手紙
屋久島おおぞら高等学校

どうですか。そっちの暮らしは。
元気だよ、とか
愛想笑いとかね。
そんなのが聞きたいんじゃないんだ。
風邪とか大丈夫かなー
ちゃんとご飯食べてるかなーって思ってさ。

部屋の明かり消してんじゃないの、また。
そうやって存在潜めて
キライなことぜんぶ遠ざけて。
そこの窓を開けた最後って何時よ。
ケータイやパソコンの画面ばっか
覗いてんじゃないの。

寒くないか。
あったかくしてるかー。
良くないよ、部屋が寒いのは。
ごめんね、
分かってるとは思うけどさ。
身体や心が冷えると、
何でもついつい良くない方に考えちゃう。
人間の悪い癖だよなこれ。

でもね、
自分に嘘ついたり
自分に無理したり
自分に傷つけちゃったりすると、
あっと言う間に冷えちゃうんだよな。
すうっと冷えていって、
この身体、冷たいなぁって思って。
そんでまた冷えはじめるのな。
心が。

寒くないか。
寒いよ。
寒いよな、そりゃ。
わかるよ、だって僕はキミだから。

バカなこと言ってるなぁって思われてもいいから
ひとつだけ。
ここにいる僕から
そこにいるキミへ、伝言ね。

「心だけは冷やすな」

心は僕らの「芯」。
ずっと深いところにある
夢や希望を燃やす場所。
その「心」だけは、
どうかあたたかく。
暗いけど確かに灯ってるその火は
ものすごくあたたかいよ。
だから消えないように
守ってください。

そうなんだよね、
向かい風とか冷たい涙で消えそうになっちゃう。
けど、
火を点したのは
小さな手でマッチをすったのは、
キミ自身なんだ。
それがキミの
ホントの気持ちなんだよ。
だから。

その火は消さなくていい。
誰かと出会う摩擦で
音楽に揺さぶられて
心をあったかくしていこう。
そしてちょっとだけ
自分を奮い立たせて。

ねえ、
そこから
こっちが見えるかな。
いいんだ、まだ見えなくてもいい。

ゆっくりでいいから。
ここまでたどり着いてほしい。
僕が待ってるから。


10年前の自分へ

SCHOOL OF LOCK! 夢の技術担当:ヘルツ先生より

屋久島おおぞら高等学校

ps. いんやー。次回の風船レターは、走るのには理由 (ワケ) がある…ってホントかな。炎のランナー、すっちゃんにバトンをパスっちゃうぞ!

そしてこれを読んでくれてるキミのバトンが、はやく僕らの手に届きますように。
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