作品に登場する音楽を実際に聞きながらページをめくると、静寂の中で読んでいる時とはまた違った世界が見えてくる…。村上春樹さんの『1Q84』を取り上げた時もそんな話をしましたが、この『ガラスの動物園』も同じ。ローラとジムがダンスをするシーンに登場する、ナット・キング・コールの『ラ・ゴロンドリーナ』を番組でお送りしましたが、その後にやってくる悲しみを予感させるようなメロディーで、切ない1曲でしたね。ところで本の最初には、作者による登場人物紹介のページがあって、このジムは「感じのいい、ふつうの青年」と説明されていますよね。私はそこに「ただし、男としてはかなりずるい」と付け加えたいのですが、いかがでしょうか。
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