4本の「緊張の糸」が、織り重なりって文字を作る。
これ以上、あと1mmでも引っ張ったら、一瞬で破裂しそうなほど張り詰めた糸が、ステージ上に「The SALOVERS」の名を張った。
登場のBGMも無い。一言の "ハロー" も発しない。流れる静寂の真空時間。
リハーサル時の経緯を回想してみれば、見てるこっちが、もはや逃げ出したい思いだった。

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1曲目「CHINA」。スクール・オブ・ロック!でもお馴染みのアンセムのイントロが鳴った。
いや、鳴ったんじゃない。 "斬ったんだ!"。
あの空を刺すようなイントロのギターリフが、「THE SALOVERS」の文字のカタチを成した緊張の糸を、極限状態まで張った糸を、鋭い音の刃で斬ったんだ。

それはまるで、高速で跳ね回る爆竹のように、ヒュンヒュンと音を立てて狭いライヴ会場を暴れ始めた!目に入ると危ない!思わず目を細めたくなる程の勢いで跳ね回る4本の糸。
もはや、ステージ上に、「The SALOVERS」の文字は無い。
そこには、もう守る物など何もない4人の覚悟と、通称 "ロック" と呼ばれる「音」があるのみ。

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数時間前までの息を呑んでいた4人とは別人の、言うなれば、必要に迫られ、一瞬で進化を遂げたような生き物のように、一気に "オーラと雰囲気" を身にまとう。

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オーディエンスのアタマの上に、"予想の100倍カッコイイ" の文字が浮かんで見える。
サラバーズの音楽は、全てがまるで映画のよう。聴く人のスクリーンに物語を見せる。
みるみる会場を、ロードムービーへと誘い、オーディエンスを旅の住人にしてしまう。



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