中年サラリーマンの哀しみ、思春期の少女のココロの傷、恋人との未来を夢見る19歳の女性・・・この作品には様々な年代・性別・境遇のキャラクターたちがたくさん登場しますが、どうしてこうも的確にそれぞれの心情を描けるのか・・・重松さんの筆はミラクルです。小川さんは重松さんと色々な共通点もお持ちで、過去ご一緒された機会も多いそうですが、重松さんはインタビュアーとして記憶に残る質問をする方だそう。相手の心を揺さぶる質問が湧いてくる、それが奇跡の文学を生み出す源なのでしょうか。(アシスタント:藤丸由華)
カナリア諸島にて / 大滝詠一『ビタミンF』の中の「なぎさホテルにて」で、主人公は1983年に20歳。ドライブのBGMは、サザン、ユーミン、大滝詠一と山下達郎。きっと大滝詠一はこの曲が入っている大ヒットアルバム『ロングバケーション』だったはずです。
トラベリンバス / 矢沢永吉 重松清さんは矢沢永吉の大ファン。「うちのパパが言うことには」というエッセイ集に「’成り上がり’を愛した少年のお話」という物語があります。その主人公は重松さんに重なり、フリーライターとして小川さんにインタビューしたころの思いがつづられています。そこにあるのは「言葉に対する今と変わらぬ敬意と誇り」と小川さん。この曲は当時の彼の応援歌として登場しています。
夜空ノムコウ / SMAP 『ビタミンF』の全てのストーリーと同じく、希望が感じられる1曲。1998年リリースのミリオンセラー。 1999年から2000年にかけて各短編は発表されているので登場する親子たちも聞いていたかも?