美味しいお肉の音をお届け/未来に手紙を送れるお店「自由丁」
- 2019/09/22
ミートスペシャリスト 沼本憲明さん
今回のテーマは美味しい「お肉の音」。薫堂さんが主催した「お肉の会」の音を、お届けしました。小山「先日、沼本憲明さんという肉職人、ミートスペシャリストの方と出会ったんです。この方は山口県岩国市でミコー食品という会社を経営しているんです。最近、『この漁師さんが釣った魚はうまい』とか、『この人が仕入れた魚は間違いない』っていう魚屋さんとかがあるじゃないですか。その、お肉屋さん版という感じです。15歳の頃から食肉の世界に入って、それから二十数年間、牛肉を捌き続けている一流の目利きです。ブランド牛じゃなくても一目見れば旨さがわかったり、切り方でお肉を美味しくするという方なんです」
宇賀「へえ」
小山「話には聞いていたんですけど、本当かな? と思っていて。うちの事務所で、牛肉をさばく風景を見せてくれ、とお願いをしたんです。でも僕だけが見るのはもったいないので、いろんな料理人の人……それから宇賀さんにも声をかけたんですよね」
宇賀「はい、私もおじゃましてきたんです!」
薫堂さんと宇賀さんが参加した「お肉の会」。ラジオスタッフもおじゃまをしてきました。
沼本さんが牛肉をさばく時の包丁は、なんと15歳から使い続けているもの! しかも一度も研いだことがないそうです。
小山「この包丁ひとつで、肉を114の部位に切り分けるんでしたよね?」
沼本「いまは120ですね」
小山「120! それぞれに名前も付けられて、本当に肉の巧みなんですよね。ブランド牛とかありますけど、『沼本が目利きをして切った肉』が旨い、という。僕もお肉をさばく姿を見るのは初めてです」
宇賀「お肉の塊が……これは何キロですか?」
沼本「これは12キログラムです。今日はもも肉、しんたまという部位を持ってきました」
小山「何牛なんですか?」
沼本「山口県の高森和牛というお肉です」
沼本さんは26年間、研究を重ねて、捨てる部分が出ないカット方法を追求してきました。沼本さんがお肉に包丁を入れると、薫堂さんも宇賀さんも、まずはその音に驚いていました。
小山「音がすごいですね! ベリベリっていうんですね」
宇賀「はがす、っていう感じですね」
沼本「切り分けるんじゃなくて、筋膜で分けてあげることで、肉の本来の美しさが見えてくるんですね」
沼本さんは愛情込めて、傷つけないようにお肉を扱うため切っても血がほとんど出ないのだとか。これには宇賀さんも「だんだんお肉が可愛く見えてきました。美しい」とのこと。
さて、カットしたお肉を焼くのは、薫堂さんが招いた日本料理店「くろぎ」の黒木純さんです。
小山「ここ、普通のキッチンじゃないですか? プロが料理するとどのくらい違うのか、見てみたいですね」
黒木「肉の温度を上げながら焼く、裏技があるんです。あえて焦げ目をつけずに、中心の温度を60度くらいにまで上げちゃうんです。正確には67度がいちばんいいですね」
宇賀「67度? それ、分かるんですか?」
黒木「感覚的にわかります。芯温計も数千円で売っているので、それを刺しながら焼いていただくと早いですね。(フライパンにアルミホイルをかぶせながら)あとはちょっと休ませて、3回焼きます。そうすると芯温が徐々に上がって、中の脂の融点で口に入れた瞬間、脂が溶けるようになるんです。家庭でお肉を焼くポイントは、脂が出たらすぐに拭く。牛肉食べすぎると、モアっとした感じになるのはこの脂のせいなんですよ」
お肉を頬張る宇賀さんと薫堂さん。「脂が口の中で溶けてなくなる感じ。でも、脂が全然嫌味な感じがしない!」「そう、食べ終わったあとさっぱりしますよね!」と絶賛。黒木さんをはじめ、お肉の会に集まったシェフの皆さんも、お肉の味、そして何より沼本さんの技術に驚いていました。
なぜ、沼本さんはここまで、お肉の切り方にこだわるようになったのでしょうか?
沼本「15歳の頃には屠殺場に入っていて。鳴いている牛がすごく可哀想だったんです。牛の頭蓋骨を持って帰って、風呂で洗って外に干して、頭の形を覚えたんです。それをひたすらやって、全体の骨の形を覚えた感じです。捨てられるのがとにかく嫌だった。いかに綺麗に切るかを研究してきました」
宇賀「今後、このお仕事を通してどんなことを伝えていきたいですか?」
沼本「私としては、仕事はやはり“肉道”なんですね。世界中の肉職人の方と同じチームを組んで、世界の食肉文化を向上させたい。そのためにも、世界にも出たいと思います」
改めて、お肉の会を振り返る薫堂さんと宇賀さん。
宇賀「本当に美味しかったです。お腹いっぱいなのに食べちゃって」
小山「宇賀さん、相当食べていましたよね。インタビューしないといけないのに、『焼きあがりました!』ってシェフが持ってきたら、2人ともそっちに行っていましたからね」
宇賀「全部、切り方とか焼き方とか味付けも違うから、出てくると食べなきゃ! となって」
小山「沼本さんが切る様子を見る料理人たちの真剣なまなざしと、何より職人さんに対するリスペクト。そこでまた、お互いが丁々発止でいいものが出来上がっていく……その一部始終を目撃した気がします」
宇賀「沼本さんが『お肉って可愛いんですよ』っておっしゃっていたんですけども。本当にそう見えてきて。美しくて、綺麗で」
小山「沼本さんの牛に対する愛を感じましたね。あの愛が腕を磨き、美味しくするきっかけになっているのかなと思いました」
宇賀「いただく方も、愛を込めていただかないといけないと、思いました」
沼本さんのご活躍は下記のサイトで見ることができます。
ミコー食品
沼本さんが牛肉をさばく時の包丁は、なんと15歳から使い続けているもの! しかも一度も研いだことがないそうです。
小山「この包丁ひとつで、肉を114の部位に切り分けるんでしたよね?」
沼本「いまは120ですね」
小山「120! それぞれに名前も付けられて、本当に肉の巧みなんですよね。ブランド牛とかありますけど、『沼本が目利きをして切った肉』が旨い、という。僕もお肉をさばく姿を見るのは初めてです」
宇賀「お肉の塊が……これは何キロですか?」
沼本「これは12キログラムです。今日はもも肉、しんたまという部位を持ってきました」
小山「何牛なんですか?」
沼本「山口県の高森和牛というお肉です」
沼本さんは26年間、研究を重ねて、捨てる部分が出ないカット方法を追求してきました。沼本さんがお肉に包丁を入れると、薫堂さんも宇賀さんも、まずはその音に驚いていました。
小山「音がすごいですね! ベリベリっていうんですね」
宇賀「はがす、っていう感じですね」
沼本「切り分けるんじゃなくて、筋膜で分けてあげることで、肉の本来の美しさが見えてくるんですね」
沼本さんは愛情込めて、傷つけないようにお肉を扱うため切っても血がほとんど出ないのだとか。これには宇賀さんも「だんだんお肉が可愛く見えてきました。美しい」とのこと。
さて、カットしたお肉を焼くのは、薫堂さんが招いた日本料理店「くろぎ」の黒木純さんです。
小山「ここ、普通のキッチンじゃないですか? プロが料理するとどのくらい違うのか、見てみたいですね」
黒木「肉の温度を上げながら焼く、裏技があるんです。あえて焦げ目をつけずに、中心の温度を60度くらいにまで上げちゃうんです。正確には67度がいちばんいいですね」
宇賀「67度? それ、分かるんですか?」
黒木「感覚的にわかります。芯温計も数千円で売っているので、それを刺しながら焼いていただくと早いですね。(フライパンにアルミホイルをかぶせながら)あとはちょっと休ませて、3回焼きます。そうすると芯温が徐々に上がって、中の脂の融点で口に入れた瞬間、脂が溶けるようになるんです。家庭でお肉を焼くポイントは、脂が出たらすぐに拭く。牛肉食べすぎると、モアっとした感じになるのはこの脂のせいなんですよ」
お肉を頬張る宇賀さんと薫堂さん。「脂が口の中で溶けてなくなる感じ。でも、脂が全然嫌味な感じがしない!」「そう、食べ終わったあとさっぱりしますよね!」と絶賛。黒木さんをはじめ、お肉の会に集まったシェフの皆さんも、お肉の味、そして何より沼本さんの技術に驚いていました。
なぜ、沼本さんはここまで、お肉の切り方にこだわるようになったのでしょうか?
沼本「15歳の頃には屠殺場に入っていて。鳴いている牛がすごく可哀想だったんです。牛の頭蓋骨を持って帰って、風呂で洗って外に干して、頭の形を覚えたんです。それをひたすらやって、全体の骨の形を覚えた感じです。捨てられるのがとにかく嫌だった。いかに綺麗に切るかを研究してきました」
宇賀「今後、このお仕事を通してどんなことを伝えていきたいですか?」
沼本「私としては、仕事はやはり“肉道”なんですね。世界中の肉職人の方と同じチームを組んで、世界の食肉文化を向上させたい。そのためにも、世界にも出たいと思います」
改めて、お肉の会を振り返る薫堂さんと宇賀さん。
宇賀「本当に美味しかったです。お腹いっぱいなのに食べちゃって」
小山「宇賀さん、相当食べていましたよね。インタビューしないといけないのに、『焼きあがりました!』ってシェフが持ってきたら、2人ともそっちに行っていましたからね」
宇賀「全部、切り方とか焼き方とか味付けも違うから、出てくると食べなきゃ! となって」
小山「沼本さんが切る様子を見る料理人たちの真剣なまなざしと、何より職人さんに対するリスペクト。そこでまた、お互いが丁々発止でいいものが出来上がっていく……その一部始終を目撃した気がします」
宇賀「沼本さんが『お肉って可愛いんですよ』っておっしゃっていたんですけども。本当にそう見えてきて。美しくて、綺麗で」
小山「沼本さんの牛に対する愛を感じましたね。あの愛が腕を磨き、美味しくするきっかけになっているのかなと思いました」
宇賀「いただく方も、愛を込めていただかないといけないと、思いました」
沼本さんのご活躍は下記のサイトで見ることができます。
ミコー食品
手紙文化を盛り上げよう! ポスト会議#19
全国におよそ2万4千局ある郵便局と連携を取りながら、新しいムーブメントを作ったり、商品開発をしていく企画コーナー「ポスト会議」。今回は、8月に東京・蔵前にオープンしたばかりの“未来へ手紙が送れるお店”「自由丁」から、小山将平さんをお迎えしました。
小山「未来へ手紙が送れるお店って、響きだけでは想像つかないのですが、どんなお店なんですか?」
将平「お店で書いた手紙を、1年後の自分に届けられるお店になります」
小山「そういうサービスとかお店があるといいな、と思うことはよくあるんですけど、お店にして、そもそもやっていけるものなんですか?(笑)」
将平「やっていける限りは……やっていけるかどうかを試す、というのも兼ねています。お店はサービスでドリンクも出しているんですけど、基本的には持ち込みも歓迎しています」
将平さんには、お店でも使用しているレターセット「TOMOSHIBI LETTER」をお持ちいただきました。「未来を、照らそう」というコンセプトを元につくられた、一年後の自分へ宛てて手紙を送れるレターセットで、通販でも購入可能です。
小山「これを自分や好きな人に宛てて書いて、自由丁さんに郵送をすると小山さんの方で保存・管理をしてくれて、1年後に出してくれるということですね。シンプルですけど、大変じゃないですか?」
将平「そうですね、シンプルなんですけど、もしも届かなかった場合はどうしよう? など考えた結果、作業は結構ボリュームが出ましたね」
宇賀「どうして蔵前でお店を開こうと思ったんですか?」
将平「学生の頃に住んでいた時期があったのと、留学をしていた大好きな街であるシアトルと似ていて、自然と惹かれていきました」
小山「こういうことを仕事にしようと思ったきっかけは何かあったんですか?」
将平「手紙というよりは、日常の中で素直になれる機会をもっと増やしたいなと思っていた時に、『素直になれる機会って手紙を書く時だな』と思い至りました」
宇賀「お店のお客さんの反応はいかがですか?」
将平「非常にいいです。薫堂さんにおっしゃっていただいたように、『こんなお店あるんだ』と来てくださる方も多いので、すごく嬉しいです」
平日のお店は、基本的には将平さんがお一人で切り盛りをされているようです。
宇賀「手紙を書く以外でも、お店に遊びに行ってもいいんですか?」
将平「もちろんです。時間制にはなるんですけど、読書をしたり、自分の勉強をしたりもできますね。お仕事をされる方も多いです。電源も貸し出しをしているので」
宇賀「いいですね! 私もフリーランスになってから、2時間空いたりした時に、仕事をしたいんだけど、なかなかいい場所がなくて困ったりするんですよね」
将平「メインは未来への手紙を書くことなんですけど、コンセプトは“素直な気持ちと過ごす場所”という風に謳っているので。素直な気持ちと過ごせるように、自由に使っていただくのが理想ですね」
宇賀「小山さんは、普段からお手紙は書くんですか?」
将平「未来の自分にはしょっちゅう書いています。今日も多分書くのですが、思い出したいことを書くんですよね。貴重な機会を頂いた時とか、すごいコンサートを見たあととか、感動したあととか。この前も佐藤竹善さんのコンサートに行った後にすごく感動して、そのあとに手紙を書いたり」
小山「自由丁さんと番組で、何かコラボができても良さそうですよね」
宇賀「いいですよね。1年後も番組は続いているんでしょうかね……」
小山「確かに(笑)」
将平「いずれにせよ、1年後にはお届けするので(笑)」
小山「とりあえず、我々が今日手紙を書いて、それが1年後に送られてきた時に、番組があれば番組の中で紹介しましょう。もしもなかったら、それぞれがそれぞれの場所で読む」
宇賀「とりあえずあることにしましょうよ!」
この後、実際に「TOMOSHIBI LETTER」を書いた薫堂さんと宇賀さん。1年後、手紙を番組で紹介ができるのか? 応援よろしくお願いします(笑)。
「自由丁」
〒111-0051 東京都台東区蔵前4丁目11−2
14:00−22:00(日曜日は20:00まで 火曜日定休)
今週の後クレ
今回のメッセージは、石川県にある<富奥郵便局>の、石尾由起江さんでした!「一通一通の手紙に沢山の大事な思いがこもっていると、窓口業務をしていると常に思うので、その手紙を届けるのはすごく大事なやりがいのある仕事だなと思います。」
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この番組ではみなさんからの手紙を募集しています。
全国の皆さんからのお便りや番組で取り上げてほしい場所
を教えてください。
〒102-8080 東京都千代田区麹町1−7
SUNDAY'S POST宛