9mm Parabellum Bullet。
爆音で鳴り響く登場SEの中、静かにステージに上がった4人。ようやく。僕はようやく、ナマの9mmに出会える。
ヘルツ先生から常々聞かされていた。
「9mmは、LIVEじゃないと本当のカッコ良さは分かんない。CD聴いて、LIVEを観て、それからもう1回CDを聴いても、新たな発見とかじゃなくて、また9mmのLIVEが観たくなるだけなんだ。そういうバンドだから」
CDしか聴いてない俺にそれを言うのは酷だろ。そう思いながらもドキドキは募る。
ナマの9mm。
登場SEが鳴りやみ、静かに、確かめるように、それぞれの楽器を鳴らす。
「9mm Parabellum Bulletです」
一瞬の静寂。
そして、機銃掃射。
おら行けーーーーーーーーーーーー---------ーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
最初の5秒で、僕は何発撃たれたか分からない。頭の先から足の先まで撃たれて撃たれて、
体が意思とは関係なくあちこちに踊った。まだ1曲目も始まってないのに。
ちひろ先生のドラムで、滝先生のギターで、カズ中村先生のベースで、菅原先生の声で。
僕は9mm弾にもっと撃たれたくて身を乗り出した。生徒もうねるように身を乗り出す。私を撃てと言わんばかりに。
『Wanderland』からDiscommunication』。続けざまにぶっぱなした所でMC。
カズ中村先生は仙台出身ってことでヒトコト。
(カズ)「久しぶりに帰ってきたら、伊達政宗像がいなくなってる (笑) 引っ越したんでしょ?」
(滝)「…(黙ってギター弾く ♪テーテテーテテーテテーテーテーテーテテー)」
(菅原)「それは違う(笑) それ暴れん坊将軍だから(笑)」
(滝)「仙台ってことは、この中のほとんどの人がベニーランドの歌が歌えるっていうね…」
♪ヤンヤンヤヤー 八木山の ベニーランドで でっかい夢が はずむよ はねるよ ころがるよ〜
9mm先生のLIVEで、まさかの八木山ベニーランドのテーマソング大合唱(笑) 何これ(笑) (ベニーランドは仙台にある遊園地です)
(菅原)「……LIVEやろーぜー(笑)」
菅原先生はステージの真ん中にしっかりと立ち、ヤバさとエロさを発散している。
その隣では滝先生がギターを振り回して大暴れしている。時には弾いてるのか弾いてないのかさえも分からない。
カズ中村先生もベースを振り回し、床にこすりつきそうな勢いで下げられたマイクに向かって吠えまくる。
後ろからはちひろ先生の猛烈な援護射撃が休むことなく飛んでくる。
客席には、撃たれ続けて、足腰がヘロヘロになった生徒たち。でも9mmは休ませてくれない。
お前ら、こんなもんじゃねーだろって。
射撃が止み、菅原先生が、ちょっとうつむき気味に、ちょっと恥ずかしそうに、ちょっと早口に、でも力強く、話し始めた。
「俺は7月に25歳になったんだけど、10代とか、ここには年下の人がいっぱいいるわけでしょ。
髪の毛2本分ぐらいの、人生の先輩から言うとさ…ティーンエイジャーの諸君…
25歳になっても、悩みは何一つ消えません。何も消えない。大変だよ。
でも、それでいいんだとも思うんだよ。
俺は25歳になりましたが、悩みは何ひとつ消えず、ますます悩ましいことが待ってる。
でも、俺は大丈夫です。なぜなら俺には、音楽と仲間が付いているからです。
…みんなにもついてるだろ?
俺は、音楽は最高だと思います」
『Living Dying Message』
あなたは二度と孤独になれない
いつか必ず分かる日が来るよ
あなたは二度と孤独にならない
いつか必ず分かる日がくるよ
音楽はキミを、ほっとかない。
一度、この音を聴いてしまったその耳は、もう、逃げられないよ。
音楽はキミを、絶対に、ほっとかないんだ。
たとえキミが、離れたくなって顔を背けたとしても。
菅原先生は叫ぶ。
「まだまだ行けるか!!!! まだまだ行けるか!!!! 行けるか!!!! 行けるかーーーーーーーーー!!!!!!踊れーーーーーー!!!!!」
行ける。行けるよ。
僕らは、音楽の力を借りて、まだまだ行ける。
だから僕たちは、大丈夫だ。
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