ねごと

2011年1月16日(日)。くるりと対バンライオット初日。

下北沢・シェルター。老舗LIVEハウスの入り口に、まるで童話の中の言葉のような、詩的な3文字の言葉が仲良く並ぶ。

"くるり" "ねごと"

本来であれば、決してココに並ぶはずのない言葉だったはず。

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この日。
の、わずか3年ほど前ー

千葉で生まれ育った少女たちが、一つのバンドを結成した。愛らしい外見からは想像もつかない、音楽ナード (オタク) 4人組。不思議な響きの3文字のバンド名は、彼女たちの大好きな、"あの" バンドの名前を意識してつけられた。

当初は、好きなバンドのカヴァーと、ほんの少しのオリジナル。しばらくの間、彼女たちが鳴らしていた音の前にいたのは、数人の友達だけだった。

それから、少しだけ時が経つ。2009年の夏。東京ビックサイト。

ステージの上には、ちょっぴりたくましくなった彼女たちの顔。
楽器を持ち、歌う彼女たちの前には、1万人以上のオーディエンス。

第2回閃光ライオット・審査員特別賞。

小さな小さなデモテープが呼び寄せた、真夏の奇跡。
光は光を吸収し、さらに輝きを増した。
決して消えない、夏の一日。
彼女たちが放った光は、確かに、その場にいた人々の網膜に刻まれた。


それから、景色は加速する。とんでもない速度で。徐々に色をまといながら。


ー今。

決して広くない楽屋。そこには、また少したくましくなった、4人の少女。すぐそばには、ずっと憧れだった、"あの" バンドのメンバーの姿。そう、彼女たちがバンド名をつける時に参考にした、あの…

なぜか今日は、彼女たちが、いつもよりも幼く見える。

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早すぎる共演。しかし、頬をつねったりはしない。確信はある。
きっと夢では、ない。


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足の踏み場すらおぼつかないほど人が密集したフロア。うす暗いライトに照らされた空間は、ふくらみ過ぎた風船さながら、破裂寸前の刹那 (せつな)。いたずらにもそこを刺激するのは、とーやま校長。

その刺激を受け、熱気をはらんだ球体はさらに体積を増し、緊張感を最大限に高める。
破裂の快楽まで、あと少し。

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フロアのオーディエンスを刺激するだけ刺激し、最後に一言大きく叫んで、とーやま校長はステージからいなくなった。しばしの暗闇。間近にある小さなステージには、4つの楽器が、所狭しと並んでいる。破裂ギリギリ。ふくらみ続ける、魔法の風船。



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