「天体観測」

BUMP OF CHICKEN

千葉県佐倉市出身の4人、藤原基央、増川弘明、升秀夫、そして直井由文。バンプ・オブ・チキンのメンバーは、全員幼なじみです。今年で31歳になる彼らの出会いは・・・幼稚園でした。別々の小学校に通うも、中学校で再会。ドラムの升さんが、道端でドラムを拾ったのをきっかけに、中学校の文化祭に向けてバンドを結成します。その時、小学校の卒業文集で見せた藤原基央さんの才能に惚れ、彼をバンドに誘ったんだそうです。その後、高校受験後にギターの増川さんが加入。高校生を対象にした音楽祭に参加し、96年にはグランプリを受賞。東京・下北沢を中心にライブ活動を行い、インディーレーベルからアルバムを2枚リリース。疾走感あふれるサウンドと、藤原さんの絵描く文芸的な世界、そしてリアルに響く彼の言葉が、幅広い世代の心をとらえています。
2000年にメジャーデビューを果たし、翌年には、シングルチャートで3位を記録した『天体観測』、そして、2002年にはメジャーデビューアルバムにして、No.1を獲得したアルバム「ジュピター」をリリースし、駆け足で、その地位を固めていきます。
彼らのファンは、メディア関係者にも多く、彼らの曲からイメージを膨らませて作られたドラマ「天体観測」、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督からのアプローチで続編の主題歌も手掛けています。

「魔法の料理〜君から君へ〜」

BUMP OF CHICKEN

メジャーデビューから10年。これまでリリースされたアルバムは、4枚。これは、日本の音楽シーンでは決して多いとはいえない数ですが、そこには、彼らの「カテゴリーにこだわらず、音楽をやっている」という信念のもと、メンバーともに納得のいくものを作っていきたいという気持ちが込められています。
「多くの人に聞いてほしい。一人でも多くの人に・・・その「ひとりでも」が大切であって、結局は一人聞いてくれる人がいればいい。それが二人、三人と増えれば、ありがたい」
そう語る藤原さんの作る曲は、聞く者一人一人に語りかけるものが多く、今週水曜日に発表される新曲「魔法の料理〜君から君へ〜」は、今までの楽曲の中でも、パーソナルな思い出をつづっているにもかかわらず、ＮＨＫの「みんなのうた」に選ばれるなど、より普遍的な、彼の目指すスタンダード・ナンバーへと、昇華しています。
「本来臆病者なんです。」と語るボーカル藤原基央さん。自分たちの曲は、基本的にマイノリティの音楽だとおっしゃっています。少数向けの音楽が、たまたま運良く、沢山の人に聞いてもらえているという自覚があるんだそうです。彼は曲を作る時、何度も何度も、「この言葉はもしかしたら誰かを傷つけるかもしれない」「じゃぁ、もっと違う言い方があるのかもしれない」と理屈と本能のバランスを考えて作っているそうです。悩みすぎて、結局何を言いたいのか分からなくなることも多い中で、彼を突き動かすのは、「時間制限の中でやっているという」感覚。これは、曲を作る時間が限られている、ということではなく、感覚には寿命があるので、躊躇している場合ではない、「恥ずかしい言葉使いたくない」とか、「こういうことを歌うのはださい」とか、そういうことを言っている場合じゃない。そんな気持ちが彼の言葉をピュアにしていきます。

「supernova」

BUMP OF CHICKEN

先週リリースされた新曲「ＨＡＰＰＹ」では、こんな一節があります。
「悲しみは消えると言うなら　喜びだってそういうものだろう」
「消えない悲しみがあるなら　生き続ける意味だってあるだろう」
「どうせいつか終わる旅を　僕と一緒に歌おう」
今月リリースされる彼らの新曲は、どれも藤原さんがが20代最後に書いたもの。30歳代に向かう上で、今しか書けない心情が描かれています。
バンプ・オブ・チキンの4人は今年で31歳。およそ27年という、幼稚園から続く関係、そして、そこから生まれてきた多くの思い出が、彼らを純粋で誠実な気持ちでつなぎ、そこからあふれ出る糸が、藤原基央というストーリーテラーによって次々と物語として紡がれていきます。メンバーも認めているのが、サウンドやスタイルが変わっても、ヴォーカルの藤原基央さんが描く曲の芯は、彼らが10代で初めて作ったアルバム「フレイム・ベイン」から全く変わっていないということ。ぜひ一度、彼らの１ｓｔアルバムも聞いてみて欲しいと思います。
いつでもタイムトリップが出来る仲好し4人組、バンプ・オブ・チキン。その、まぶしいほどの友情が、私たちをひきつける魅力の一つなのかもしれません。
今夜は、ＢＵＭＰ　ＯＦ　ＣＨＩＣＫＥＮをピックアップしました。