かつて1ページ目でその難解な文体にノックアウトされ、即挫折した『金色夜叉』。今回は現代語訳でその世界を味わいましたが、文体の壁に阻まれて読まなかったのが悔しくなるほど面白い作品でした。尾崎紅葉がこの小説に命を吸い取られたかのように若くして亡くなったというのも納得の、強烈な物語です。ところで紅葉は漱石と同い年。私は森鷗外関連の作品の朗読会をして以来、鷗外の生きた時代を意識してしまうのですが、これまた鷗外も2人と同世代です。文豪同士の生きた時代の重なりを知ると、より文学の楽しさが深まりますよね。ちなみに小川さんはアンネ・フランクの生きた時代を中心に文学史を考えるそうですよ。
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