「飛び出すな 車は 急に止まれない」「せまい日本 そんなに急いで どこへ行く」。多くの人には聞き覚えがある標語でしょう。これは「交通安全年間スローガン」に選ばれたものです。「飛び出すな 車は 急に止まれない」は昭和42年の内閣総理大臣賞 子供部門。「せまい日本 そんなに急いで どこへ行く」は昭和48年の内閣総理大臣賞 運転者向け部門。実は「交通安全年間スローガン」。最初の昭和41年から数えると平成27年は50回という節目の年。木曜日の追跡は「なるほど!交通安全」。今週は「交通安全年間スローガン」を追跡しました。
昭和40年は交通事故による死亡者が1万2千人。その対策をしなければという中で募集がスタートした「交通安全年間スローガン」。現在は全日本交通安全協会と毎日新聞社によって共催されています。いちばん最初の最優秀作品の3つを見てみると「世界の願い 交通安全」「もう一度 よく見て渡れ 手を上げて」「ブレーキは早目に スピードは控え目に」。それでは平成27年の最優秀3作品は一般部門A(運転者(同乗者を含む)へ呼びかけるもの)が
兵庫県丹波市 村岡 孝司さんの「早めから つけるライトで 消える事故」。
一般部門B(歩行者・自転車利用者へ呼びかけるもの)が高知県高知市濱渦 幸嗣さんの「外出は 明るい笑顔と 反射材」。こども部門(こども(中学生以下)へ交通安全を呼びかけるもの)は静岡県富士宮市立東小3年後藤 悠仁さんの「ルールむし しん号むしは わるいむし」。こう見ると50年という月日は今昔ではありますが交通安全の心というのは普遍的なものです。
交通事故による死亡者は昭和45年(1975年)には過去最悪のおよそ1万7千人に達し「交通安全年間スローガン」も含めた交通安全運動が実を結び、その後は減少に転じます。去年はピーク時の4分の1、4,113人。減っているとはいえ、いまだ1年に4千人以上の大切な命が交通事故によって失われている事実を受け止めてゼロに近づけていく努力をしていくべきでしょう。そのために交通安全のスローガンを読むことはもちろん、考えるという行為は交通安全の大切さを実感し、交通ルールを守る意識に繋がるはずです。来年、平成28年に向けた募集は6月後半から募集予定。特にお子さんがいる方は、一緒に作品をつくって応募してみてはいかがでしょうか?
今朝はクルマの運転を変えつつある装置ACC を追跡しました。
お話しを伺ったのは東京大学 生産技術研究所
交通制御工学が専門の大口敬(おおぐち・たかし)教授。
ACCはAdaptive Cruise Control
(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の頭文字をとったもの。
日本語では「定速走行・車間距離制御装置」と言います。
ACC以前の技術はCC(クルーズ・コントロール)といいます。
CCを使うと車はドライバーが設定した速度で走行しますが、
車間距離を一定に保つにはドライバーがブレーキ操作をします。
CCの発展形であるACCは設定した速度で自動走行するのはもちろん
前方車との車間距離を一定に保つためのセンサーとCPUが車に搭載され、
車間距離を一定に保ちながら走ることが可能になりました。
さらに前方車との距離が設定距離より近づいた時のブレーキ操作も
車が自動で行ってくれるようになったのです。
このACCは特に高速道路で有効なシステム。
ドライバーにとって速い速度で前の車との距離を意識しながら運転することは
とても消耗することで長時間続けば注意力も減ってしまいます。
ということは’もしも’の事態に対応する力も落ちたしまうということ。
反対にACCを使うことによって余裕ある状態であれば
万が一の状況でもよりより判断と動作ができる可能性があるのです。
ACCによって車の流れがスムーズになると
渋滞が減ることが可能性として考えられます。
渋滞の最後尾では常に事故が起こりうるもの。
渋滞を避けられるのであれば事故の芽をつむことができるわけです。
ただACCには課題もあります。
急カーブがあると前のクルマが正面からずれるので、
センサーが前のクルマとの車間距離を計れなくなってしまいます。
大雨などでセンサーが効かないこともあります。
前のクルマが車線変更をしていってしまった時、
自分が車線変更をしたい時は前のクルマを追従することはできません。
また広くACCが普及すると、前の車との距離感ゆえに、
渋滞に繋がってしまう可能性もあるといいます。
この部分はデータを集めてさらに機能を改善する余地がありそうです。
そして、渋滞はクルマ1台で起こるものではなく、
何十台、何百台と集まった結果に起こるもの。
個々の設計・製造を考える自動車メーカーだけでは解決できません。
自動車メーカー、道路を管理・運営者、交通についての研究者、
3つの立場が共同して渋滞を減らして安全を目指す、
その取り組みがようやく始まったところだと
大口敬(おおぐち・たかし)教授はおっしゃっていました。
長い間、利用者は誰もが渋滞の多さにストレスを抱えていた首都高速道路ですが、
いま、渋滞をなくし、円滑な交通システムを実現すべく、新たな建設が進んでいます。
近い将来、首都圏の高速道路は、
内側から中央環状線、外環道路、圏央道の3つの環状道路が、
東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道と連絡します。
完成すれば渋滞は減って事故も少なくなることでしょう。
先月、中央環状線山手トンネル(高速湾岸線〜高速3号渋谷線)が開通。
湾岸線の大井JCT-大橋JCT間9.4キロが繋がって中央環状線が全線開通しました。
3つの環状道路のうち、最初のリングが、計画から半世紀経って実現したのです。
今回のコメンテーター モータージャーナリストで
高速道路研究家の清水草一さんによると
まだ数字的なデータはありませんが、中央環状線が全線開通を受けて、
都心部、特に南側の渋滞が緩和している模様。
渋滞の代名詞の1つ浜崎橋ジャンクションの渋滞は大幅に減っているようです。
しかし、一方で中央環状線には車が多く流入するようになり、
全体としては交通量が増加、午後5時から7時ぐらいにかけては渋滞します。
これは「混雑時間の料金を上げる」「前後の時間の料金を下げる」など、
何か施策を打たない限り変わらないだろうとのこと。
プロのドライバーではない場合、やはりこの時間に首都高速を使うのは、
できるだけ避けたほうがほうがいいかもしれません。
近い将来、ナンバーによる入車制限なども、検討されるべきでしょうか。
そして、先月8日には3つの環状道路のうち、
一番外側のリング、圏央道の寒川北IC – 海老名JCTが繋がりました。
関越自動車道方面から湘南方面に行くには便利になりました。
圏央道も間もなく開通する割合が8割に達しようとしています。
ただ、構造的に致命的な欠陥があると指摘されているのが海老名JCT。
利用したことがある方は、知っているかもしれません。
合流部分の距離が短すぎて、減速しなければならず、渋滞が起こるのです。
GWに初めてここを通ることになるドライバーは気をつけてください。
近い将来の完成に向けて、変わりゆく首都圏高速道路。
これからも部分的な開通は続きます。
運転に自信がない人や、サンデードライバー、
それからふだん利用しない高速道路を使う時には、
事前に最新情報を確認しておくことが、
事故を減らし、安全なクルマ社会をつくる第一歩です。
そのことをお忘れなく!
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