんですか?」
杉谷「それは鉛筆のキャップなんですけど、つけると鉛筆がタッチペンになるんです。鉛筆の芯に導電性があるので、指と同じで鉛筆の芯でスマホの画面がいじれるんです」
小山「これは鉛筆型の耳かきみたいに見えますけど、何ですか?」
杉谷「これは耳かきです。耳かきと鉛筆をドッキングさせたり」
小山「先ほどの10Bの鉛筆はおいくらなんですか?」
杉谷「2本入りで240円です」
宇賀「10B、いいですよね」
杉谷「4Hから6Bまで、全部入っているセットもありますよ」
宇賀「やっぱりいちばん使うのってB、HBとかですか?」
杉谷「いちばん売れるのは2Bなんです」
小山「世の中にある鉛筆でいちばん硬いのは?」
杉谷「9Hですね」
小山「なるほど。そして、この4Hもいいですね。すごく極細のペンで書いているみたい」
宇賀「あ、4Hいいですね」
小山「両極があるのもいいですよね。4Hと10Bをセットにするとか」
小山「鉛筆のいちばんの魅力ってどんなところですか?」
杉谷「やはり鉛筆自体は使えばなくなっていくんです。そのなくなったことが、勉強とかでその人の役に立っているんです。なくなるんだけど、それが人間の形成に役立っているということが素晴らしいところだと思います。それから、やっぱり絶対に書けるということですよね」
奥深い鉛筆の世界を知った薫堂さんと宇賀さん。次回、どんなノベルティを作るのか本格的に会議していきます。お楽しみに。
北星鉛筆株式会社
今週の後クレ
今回のメッセージは、千葉県の<都賀駅前郵便局>中川眞穂さんでした!「私が今の郵便局について2年ぐらい経つのですが、1人の女性のお客様が、郵便局に御用が無くても”近くに寄ったから会いに来たわよ”と窓口にいらっしゃって。今まで自分がしてきた事が間違いじゃなかったのかな、というか。私のことが印象に残って下さる方が1人でもいたんだなと感じてすごく嬉しく思いました。」
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