少なからずとも、少しのスキルを持ち合わせている者でしか解かり得ない、本物のスキル。
リハーサルというウォーミングアップのレベルで、既にその格差に直面している様子が、部屋の空気から伝わってくる。
「じゃ、続いてサラバーズさん、お願いします。」
その声に押されるように、リハーサルのステージに上がる4人。
もし、「緊張の糸」というモノが肉眼で見えるのならば、止まった蝶々がその羽をハラリと落とす程、極限にまで張り詰め、鋭利に光っている。
昨晩は一睡も眠れず、本番当日は、一食もとれなかったというボーカルの古館。
その「緊張」に拍車をかけるように、くるりのメンバーが4人のリハーサルを終始見つめている。
ギターの一音が振るわすビブラートが、手の震えからなのかと誤解させる気配すらある。
「こなす」という感覚でリハーサルを終えるも、その実、もう覚悟を決めたような眼差し。
「だんしーーー!(男子って感じだなー!)」と、サラバーズのリハの感想を笑みで交わすくるりのメンバー達。全てのリハーサルが終了。いよいよ、世代を越えた才覚が、ぶつかる。
湯気が立つ。
会場のドアが開く。
アッという間に200人余りが一気に会場を埋め尽くす。
スタッフですら身動きがままならないほどの超満員。
熱気が立つ。
教頭のやしろの狼煙が上がる。いつも通りのゆるくも、きめ細やかなマスター・オブ・セレモニー (MC)。執拗なコール&レスポンス祭り (笑)。音楽IQが高めのオーディエンス層を、充分過ぎる程沸かしてオープニングMC終了! |