唐突に、スピーカーからのメロディー。それはまるで、夢の世界から現実に紛れ込んでしまったノイズ。BGMにのってステージに現れたのは、いつか見た、4人の少女。4人で手をつないだまま、深々と一礼。からの "アレ"。いつもの挨拶。そして4人は、それぞれの楽器の元へ。

風船はまだ、ふくらみ続けたまま。

最初の音が鳴り、徐々に重なり合う。まるで、壮大な物語が始まる前のプロローグ。4人の少女は、口を閉じたまま、楽しそうに音をかき鳴らす。オーディエンスは、それに合わせて体を揺さぶる。

心地よい音に身をゆだねていると、ふいに音が止まった。ステージに目を向ける。

キーボード&ボーカル蒼山 幸子の、この日最初の声。

「こんばんは! ねごとです!」

ギター、からのイントロ。"透き通る衝動"!

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大きな音を立てて破裂! 中に溜まっていた熱気が、風となって無方向にうねりをつくり、観客たちは待っていましたとばかりに、熱風の中を全力で遊泳。

"魔法の風船" の中から、きらびやかな光をまとって現れたのは、確かな現実感と強さを備えた、4人のバンド少女たち。もはやその顔に、幼さはない。

「演奏うめえ…!」

フロアの後ろの方、おそらく、"ねごと" の4人と同じくらいの歳のバンド男子が悔しそうに呟く。しかしその悔しさは、魔法のビートとメロディーにかき消され、バンド男子は誰よりも強く、リズムに合わせて拳を突き上げる。その横の女子は、目をハートにして「カッコいい!」「カワイイ!」を行ったり来たり。"Yes!" 前の方にいる外国人も目を輝かせる。どーだ! これが、JAPANの "negoto"だ!

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曲が終わると、改めてMC。もはや、緊張すらも全くできなかったという話。音符の上にない言葉を話しているときは、GIRLS LOCKS!の時の "あの感じ" そのまま。他の人が話をしている時に、いきなり澤村 小夜子 "姫" がカットインする感じも、そのまま (笑)。うん、"カッコいい" っつーよりは、"カワイイ"。

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続いて、"ループ"。
あの夏、"ねごと" を千葉から全国にぶっ飛ばした魔法のアンセム。

1,2,3,4のリズムで、観客は日本の下北沢の遥か彼方、大気圏外へぶっ飛ばされる。そのパワーは、あの夏の何倍もの破壊力。小さな会場の、上と下と右と左と現実と夢が交錯 (こうさく)。額からほとばしる汗だけが、"今" を伝えている。



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