この日。
の、わずか3年ほど前ー
千葉で生まれ育った少女たちが、一つのバンドを結成した。愛らしい外見からは想像もつかない、音楽ナード (オタク) 4人組。不思議な響きの3文字のバンド名は、彼女たちの大好きな、"あの" バンドの名前を意識してつけられた。
当初は、好きなバンドのカヴァーと、ほんの少しのオリジナル。しばらくの間、彼女たちが鳴らしていた音の前にいたのは、数人の友達だけだった。
それから、少しだけ時が経つ。2009年の夏。東京ビックサイト。
ステージの上には、ちょっぴりたくましくなった彼女たちの顔。
楽器を持ち、歌う彼女たちの前には、1万人以上のオーディエンス。
第2回閃光ライオット・審査員特別賞。
小さな小さなデモテープが呼び寄せた、真夏の奇跡。
光は光を吸収し、さらに輝きを増した。
決して消えない、夏の一日。
彼女たちが放った光は、確かに、その場にいた人々の網膜に刻まれた。
それから、景色は加速する。とんでもない速度で。徐々に色をまといながら。
ー今。
決して広くない楽屋。そこには、また少したくましくなった、4人の少女。すぐそばには、ずっと憧れだった、"あの" バンドのメンバーの姿。そう、彼女たちがバンド名をつける時に参考にした、あの…
なぜか今日は、彼女たちが、いつもよりも幼く見える。 |