まだ見ぬ母に、冷たい義家族、好意を寄せるさわやかな青年。次々と起こる不運な出来事にも、ヒロインは「いつかきっと」の希望を捨てず健気に立ち向かう。こういうの、やっぱりみんな大好きですよねー。とことん意地悪な登場人物にイライラしても(照子!)ハッピーエンドを確信できるから、どこか安心して読み進められるような。「いくらなんでもこんな偶然はそうそうないでしょ」とか、「お父さんもっとしっかりしてよ」とかイロイロ突っ込みたくはなりますが(笑)、突き抜けた爽快なストーリーがもたらす読後感は気分がいいものです。北陸の風土の影響で富山県人は「明朗さに欠けている」と源氏鶏太は言ったそうですが、こんなにカラッとした元気になれる小説を世に送り出してくれたこと、同郷の後輩として誇らしい気持ちと、知らなくてスミマセンでしたの気持ちです。
(アシスタント:小山ジャネット愛子/オフィシャルブログはこちら) |