今週は「クルマの運転と災害の対処法」後編。
国際モータージャーナリスト 清水和夫さんのコメントでお送りしました。

燃料費節約とCO2排出削減のため、
ふだんガソリンを満タンにしない方もいるかもしれません。
しかし、災害に対する備えでは「満タンに近いほどがいい」のです。

元プロのレーシングドライバー、安全運転インストラクターをつとめる
清水和夫さんも燃料はできるだけたくさんある状態にしておくといいます。
自動車は動かなければ鉄の塊。
自分が乗れないだけでなく、まわりからすれば迷惑なもの。
いつでも動かせる状態であることが望ましいのです。

「クルマが走れるようにしておく」という意味では、
11月には冬用のタイヤに履き替えましょう。
最近の冬は、これまでは降雪がほとんどなかった地域に、
たくさん雪が降ることもあります。「備えあれば憂いなし」です。

そして、災害に対しては装備こそ重要。
SUVの四輪駆動に乗っている清水さんは、
他のクルマを引き上げるための牽引ロープ・懐中電灯、
怪我の応急処置をするための包帯・止血剤・ゴム手袋を積んでいるといいます。

それから水害に際して役に立つシートベルトカッターとフロントガラスを簡単に割るハンマー。
クルマに乗っていて水に飲まれてしまうと水圧でドアが開かなくなります。
右ハンドル車で左腕を骨折してしまうと、シートベルトを外せなくなります。
そんな時でも、フロントガラスハンマーでガラスを割り、
シートベルトカッターでシートベルトを切って脱出するためです。

さらに2年前に山梨で大雪が降り、
中央高速で車の中に2、3日留まらなければいけない人たちが出た、あの時以来、
毛布と暖をとれるものを積んで置くようにしているそうです。

車のタイプとしてはプラグインハイブリッド車は電源の供給元となることができます。
しかし、普及しつつある電気自動車は、充電できなければ動かすことができません。

クルマは災害時に危険から逃げる手段。
でも、それだけではありません。
生き延びるための道具を積んでおける倉庫替わりになり、
動けない時や、動かないほうがいい時に、避難所になります。
そうしてイメージを持って、必要なものを備えておきましょう。
災害が起こった時をシミュレーションして、
どうしておくべきか? いちど、よく考えてみて下さい。













あなたはクルマを運転しています。
その時、突然、災害に見舞われました。
どのくらい身を守る行動をとれるでしょう?

自然災害が多い日本。

正しい知識を持ち、頭の中でシミュレーションしておくこと。
それが万が一の時、危険を回避する助けになります。
今週と来週のこの時間は、地震が起こった時を中心に、
「クルマの運転と災害の対処法」を追跡します。

コメントは国際モータージャーナリストの清水和夫さん。
清水さんは野毛印刷社発行『災害発生時におけるドライバーズ ハンドブック』を監修しています。

経験ある方が多いでしょう。
クルマに乗っている時は地震に気づきにくいもの。
運転時に揺れに気づいたとしたら、それは大きな地震です。
そのとっさの時に、まず気をつけるべきはハンドルとブレーキ。

急ハンドルは地震の揺れと同じ方向に力がはたらくと危険!
急ブレーキは後ろのクルマに追突されてしまうかもしれません!
急ハンドル、急ブレーキをしないように気をつけてください。

もし、高速道路を走っていたとしたら。
トンネル、橋、山沿いを走行していた場合は
できるだけ速やかにその状況を抜け出るようにしましょう。
周囲が安全な環境、状況の場所にきて、後続の車が停まっている場合は、
そこに車を止めて、ラジオやスマートフォンで、情報を集めましょう。
しかし、後続の車が走ってくる場合は、自分だけ止まると危険です。
スピードを落とし、止まる意思を示すため、ハザードランプを点灯させ、
止まれないならばSAやPAに入るまで走りましょう。
そこで、情報収集です。

一般道を走っていたとしたら。
ビルや電信柱など倒れてくるものがない場所に車を止めるよう心がけてください。
揺れが激しく、そこまで走れない場合は、できるだけ道路上に停車しないようにしましょう。
それが無理、道路上に止めざるを得ない時には、左端に寄せます。
車から出るか、留まるか、それは状況を冷静に判断する。
出てしまって危険なこともあり、留まっても危険なことはあります。

クルマを止めたところは危険。
降りて避難する時の大切なポイントは・・・

♡ できるだけ道路ではない場所に移動する
♡ やむをえず道路上に止める時は左に寄せる
♡ サイドブレーキをかける

♡ エンジンを止める
♡ 窓を閉め切る (この2つは 車両火災による二次災害を防ぐため)

♡ エンジンキーはつけたままにする
♡ ドアロックはしない(この2つは緊急車両の通行時に移動できるよう)

クルマを運転していて災害が起こった時、
一連の行動で基本となるのは冷静で落ち着いた行動。
それを忘れないでください。

「もしもクルマを運転している時に災害が起こったら」と
シミュレーションしてみてください。
それが自分や家族、友人の身を守ることにつながります。


明日までは「平成28年 春の全国交通安全運動」期間。
今週は先週に続き、その大切なポイントを追跡する、後編をお送りしました。
お話を伺ったのは警察庁 交通局 交通企画課 西村和市さん。

先週は4つのポイントのうち「飲酒運転の根絶」「子どもや高齢者の交通事故防止」にふれました。
今回は「自転車の安全利用」「シートベルト・チャイルドシートの正しい着用の徹底」について。

自転車については去年6月、改正道路交通法が施行され、取り締まりが厳しくなりました。
ただ、西村さんによると自転車の事故数は減っていますが、
自転車の乗る人には、今まで以上に高い意識も持っていただきたいとのこと。
時折、歩行者と同じ感覚で自転車に乗っているかのような人がいます。
しかし、自転車は「車両」。歩行者に対しては歩行者が優先だということを認識して下さい。

最近は自転車が歩行者にぶつかって損害賠償事件になったというケースも出てきています。
自転車保険加入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、悪質な自転車利用者には講習制度が導入され受講者も出ています。
十分に気をつけるようにして下さい。

そして「シートベルト・チャイルドシートの正しい着用の徹底」。
助手席は義務だという意識を皆さん持っていると思いますが、
後部座席に乗っている人も同じだということを認識して下さい。
同乗者に着用を促すのも運転者の役割です。

チャイルドシートが義務付けられるのは6歳未満。
でも135 〜 140cmにならなければ装着できません。
安全のために年齢にこだわることは避けましょう。
身長が満たない場合はチャイルドシートで子供を守って下さい。

成長すると子どもがチャイルドシートを嫌がるかもしれません。
そこは乳幼児からの教育で物心ついた時から「当たり前」のことにしましょう。
本当に大切なものは何か考えればやるべきことは自ずと導かれるはずです。

この「春の全国交通安全運動」を1つのきっかけに、
さらに交通事故の少ない社会を築いていきたいものです。
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