ドライバーの皆さん
自分や同乗者が車のドアを開ける時
どのくらい安全に注意を払っていますか?

2014年のデータで
停まっている車のドアが開いて起こった交通事故は
2,325件発生しています。





走っている車ではなくても
ドアのぶつかった相手が子供や高齢者だったり
タイミングが悪かったりすれば大ケガや死に繋がりかねません。

交通事故総合分析センターが公表している
2014年の「ドア開閉事故」を もう少し詳しく見てみると
車のドアがぶつかった相手は多い順に・・・
     
自転車 67%
バイク 19%
歩行者  7%
その他  6%





歩行者も、もちろん危険です。
でも、自転車、バイクは、よりスピードが出ていますから
想像すると怖いです。


次に「ドア開閉」事故に
どのくらい人的要因が絡んでいるのかを見ると
2つの立場があります。

自転車やバイクなどドアにぶつかった側。
そして、ドアを開けた車側。

ドアにぶつかってしまった自転車・バイク側は
半数以上の52%の割合で「人的要因なし」でした。
落ち度はなかったというわけです。
一方でドアを開けた車側は96%が「安全不確認」。



 
   
この事故では車に「非」がある場合が圧倒的に多いということ。
具体的などんなドア開閉事故例としては


【ケース1】

平日の昼過ぎ 主婦のAさんは
通りの反対側の郵便局に用事があり道路左側に停車しました。
車から出る時に周囲の安全を確認せずドアを開けたため
右後方から時速30キロで走っていた原付バイクと衝突。
バイクを運転していたBさんは対向車線に投げ出され
全治50日の重傷を負いました。


【ケース2】

平日の午前中
Cさんはスーパーマーケットに買い物に来て駐車場に車を停め
車を降りる時、安全を確認せず運転席のドアを開けたため
右後方から時速10キロで走ってきたDさんの自転車に当たり
Dさんは転倒して頭部打撲のケガを負いました。

自転車を運転していたDさんは80代。
高齢者ということもあり、打ち所が悪かったらと思うと怖いです。
実際、平成26年には「ドア開閉事故」による死亡者はいませんが
遡ること10年の間には?人の方がお亡くなりになっています。



       

車のドアを開けたのが、ドライバーではなく、
同乗者だった時に、ドライバーの責任はどうなるでしょう?
責任を問われるか? 問われないか?

<答え>

ドライバーは責任を問われます。   
ドライバーは、自分はもちろん、同乗者がドアを開ける時も
交通に危険を生じさせないために必要な措置をとる義務があるからです。

ドライバーの皆さんは、自分がドアを開けて車を降りる時
周囲の安全をいまいちど、注意するようにしましょう。

そして、同乗者の降車時にも同じように気をつけ
安全を確認するよう同乗者に注意を促しましょう。



また、自転車や二輪車の運転者
さらに歩行者も「ドア開閉事故」に気をつけましょう。 

駐停車している車の中に人の影が見える時には
ドアがいきなり開く可能性があります。
        
ドアの近くを通過しないか
通過するとしても速度を落としましょう。
安全のための自衛も必要です。  




交通事故死亡者の数は減っています。
ところが、高齢者が亡くなる交通事故の割合は増え続けています。




       
平成元年の交通事故死亡者数は 11,086 人でした。
去年、平成29年は 3,694 人。およそ30年で3割。

一方、「高齢者」=65歳以上の交通事故死亡者数を見ると
平成元年 2,520 人。平成29年 2,020人。
減ってはいるものの30年前の8割。
       
その結果、交通事故死亡者全体に占める高齢者の割合は増えているのです。
平成元年の 22.7% だったところが平成29年は 54.7% 。
半数を超えています。





JAF 東京支部 事業課 交通環境係 高木孝 さんによると
交通死亡事故で高齢者が被害に遭った時の状態別で圧倒的に多いのが歩行中。
65歳以上の場合48.1%。次に多いのが自動車乗車中で28.7%、
自転車乗車中16.1%。原付乗車中、自動二輪乗車中と続きます。





データを見ると高齢者は道路を横断する時に事故に遭うことが多い。
信号のない交差点で間に合うだろうと判断して横断を始める。
しかし、実際は車のスピードが予想以上に速い。
渡りきらないうちに車と接触してしまう状況が想像できます。

歩行者は夜間は車はヘッドライトをつけているから
ドライバーから自分は見えているだろうと思いがち。
しかし、着ている服の色が暗い色だとすぐには気づきにくいもの。
ドライバーは全ての歩行者が目立つ色の服を
着ているわけではないと理解して運転する必要があります。





クルマは時速40キロで走っていると1秒で11m進みます。
2秒で22m、3秒で33m。高齢者が横断にまごつけば、すぐ近づく速度。

対策としてはドライバーはクルマの速度を控えて運転する。
夜間になったら必ずヘッドライトをつける。
対向車や前に車がなければハイビームにする。
しっかり前方の視界を確保しましょう。

大切なのはドライバーの「思いやり」。
それはドライバー自身をも事故から遠ざけて大きなメリットになるはずです。






「トリックアート」を見たことはありますか?
本当は平面(二次元)なのに立体(三次元)的に見えてしまう。
あるいは見る角度で見え方が変わる、不思議で、楽しい創作物です。

例えば、下の写真。
道路に穴が空いていているように見えるでしょう。
でも、これは路面に描かれた絵。


 
このように時に人間の目は勘違いし、
トリックアートは視覚の錯覚を利用しているのです。

そして、トリックアートを生かして
交通事故を防ごうという道路環境が世界にはあります。
日本でも15年ほど前からお目見えしています。
それがこちら






イメージハンプといいます。
路面に描かれている絵は立体的に見えますよね?
ドライバーは危ない!?と感じてスピードを落とします。
その結果として事故の発生を防く可能性が高まります。

このトリックアート的な手法の交通安全施策、
いま海外の横断歩道でも増えています。

中国やインドには白の縞模様のまわりに着色して、
立体ブロックに見せる横断歩道があります。
最近はアイスランドや台湾でもこの技術が導入さました。





交通安全について、道路空間の安全性を高めるため、
錯覚効果を利用した路面表示のデザインを行っている
拓殖大学 工学部 デザイン学科
 永見 豊 准教授 が、
大学の構内にある横断歩道を立体的に見えるようペイントし、
ブロック正面に「歩行者優先」という文字を入れました。





大学の構内を運転するバスの運転手4名にヒヤリングしたところ
全員が横断歩道が目立ち「歩行者優先」の文字が読みやすいと高評価。
2名が「初見では驚いたが、すぐに慣れた」という回答だったそうです。

心配なのが、立体的に見える横断歩道に驚き
急ブレーキをかけたりアクセルをブレーキと間違えてしまう危険性。
      
ただ、特定の視点でトリックアート横断歩道を見た時には
写真で撮った時のように、とても立体的に見えるのですが、
その位置に入らなければ「なんだろう?」という感じに見える程度なので、
急ブレーキをかけるほど危険ではないとのこと。

永見准教授らは現在、こうしたものを逆走対策に適用できないか検討中。
逆走しているドライバーには立体的な障害物に見えて、
正常走行のドライバーには単なる平面のペイントに見えるというものです。

人間の目の錯覚を利用した交通安全システム。
安全に留意しつつ、さらに効果的な利用へと繋がるかもしれません。

«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 102 | 103 | 104 |...| 161 | 162 | 163 || Next»