美しい旋律。"ピアノガール"。くるりの2ndアルバム "図鑑" 収録。つまりカヴァー。優しいメロディーにのって、まるで、ダークファンタジー映画のようなストーリーが物語られる。蒼山 幸子はそれを、痛みに耐えながら必死になって紡 (つむ) いだ、自分の物語であるかのように歌う。いや、そうとしか聴こえない。痛い。少女の歌は、観客の心にキリキリと迫る。美しいメロディーと共に。
そして美しい旋律はそのまま流れを増し、勢いをつけた音流は、徐々に一つの花を形作る。
"ばらの花"
誰もが知っている、あのイントロ。ステージ上には、再び "ねごと" の姿。"くるり" と "ねごと" の3文字が重なる、歴史的瞬間。トゲのある花は、普段よりも少しだけ甘い香りで会場を満たす。観客は、その危険な悦びに震える。 |