手紙
屋久島おおぞら高等学校


私の好きなものって何だっけ?
ロイヤルミルクティー、猫、手を繋ぐ瞬間、春の爆発寸前みたいな空気、自転車、
一緒に見る月、雨の日・・・

今ちょっと考えただけでもいっぱい出てくる。
このまま朝まで好きなものだけ言いつづけたいなぁ。
好きなものって、こうやって書いていくだけでも心がウキウキしてくるもんね。
でも時々、“好き”がわからなくなる時がある。
今まで大好きだった人が、手が、音が、急に小さなトゲを持って迫ってくるの。
それはいつも突然で、ほんの小さな事がきっかけだったり、大きな出来事がきっかけだったり・・・。
やっかいな事に一個のトゲは、どんどんトゲトゲを増やしていくのね。
こうなったら最後。誰にも会いたくなくなって、唯一の安全地域へと逃げ込む。

「私の好きなものって何だっけ?」
「何でこれが好きだったんだっけ?」
「私って何だっけ?」

ベッドの中で一人考えるけど、考えれば考えるほど頭がぎゅーーーーっとなって、
胸がぎゅーーーーーっと苦しくなる。ベッドの隅っこを探して丸まって隠れるけど、昔からかくれんぼが得意じゃなかったからかなぁ。
最後には体までトゲトゲに犯されていくようで、自分が大嫌いになったり。

「なんで?」
「どうして?」
「好きにならなきゃ」
「こんなはずじゃなかったのに」

考えれば考えるほど“好き”“自分”がわからなくなって、真っ暗な道をぐるぐるぐるぐる・・・。

でもさ、好きのはじまりを思い出して。
たまたま聞こえてきた音楽が心地よかったり、
「おはよう」って言われた笑顔がすごくまぶしかったり。
好きって多分そんな事。もっと簡単で単純なコトなんだなーって。

それで思うことは、
全部嫌いになったら、その時は、また全部好きなればいい。
もし、好きになれなくても、新しい好きを見つければいい。

自分の中に、周りに、好きはまだまだいっぱい落ちてるって。
だって、小さくて大きい宝探しは、もう始まっているんだから。


SCHOOL OF LOCK! SOL校内新聞担当:ひっつより

屋久島おおぞら高等学校

ps. 続いての風船レターは・・・私も大好きな天狗柱先生。
天狗先生の好きなものは何ですかー?
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