…でも、こんないじわるな (?) 場面も。

岸田先生「ね、もう夜も遅いで、みんな電車乗って帰ってください。でも、お楽しみはここからよ。今日はね、下北沢の雑踏をくぐり抜け、サラバーズに会って、サラバーズのライブ観て、そんで俺たち真面目にライブやってきたけど………ね、後はもうふざけるだけや!俺らはふざけるから、おまえらは真面目に観ろ! "東京"!
(といって、「東京」の最初のフレーズを弾きかけ、オーディエンスが思わずキャーー!!と騒ぐ)
…………"レレレのレ"!」


観客一同、爆笑!

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でも、この「東京レレレのレ」では毎回ミラクルが起こる。この曲は3日間ともやってくれたんだけど、くるりというバンドのすごさ、プロのミュージシャンの底力と楽しさを存分に伝えてくれる内容となった。
どんな内容かというと、「東京レレレのレ」の演奏途中でドラムとベースがひたすらループし始める。そのリズムにあわせて、岸田先生とサポートギターの山内総一郎さんがギターで遊び始める。岸田先生が山内さんにリクエストして、即興でギターを弾かせたり、そのうちどんどん調子に乗って、リズムとはまったく合わないはずの、某国の某ビッグスターの超有名なフレーズを弾き始めてリズム隊を困らせたり (会場ももちろん大盛り上がり!)、くるりの代表曲を演奏したかと思ったら、急に「東京レレレのレ」のリズムループに戻ったり。また、岸田先生がパーカッションを叩きながら (すごく上手!)、変てこなダンスをひたすら踊り続けたり、しまいにはギターを置いたまま、口でギターのフレーズを歌いつづけたり…といった具合。
これ全部アドリブなのか? どこまで打合せしてるんだろう? とにかく面白すぎて目が離せない。それはまるで、練習スタジオでふざけて遊んでいるような、そんなプライベート感満載のステージ。音楽はどこまでも自由で、どこまでも楽しいものなんだ、というのを痛感させられた。

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ちなみに全会場、ライブが終わるとすかさずアンコールの拍手が。その拍手を遠くで聴きながら、くるり先生は楽屋で、時にはステージ上で「なにやろうか?何聴きたい?」とお客さんに聴きながら打合せ。だいたい、当日のセットリストも直前で決めていたし、アンコールもその場で考える。通常のライブやコンサートといえばアンコールまできっちりセットリストに決めておくもんだし、お客さんもそれを分かって聴きに来ている。でも、くるり先生はそれをしない。予定調和を本気でぶっ壊し続けてるバンドだ。
最終日の大阪は、一度もあわせたことがないという「尼崎の魚」を演奏してくれた。関西ということで、思いついてやってくれたようだ。この曲は、くるり先生が、閃光アーティストたちくらいの年代のときにつくった曲で、当初よくライブで披露していた初期の定番曲!それを十三ファンダンゴで観られるなんて!!

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「何でもあり!」なように見えて、実はぜんぜん違う。長年の経験と、音楽への真摯な姿勢が何層にも積み重なって図太くて頑丈な土台ができているからこそ、その上でいろいろ遊んで楽しいライブができるのだ。それを見せつけられた今回のライブ。
この時代に、この国に、くるり先生みたいなアーティストがいて良かった、と心の底から思える奇跡のライブはこうして幕を閉じた。
SCHOOL OF LOCK!職員一同、こんな素晴らしいイベントを2011年の年明けにできたことを非常に嬉しく思うし、これからも予定調和をぶっ壊していくようなものを創っていきたい、と強く思った。出演してくれたすべてのバンド、チケットを購入してライブハウスに足を運んでくれたみんなにも深く感謝したい。ありがとう。

text by あっきー先生


セットリスト
1月16日(日)
ワンダーフォーゲル
鹿児島おはら節
目玉のおやじ
コンバット・ダンス
温泉
さよならアメリカ
犬とベイビー
ハイウェイ
ブレーメン
MORNING PAPER
東京レレレのレ

アンコール
ロックンロール
1月17日(月)
温泉
さよならアメリカ
犬とベイビー
目玉のおやじ
コンバット・ダンス
ワンダーフォーゲル
鹿児島おはら節
ブレーメン
MORNING PAPER
東京レレレのレ

アンコール
ハイウェイ
1月19日(水)
鹿児島おはら節
目玉のおやじ
コンバット・ダンス
ワンダーフォーゲル
温泉
さよならアメリカ
犬とベイビー
ブレーメン
MORNING PAPER
東京レレレのレ

アンコール
ハイウェイ
尼崎の魚
ロックンロール



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