最近、親が子ども自転車に乗せている時に起きた交通事故が、
相次いで報道されています。

どんな事故が起きているのか。原因はどんなことによるのか。
今回は自転車ジャーナリストで自転車の安全利用促進委員会 メンバーの
遠藤まさ子さんにお話を伺い、子どもを自転車に乗せている保護者と
交通社会でそうした自転車に関わるドライバーへ注意を喚起しました。





まず、気をつけたい1つのパターンは、
子どもを抱っこして自転車に乗る”ケース。
転倒や転落で子どもがケガをする事故が多いということで
先月、国民生活センターが注意を呼びかけています。

子どもを乗せての自転車利用は道路交通法の細則に
4 歳未満子どもは背負い紐などで背負って乗車していいことが記されています。
遠藤さんによると前抱きで乗った場合は法律違反になってしまうのではないかとのこと。

もしも、法律違反でなかったとしても胸元に抱くことによって
ペダリングをするときの足の動きが妨げられたり
路面を見る際に自分のすぐ下の視界が妨げられる弊害があります。

自転車事故というと走っている時に車とぶつかるケースを思い浮かべるかもしれませんが
段差を乗り越える際などに自分自身で勝手に転倒してしまう事故が多く見受けられます。
特に子供を乗せた自転車だとバランスを崩しやすいので
段差を乗り越える時はタイヤと段差が平行になるような入り方ではなく
タイヤが垂直に入るように心がけて下さい。





特に都市部では子どもを乗せた自転車利用は、
幼稚園・保育園・習い事などへの大切な移動手段。
朝や夕方に子どもを乗せて大急ぎでペダルをこぐ
お母さん・お父さんを見かけることもありますが
まずはバランスを崩して転倒することが危険です。
安全運転が阻害されないように子どもをセッティングした上で
スピードを出さずに乗りましょう。

その上で、気をつけたいのが子どもを2人乗せる自転車の利用。
法律上で認められていますが条件があります。
それは幼児 2 人同乗基準適合車という認証を受けた自転車であること。
このタイプであれば前のチャイルドシートに 1 人、背負って 1 人、2 人まで乗せることが可能。
しかし、一般の自転車の場合は子ども 1 人しか一緒に乗ることはできません。

このルールは2009年の道路交通法改正で生まれたもの。
安全基準を満たした自転車には(社)自転車協会による幼児2人同乗基準適合車のマークがつき
フレームを太くしたり、中にスチールの補強剤を入れるなど、
走行時のたわみや歪みを防ぐ設計になっています。

最近、子ども2人を乗せた痛ましい事故も起きています。
自動車同様、チャイルドシートにベルトはきちんと締めて安全に利用して下さい。





そして、子ども同乗の自転車利用で気をつけなければいけないのは
走っている時ばかりではありません。

子供を乗せた自転車利用は停車中の事故で救急搬送というケースが多くあります。
コンビニで何かをを買ってくる、ATMでお金を下ろすといった時に
短い時間だから子どもを自転車に残す保護者も少なくありません。
そんな時に子どもが動いてバランスを崩した自転車が転倒して怪我してしまうのです。

横倒しになれば頭を打つかもしれませんし、
シートベルトをしていなければ道路に飛び出してしまうことも考えられます。
少しの時間でも自転車を停める場合には子どもも一緒に連れて行きましょう。

お父さん、お母さん、子どもを一緒に乗せた自転車利用、
あらためて、ご自分は安全かどうか、確認してみて下さい。




令和元年の道路交通法改正によって「ながら運転」が厳罰化されてから3年。
「ながら運転はいけない」という意識はドライバーに広く根づいていると思います。
でも、気を抜いた時、つい運転中にスマホをいじっていませんか?
あるいは「少しなら大丈夫」と意図的にやっていませんか?
その行為が悲劇を生みかねないことを自覚しましょう。





今回のコメントは 自動車ライター/インストラクター 齊藤優太さんでした。
ながら運転の規定は道路交通法第71条5の5にあります。
停止をしている時以外、つまり運転中には通話や画面・画像を注視しないよう定められています。
スマートフォンで通話する、カーナビの画面をじっと見る、などが「ながら運転」の定義です。





警察庁のデータからは、厳罰化と取り締まりの強化によって、
“ながら運転”が、かなり減ったことが推測されます。
      
ながら運転に関係する交通事故件数 は
令和元年 2,645件 → 令和2年 1,283件と半数以下に減少。
ただし、令和3年は1,394件と増加しています。





運転中の携帯電話使用等の取り締まり件数は
四捨五入で令和元年 72万件 → 令和2年 31万件 → 令和3年 29万件と
半減して、さらに減少傾向にあります。





「ながら運転」の減少は歓迎すべきこと。
しかし、携帯電話使用の摘発だけでも年間30万件。
その1つ1つが悲劇に繋がる恐れがあり、危険性はデータに表れています。
死傷事故に占める死亡事故の割合は、携帯電話などの使用がない場合は「0.80」%。
使用がある場合、つまりながら運転は「1.51」%。
およそ1.9倍、ほぼ2倍になります。





ちなみに近年「ながら運転」が関係する死亡事故数が、
どのくらいあるかというと令和元年(42件)/令和2年(20件)/令和3年(21件)。
もちろん、今年も起きています。

5 月に愛知県の県立高校教諭の乗用車が自転車に乗っていた会社員をはね
会社員は外傷性くも膜下出血で亡くなりました。
スマートフォンで「ドラゴンクエストウォーク」をしながら運転していたとみられています。

運転しながらゲームをやっていたために家族や近しい人間が死んでしまうなんてことを想像したら
誰もが身震い好き持ちになるでしょう。「ながら運転」は、そういう悲劇を生む危険があるのです。





ながら運転は前方不注意に繋がりますが、
ほんの少しの時間だと思ってもクルマはかなりの距離を進みます。
時速 20 キロで約 6m、時速 40 キロで約 11m、時速 60 キロで約 17m、時 速 80 キロで約 22m。
そのわずかな 間 に目の前の状況が変わることも想定しましょう。

今のスマホ社会。
運転していても、つい触りたくなってしまうのも事実。
「ながら運転」をしないよう予防線を張ることも大切です。

まずはスマートフォンをサイレントモードにし、
そして、画面が見えないようにしておくこと。
通知が来ると見たくなってしまうので、運転中はしばしスマホのことは忘れましょう。





「ながら運転」の危険性を充分に理解していただけたと思います。
ただ、例外として「傷 病者の救護」や「公共の安全の維持のため」
「やむを得ない緊急時」に限っては運転中のスマホ使用も
認められていることを最後にお伝えしておきます。


クルマを運転していて
ついブレーキとアクセルを踏み間違えてしまった
あるいは踏み間違えそうになった経験はありませんか。
  
クルマの運転におけるヒューマンエラーの1つ
「ブレーキとアクセルの踏み間違い」は誰もがやりかねないこと。
十分な注意が必要です。





「ブレーキとアクセルの踏み間違い」と聴くと
多くの方は高齢ドライバーの運転を思い浮かべるかもしれません。

しかし、公益財団法人 交通事故総合分析センターが今年発行した
ITARDAインフォメーションNo.139「ペダル踏み間違いによる事故 特集」によると
2018年から2020年までの3年間にあった「踏み間違い事故」はおよそ1万件。

そこから、死亡・重傷事故を抜き出すと
運転者の年齢層分布では「65歳〜74歳」と「75歳以上」が圧倒的多数。

ところが、これを 軽傷も含めた死傷事故数 で見ると
「車両単独事故」「人対車両の事故」では高齢者が多いものの
「車両相互の事故」では年齢間の差はあまり目立たなくなり
注目すべきことに最も多い年齢層は「24歳以下」となります。

さらに「ペダル踏み間違い」事故を
免許保有者人口10万人あたりの死傷事故件数で見ても
「車両相互の事故」は「24歳以下」が最も高くなっています

死亡・重傷事故が多い高齢ドライバーにはさらに注意してもらうとして
若年層のドライバーも他人事と思ってはいけません。





日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟交通安全委員会 委員でもある菰田潔さんの推察によると
24歳以下にペダルの踏み間違いが多いのは”慣れ”が原因。
免許を取って間もない頃は緊張して運転していますが
段々と慣れてきて運転を甘く見るようになってしまう。
運転に対する「驕り」は事故への入口。
常に謙虚な気持ちでハンドルを握るようにして下さい。

菰田さんによると、踏み間違い事故はどこでも起こります。
代表的な場所は一般の駐車場、コンビニの駐車場、一時停止すべき場所、信号のない交差点、
直進発進時に信号手前で前方に停止車両がいて後方からぶつかるというケー ス、
カーブでもあるというデータが出ています。

時折、どこそこにクルマが突っ込んだというニュースがあります。
これは軽度な衝突でパニックになりアクセルを踏んでしまうケース。
例えば駐車場でバックをしていてクルマを電柱に少しぶつけてしまい
慌ててドライブレンジに入れてアクセルを踏みコンビニ店舗に突っ込んでしまう。
また、ブレーキペダルから足を滑らせてアクセルペダルを踏んでしまうケースもあるようです。

どんなシーンでも、踏み間違いをする可能性はあることを
頭の片隅に置いて運転するようにしましょう。
そして、もしも踏み間違えてしまった時は
多くの場合、それほどスピードは出ていないのでパニックにならないこと。
慌ててアクセルを踏み込んでしまうことが大きな事故に繋がります。





踏み間違い事故の予防策について、菰田さんは2点挙げて下さいました。
1つはドライビングポジション。
多くのドライバーがアクセル・ブレーキペダルから遠くに座りすぎだと感じているそうで
シートから遠いほどペダルの位置感覚がわかりにくくなるので気をつけてほしいとのこと。

次になるべく最新技術が投入された新しい車に乗ること。
アクセルペダルが運転席の中央よりもなるべく右に寄っているなど
ブレーキのつもりで踏んだらアクセルだったという間違いがないよう
設計された増えているので、そうした車を選ぶというのもポイントだということです。

年齢層を問わず、やってしまう危険はある
ブレーキとアクセルのペダル踏み間違いに気をつけましょう。
そして、高齢ドライバーが身近にいる方は、
機会があるごとに、こうした情報を共有するようにして下さい。




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