Every Sunday 12:30-12:55 JFN 38stations
2010年6月20日(日)
木村カエラ
「Butterfly」
木村カエラ
今月、当のカエラさんも、突然の結婚宣言。そして、妊娠の発表。
ご自身のホームページでは、突然の発表となった事を詫びながらも、命の大切さ、自分を生んでくれた親への感謝の言葉がつづられています。
木村カエラさんは、東京・足立区生まれ。イギリス人の父親と日本人の母親の間に生まれ、新生児室の中でも一人だけ鼻が高い、目立つ赤ちゃんだったそうです。幼いころから、完璧主義で曲がった事が大嫌い。そんな彼女は、小学生の時から物作りが大好きで、自分で洋服を作ったりして、休みの日には原宿に出かけるのが大好きでした。そして、小学6年生の時。友達と遊びに行った原宿でスカウトされ、雑誌に載るようになっていきます。とにかく有名になりたい、好きな歌が歌いたいと思っていた彼女ですが、中学、高校と両親が不仲だった時期もあって、その世代独特のジレンマにはまっていきます。大人と子供の狭間で揺れる気持ち、突っぱねるのに寂しさを抱えて居場所を探す毎日。居場所を作りたくて虚栄を張っても、ますます自分の居場所がなくなっていくことに気づきます。高校生になり、モデルとして雑誌に頻繁に登場するようになっても心の中では、大人を信用できないカエラさん。でも、辞めずに続けてきたのは、どんな仕事であっても何もかもが歌に通じる道だという思いがあったから。しかし、なかなか歌へ繋がるきっかけが現れてきません。
そんな彼女に、当時のマネージャーからバンドマンを紹介され、一緒にデモテープ作りを始めます。水を得た魚のように、一日中、デモ作りに熱中するカエラさん。幼いころから大人を信用できずに、一人で過ごすことが多く、誰かにかまって欲しいと居場所を探していた彼女が、初めて自分の好きな歌を共に作り、共に奏でるバンドとしての場所を得た事で、彼女は「はじめてこの場所にずっといたい」と思ったんだそうです。
そしてもうすぐ20歳という頃。本格的な音楽活動へとは発展しない中、音楽番組のパーソナリティの仕事が舞い込んできます。音楽に近づくためには、と始めたものの、忙しくなってバンドは解散。一人焦る彼女は、番組プロデューサーを呼び出して直談判したそうです。音楽を目指して大学進学をあきらめた気持ち、親を安心させたいという気持ちから、20歳にはデビューしたいという気持ち。結果、そのプロデューサーの働きかけで、現在のレコード会社へと導かれ、歌手デビューが決まります。これまで願ってきた歌手としてのデビュー。しかし、モデル出身というイメージだけで終わらせたくないという強い想いから、詞は絶対自分で書く、ジャケット案も自分で決める。そしてやりたい音楽ジャンルは、バンドサウンドでロック。これだけは譲れないという、緊張したスタートだったようです。
「Level 42」
木村カエラ
2004年、6月。1stシングルとなったこの曲で、念願の歌手デビュー。しかし、ここで浮かれることなく、一回で終わるわけにはいかないと気を引き締め、人の心に届く歌を歌う事が一番大切、人を元気づけられるものが書けたらと、作詞していきます。歌「レベル42」で彼女はこう歌っています。
「君のためにずっと歌うから 君のためにいつも歌うから」
中学、高校と多感な時期に両親の不仲に遭った環境。自分の居場所を求めての葛藤。大人たちへの不信感、子どもの気持ちのまま揺れる感情。人の事がすごく気になりながらも、誰かに必要とされたい、自分自身が愛情を欲しがっている状態のまま、大きくなってしまったことで、人を元気づけたい、元気でいてほしいという気持ちが、歌へと反映されていきます。
奥田民生さん、石野卓球さん、スチャダラパーの面々・・・。
様々な人と出会い、仕事をするうちに、ようやく人に心を開ける自分が現れ、人を許す事、自分自身がすごく心を許せる人間に成長したと、感じているそうです。10代の時、自分自身を守るために警戒していた彼女は、20代に入り、ヒット曲「リルラルリハ」で、歌手としての自信をつけ、人に求めるのではなく、人に与えることがとても必要で、それがもっと大きな人間になれる一歩とだという事に、気づいていきます。
10代からとらわれていた愛情を欲するトラウマが歌う事で溶けだし、自分を解放することができたカエラさん。自分より若い世代に向けて、何か助ける事ができないか、ちょっとでも元気にできることがあるならば、全部やりたい!そんな気持ちで、毎回新しい曲へと挑んでいくのです。
「You」
木村カエラ
去年、歌手デビュー5周年を迎えたカエラさんですが、デビュー当時は、好きな歌を歌えることになったものの、周りへの不信感、自分の中でのカエラ像などに挟まれ、悶々としていたそうです。しかし、2007年に、シングル「サマンサ」をリリースする時、そんな自分が変わらなくちゃダメだと、自分自身に活をいれるためにも、売れる売れないに関係なく、正直な自分を歌詞にしたんだそうです。
一人で背負いこむのではなく、人を愛し感謝していかなくては・・・。自分に正直になることで、肩の力が抜け、歌の先にいる相手がより定まったことで、彼女の柔らかさがより表面に出てきて、高感度がアップしたような気がします。自分が悩んできたからこそ、悩める世代へ向けて、前向きになる事の必要さ、力強さを伝えようと、応援ソングを作り続けるカエラさん。
結婚、出産を経て、さらに輝いた世界へと私たちを導いてくれそうです。
今夜は、木村カエラさんをピックアップしました。
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