苦しい家族のエピソードが続き、最後の最後やっと主人公は母から開放され、美しい海辺の光景の中に飛び込んだ、と思いきや、そこに広がっていたのは墓標が果てしなく並んでいるかのような異様な風景。なんて救いのない話だ!と私は悲しく本を閉じたのですが、小川さんはこのシーンまで含めて「母親からの開放」と読み解かれていましたね。ところで話の中で重要な役割を担っていたニワトリ。それにちなんでお送りした笠置シヅ子さんの『めんどりブルース』は、この物語のために誂えたかのような一曲でした。「わたしはめんどり〜」という苦しげな歌声が、今も耳から離れません・・・。
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