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『手紙から始まる物語。』
ここには、様々な思いが詰まった手紙が毎週届きます。
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日本の手仕事を伝える仕事/薫堂さん、宇賀さんが採取した音とは?

  • ON AIR
  • 2020/02/02

ニッポン手仕事図鑑 大牧圭吾さんをお迎えして

null 番組では日本の文化・伝統を音や手紙で紹介していますが、今回は日本の技術や文化を動画で残しているメディア「ニッポン手仕事図鑑」編集長の大牧圭吾さんをお迎えしました。

小山「ニッポン手仕事図鑑はどんなきっかけで生まれたんですか?」

大牧「僕の母の実家が長野県で、父の実家が京都で共に田舎と呼ばれる地域だったんですけど、年々、個性や文化がなくなっているなとすごく感じることが多くなって。地域の文化って誰が作っているんだろう? と考えた時に、その地域で働く人が、地元の文化や風習をつくっているんだな、と気づいたんですね。どちらかというと、伝統文化を残すというよりも、地域の働く人にフォーカスをしたいというところから、日本手仕事図鑑の芽が生まれました」
そんなニッポン手仕事図鑑でどんなものが紹介されているのかというと……。
null 大牧「1本目として撮ったのは、活版印刷の職人さんです。他にも硯の職人さん、べっ甲で細工を作られている職人さんとか」

小山「僕、この前べっ甲の眼鏡を初めて買ったんです。びっくりしました、高くて。ただ、ずっと引き継いでいけるんですよ。僕が死んでも誰かに引き継げるし、折れたら直してもらえるし」

宇賀「これは動画の図鑑なんですよね。どこで見ることができますか?」

大牧「“ニッポン手仕事図鑑”で検索をするとWEBサイトが出てきます。いまは70本ほど動画が上がっていて、何か登録が必要なわけでもないので、すぐに見ていただけます」
null 宇賀「(サイトを見ながら)ガラスペン職人、太鼓職人、ヴァイオリン職人、仏壇職人……」

小山「この番組でも紹介した大阪のランプ職人の方もいますね。線香花火の職人さんもいますね。これは線香花火を手作りしているんですか?」

大牧「僕らがここにフォーカスをした理由は、ある時のニュースで国産の線香花火の作り手がいなくなったというニュースを見たんですね。それに危機感を覚えた浅草の問屋さんがなんとか復刻させようということで、愛知県の花火を作られている工房にお願いをして復刻させたんです。それからいまは個人の単位で作られている方も生まれているという話も聞いています」

小山「あ、これも興味あります、輪ゴム鉄砲職人! 輪ゴム鉄砲っていまだにあるんですね」

大牧「僕らは割り箸で作りますけど、この職人が作るものは20連発とか撃てるんですよ」

宇賀「動画で見られるっていいですね。15分、20分くらいだと移動の間とかで見られますし。こちらは、職人さんはどういう基準で選ばれているんですか?」

大牧「基本的に基準は作っていないんですけど、一つ明確にあるのは、僕らは『ニッポン手仕事図鑑』で、『ニッポン職人図鑑』ではないので。すごく高い評価がされている職人さんにフォーカスをするわけではなく、あくまで手仕事にフォーカスをしたいな、と。たとえば、機械でできることを手仕事でやるのは生産性が落ちるので。それを美徳みたいに表現される方もいるんですけど、僕らは機械でやれることは機械でやっていいんじゃないかなと思っていて。その手間、手仕事が使う人の価値になるっていうことを定義できるものであればいいかな、と」

小山「僕こういうものを見ると、すぐに欲しくなるんですよね。感情移入して見ると俄然、物欲が湧いてきますよね」

宇賀「宣伝効果もありますよね」

大牧「技術だけを紹介する映像って多いんですけど。いろいろな映像が並んでいるんですけど、僕らが唯一ルールを決めているのが、その職人さんのインタビューを入れることです」

小山「今までで印象的な職人さんは、どんな方がいらっしゃいます?」

大牧「木曽漆器の職人さんで、僕の母と同じ年くらいの方にインタビューさせていただいた時に、後継者の話になったんですね。その時に、『どういう方に後継者になって欲しいですか?』と、撮影が終わった後に雑談で聞いていたら、『作り手ではなくて、使う人、伝える人も後継者』『あなたたちも後継者』と言ってもらえた時に、すごく自分の立ち位置が変わってはっとさせられました。使う人も、伝える人も後継者という認識を与えてくれた職人さんには、すごく感謝していますね」
null 大牧「実は職人さんの動画を見せるデメリットもあって。職人さんが想いを込めて良いものを作ったということを僕らがそのまま伝えてしまうと、本来であれば使って欲しい日用品を、飾ったり仕舞われたりしてしまうんです。やっぱり職人さんとしては乱暴には使われてほしくないんですけど、ちゃんと使って、本来の目的を果たして壊れていく、というのが理想なんですよね。あとは直して使ってもらったりとか。ただ、例えば僕らが映像を作った水うちわなんかも、そのまま飾ってしまうとインテリアの効果もあっていいんですけど、本来の使い方ではないので。そうすると10年、5年買い換えて欲しいものが30年、40年ずっとあると、消費が止まってしまうこともあるので。そこの伝え方は僕らもすごく慎重にやっていかないとな、と思っています」

宇賀「つい良いものがあると、大事な時に取っておこうって思っちゃうんですよね」

大牧「ガラスペンなんかも、職人さんはいっぱい使ってほしいんですよ。インクの吸い込み方とかもすごく綺麗なので。でもやっぱりアートのペンになってしまって」

小山「蒔絵の人間国宝の室瀬和美さんも、『日本の工芸品が素晴らしいのは、使える美術品であるという点なんです』とおっしゃっていました」

宇賀「動画以外にも何か活動されていたりするんですか?」

大牧「ニッポン手仕事図鑑は、動画はあくまでもきっかけ作りというところで発信しているんですけど。今いちばん力を入れているのは『後継者育成インターンツアー』を開催していまして。僕らが把握しているだけでも、職人になりたい若い人たちが行く学校は全国で実は70校以上あるんですよ」

小山「そんなにあるんですか」

大牧「そうなんです、意外と知られていなくて……大学でもあるし、専門学校も職業訓練所みたいな組織もあるんですけど。学校の先生たちに話を聞くと、『求人がない』という話をよくお伺いするんです。かたや、ニッポン手仕事図鑑の活動として産地に行くと、『後継者いないよ』と言われるんですよね。こちらの声がどうして届かないのかというと、SNSを使うわけでもないですし、行政に『誰かいい人いないかな?』と伝えるのが大多数だったりして。学校側も小さな声を拾えるだけのノウハウや体力もあるわけではないので。学校の生徒さんを募集して、産地に連れて行って。一泊二日の短い期間なんですけど、職人さんや町の暮らしを見せてあげて、一人でも二人でも後継者を生み出していくという活動をしています」

宇賀「ちなみにこの番組は手紙をテーマにしているんですけど、大牧さんは印象に残っている手紙はありますか?」

大牧「僕が今、ニッポン手仕事図鑑をやっていて印象に残っているあるお母さんからのメールがあるんです。面識はないんですけど、小学校2年生の息子さんと一緒にニッポン手仕事図鑑の映像を見たというメールをいただいて。その息子さんがバスケットボールの選手になることが夢なんですけど、『僕、バスケットボールの選手にならなかったら、枕職人になりたい』と言ってくれたらしいんですね」

小山「へえ!」

大牧「ニッポン手仕事図鑑の映像って、小学校2年生のお子さんが理解できると僕はまったく思っていなかったので、そこで子ども向けに発信していくことの価値を感じて。『子どものためのニッポン手仕事図鑑』という本を出させていただいたんです。そうしたら、読者の姉妹の女の子から、この本を読んだ感想とイラスト付きの手紙が届いたんです。本の中で印象に残っている職人さんのイラストを描いてくれたりとか」
null 小山「『いちばん気になったのは食品サンプル職人です』と書いてありますね。『手仕事ってすごい!』と」

宇賀「こちらの子は『線香花火職人がいると知っておどろきました。わたしはいちばんすきな花火が線香花火で、この職業があるから、いろいろな線香花火があると思えてうれしくなりました』と」

小山「これ、小学校の授業の一つにしてもいいくらいですね」

宇賀「やっぱりスポーツ選手とか、YouTuberとかが人気なのはよく見ているからじゃないですか。見たことがないものになりたいと思えないですもんね。まずは知ってもらわないと」

大牧「家業がそうじゃない方で職人になっている方って、小学校くらいの時に手仕事に触れている原体験があるというのは、ほぼ共通していることなんですよね。なので、いかに小学校の頃からものを使ったりとか工房を見たりという経験をすることで、日本の文化の担い手のような方が生まれるんじゃないかなって。だからこそ、この手紙はすごく励まされました」

小山「僕が小学校の先生だったら、課題図書にして感想文とか書かせてみたいですね」
null 宇賀「今後、ニッポン手仕事図鑑はどうなっていくんですか?」

大牧「ひとつメディアのテーマとして掲げているのが、職人さんにインタビューをした時に、やっぱり職人さんって『インタビューをさせてください』ってお願いをすると、『いやいや喋れないよ』っておっしゃるんですよね。ただインタビューを始めてみると止まらなくって、1時間を超えることもザラにある。10分15分の映像だと、そのインタビューの5分も使えるかどうかで残り55分を捨てているわけですよね。でもそこに新しい作り手とか、使い手を増やせる言葉があったりするので。僕はその切り取ってしまった55分の声みたいなものを、リアルな場だったり音声コンテンツだったり、何か伝えていく手段をつくりたいなと思っています」

「ニッポン手仕事図鑑」編集長の大牧圭吾さん、ありがとうございました!

薫堂さん 宇賀さん1週間の音

null 宇賀「さて、前回の放送で薫堂さんが提案した、スマートフォンのボイスメモでいろいろな音を録ってこようという企画。さっそく、私たち、やってきたんですよね」

小山「どうですか?」

宇賀「私、この1週間、職場と家しか往復していなかったのでものすごく身近な音になっています」

まずは宇賀さんの「家の近くで録ってきた」という音から聞きました。
水が何かを弾くような音ですが、果たして……?

小山「今のは……雨だれの音?」

宇賀「そうなんです。マンションの1階のいつも通る通路があるんですけど。なんか雨の音が響いていてきれいだなと思って、そこで録ってきました」

小山「いいですね、ハードルが一気に下がった感じがして(笑)」

宇賀「今週は本当に時間がなくて、六本木の交差点の音か、渋谷の駅の音か、収録中のスタジオの音かしかないと思って」

小山「でもそういうのでもいいですね」

宇賀「でも敏感になりました。いつも歩いているところでも素敵な音ってあるんだなって。まあ、薫堂さんはきっと、ものすごいところの、ものすごい音を……(笑)」
null null 続いて、薫堂さんの音。こちらもなにやら、水の音のようですが……。

小山「先週末、別府に行ってまいりまして。別府温泉の音をいっぱい録ろうと思ったんです。本当はいちばん録りたかった音を撮り忘れまして。あわてて録ったのがこれなんです。何かと言いますと、別府市を見下ろすところに、インターコンチネンタルというホテルがあって、そのテラスに露天風呂が付いていて素晴らしいお風呂なんです。そのお湯を入れている音」

宇賀「水じゃなくてお湯の音なんですね」

小山「これもいいんですけど、録りたかったのは別府市から車で1時間ほど南に行ったところにある、佐伯市というところがありまして。そこに塩湯という浴場があるんです。温泉じゃないです。海水をくんで、不純物を取り除いた塩水を沸かしたお風呂。言ってみれば塩水の銭湯ですよ」

宇賀「ちょっとベタベタしたりもするんですか?」

小山「ほんの少し。舐めると海水と同じくらいしょっぱいんです。それが海沿いに建っていて、素晴らしい眺めと湯の豊富さ。これは絶対に宇賀さんも好きですよ(写真を見せて)」

宇賀「あー、いいですね! これでおいくらなんですか?」

小山「500円です。この横にサウナと水風呂もありまして。水風呂は、海水をそのまま入れているんですよ。ちょっと冷たくて。これもよかったですね。改めて、大分は湯がいいなと思いました」
null これからも2人が気になった音を、皆さんにお届けします。お楽しみに!

新企画参加者募集中!

null 〈音の絵画コンテスト〉…音だけを聞いて、その音を想像して描いた絵をリスナーの皆さんから募集! 初回は、薫堂さんが録音した「温泉のお湯の音」から想像した絵を募集します!

〈ラブレター渡し隊〉…ラブレターを渡す勇気がない……そんな人を応援する企画。小山薫堂があなたが書いたラブレターを、意中の相手に渡しに。想いを届けるお手伝いをします。お相手の情報やラブレターの概要を合わせて書いてください。

〈文通企画〉…番組スタッフと文通したい方を募集! 文通相手のスタッフはランダムです。薫堂さん、宇賀さんから返事が来ることもあるかも?

住所・氏名・電話番号を忘れずに明記の上、お手紙か番組サイトのメッセージでご応募ください。
お手紙の宛先は【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」】です。

今週の後クレ

null 今回のメッセージは福井県<三国郵便局>吉田拓生さんでした!

「仕事は常に笑顔で明るく楽しくを心掛けています。
3年前の大雪で、福井県は国道8号線という大きな道路で1500台の車が立ち往生してしまった時がありました。除雪もほとんど入らないなか、リュックを背負って歩いて配達をしました。その時にお客様に郵便物をお渡しした際、心から”ありがとう!”という一言を頂いて、心が洗われたようで、この仕事をしていて本当に良かったなと思いました。
これからも明るく楽しく、何歳まで郵便配達が出来るか分かりませんが、健康と安全第一で頑張ります!」
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