ドライバーや車内の状態を他のドライバー、
歩行者、自転車に知らしめるクルマに貼る運転者標識・マーク。
今では、道路交通法上で義務づけられているもの、努力義務のもの、
安全のために活用すると良いものとさまざまな種類があります。
今回はそれらの標識について 自動車評論家 まるも亜希子さんに伺いました。





まずは日本の道路交通法に基づく、2つのポピュラーな標識
「初心者マーク」と「高齢者運転マーク」についておさらいしましょう。
初心者マークは、クルマの免許を持っている皆さんご存知だと思いますが、
準中型自動車運転免許証または、普通自動車運転免許証を取得してから1年未満の方が
運転するクルマに貼る義務がある、通称「若葉マーク」です。

これは貼っていないと道路交通法違反で準中型車が6000円、普通車が4000円の罰金。
行政処分点数も1点となります。もう1つの注意点は「免許取得後1年未満」は、
その間にあった免許停止期間は除くので、どんどん伸びていってしまうこと。
例外もありますが、その点も注意して下さい。また道路交通法上では「普通車」とありますが、
「免許の種別上の普通車」という意味なので軽自動車にも同じ義務が発生します。

覚えておいて欲しいのが全ての標識は表示位置が定められていること。
クルマの前面・後面ともにに貼らなければいけません。
高さは0.4m以上 〜 1.2m以下。フロントガラスはNG。





もう1つ道路交通法に基づくポピュラーな標識「高齢者運転マーク」。
対象は普通自動車と軽自動車で、当初のオレンジと黄色2色「しずく」形のマークが、
今はオレンジ、黄色、黄緑、緑の4色がお花の様な形になってるマークに変わり双方使えます。

一方でかつては75歳以上だったものが、現在は70歳以上。
努力義務で罰則はありませんが、初心者マークともども
他のドライバーが幅寄せや無理な割り込みをした場合には道路交通法違反になります。
予防の意味でクルマに貼っておいたほうがいいでしょう。

キャリアを重ねたドライバーは初心者マークをつけたドライバーを
経験が浅く、とっさの判断が必要でも上手く対応できないことが当然あります。
そこにイライラしたりすることは交通社会がうまく回らなくなることを意味します。
大人全てで温かく見守って、経験を積んで立派なドライバーに育てていく気持ちが大切。
思いやりを持って初心者マークに接しましょう。

さらに、自動車の運転に関する障がい者マークが3つあります。
その2つは丸い青の円の中に白い四葉のクローバーがある「身体障がい者マーク」と
薄い緑の円の中に、黄色の蝶がある「聴覚障がい者マーク」。
車いすがデザインされた「国際シンボルマーク」。
このうち身体障がい者マークと聴覚障がい者マークには、
法的拘束力があって幅寄せや無理な割り込みは罰則の対象です。



      




その他、最近よく見かけるマークが多々あります。
「BABY IN THE CAR」「DOG IN CAR」etc...

ゆっくり走るクルマ、夜間に室内灯をつけるクルマは、後続車のドライバーのストレスになりがち。
でも、マークを貼っていれば、車内の状態がわかるので、許容する気持ちを持てるかもしれません。
無駄なトラブルを回避できる可能性も高まるので、その意味において貼ることをオススメします。
しかし、こうしたステッカーを貼っているからといって「ステッカー貼ってるのに追い越しをされた」
と憤慨する姿勢は間違っているので、その点は認識するようにして下さい。
そろそろ紅葉のシーズン。
クルマで山や高原など標高が高いところへ行くこともあるでしょう。
そんな時には、大きな勾配・急カーブ・狭い道など、
一般の道路とは様子が違う山道・峠道に注意!

今回のコメントは、日本(にほん) 自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員も務める菰田潔さんでした。





勾配や急なカーブがある山道・峠道。
運転の基本姿勢はハンドルに近いドライビングポジションをとることがポイントです。
急カーブがある場所では大きな遠心力が生じて、体が外に振られます。
その時にはハンドルを前に押すようにして、背中をシートバックと強く押しつけ、
体が揺れないようにするようにしましょう。
また、山道・峠道は同乗者が酔ってしまうケースも少なくなりません。
同乗者が酔わないように丁寧に運転する心遣いが大切です。
その上で、山道・峠道で、まず気を付けるべきは、左に右に急なカーブです。





山道はカーブが急で先の見通しがききません。
「先が見えないから対向車は来ない」という思考ではなく
「見えないところには対向車が来るかもしれない」という意識を持ちましょう。
急なカーブで自分がはみ出さなくても対向車がはみ出す可能性を念頭に置いて下さい。

そして、下り坂のカーブは一番の注意点。
スピードをしっかり落とさずカーブに進入するとオーバースピードで外に膨らんでしまいます。
左カーブだと反対車線に飛び出す、右カーブだと崖から落ちてしまう可能性もあります。
ブレーキをかけてしっかりスピードダウンし、ブレーキを戻しながらハンドルを少しずつ切ります。
上り坂の場合にはスピードが落ちないよう
途中で少しだけアクセルを踏みながらカーブを曲がっていくとスムーズです。

急カーブが突然目の前に現れたという時は、
ハンドルをまっすぐのままブレーキでスピード落として下さい。
ブレーキが最も有効に働くのはハンドルが真っ直ぐの時。
ハンドルをまっすぐにしてブレーキだけかけていれば
まっすぐだけのグリップを使うので有効に使えます。





そして、山道・峠道には道路の幅が狭まるところが多々あります。
そうした場所での対向車とのすれ違いは慎重に。

先を見て「すれ違うことが難しいな」と思った場合には
対向車が目の前に来る前に手前の広い場所で待つようにしましょう。
対向車と鉢合わせ状態ですれ違えない状態になると困るだけです。

狭い道の場合には、スピードゆっくり走りながらなるべく先を見て
対向車来たら手前のなるべく広い箇所を利用してすれ違うようにして下さい。





急な勾配とカーブにとらわれがちな、
山道・峠道でクルマを運転するドライバー。
そんな時に大きな役割を果たしてくれるのが自分のクルマの存在を
対向車に伝えてくれる前照灯、ヘッドライトです。

山道は昼間でもヘッドライト点灯で走ることが有効。
日中の日差しが強い時は、もうこんなに明るいからライトはいらないと思いがちですが、
山道では木陰の暗いところでヘッドライトの明かりが映えます。
反対にライト付いてないクルマは、対向車が気づきにくい。
そこで、ヘッドライトを点灯し、自分の存在を主張して下さい。

この秋の行楽シーズン。
山道・峠道でクルマを運転する時には、今日の情報を活かして下さい。
そして、その走行術は季節を問わず、普遍です。
覚えておきましょう。
日が暮れるのが早くなった今日この頃。
気をつけたいのが、子どもの帰宅時の交通事故です。
今回は一般財団法人 日本自動車研究所 主任研究員 
大谷 亮さんにお話を伺い、注意すべきことをお伝えしました。





最近のデータを見てみると・・・
令和3年も、令和4年も、月別の交通事故死者数は多い順に12月 → 10月 → 11月。
これからは特に注意しなければいけない時期です。

特に危険な時間帯は、夕暮れ時から夜間にかけて。
令和元年から令和5年の時間帯別で見た死亡事故件数は、
多い順に17時台、18時台、19時台となっています。

大きな理由は、人間の目は暗さ慣れるのに時間がかかり
ドライバーと子供ともに視認性が低下するため。
子どもが原因となる交通事故は「飛び出し」が多くなりますが、
双方が視界を確保できない状況だとするとお互いを確認できないことも考えられます。
また、帰宅時間なのでドライバーも子どもも急いでいる気持ちの問題もあるかもしれません。





まずはドライバーが細心の注意を払って運転しましょう。

★ ヘッドライトは早目に点灯する

★ 基本はハイビーム。ロービームと小まめに切り替えて視界を確保する

★ いつも通る道であれば、学校や塾など、子どもの通り道を認識しておく





子どもはなるべく明るい服を着て、必ず反射材を身につけること。
さらに道路の横断はできるだけ横断歩道。
そして、絶対に飛び出しをせず、車道に出る時は必ず止まって左右を確認する。
保護者はそうしたことを子どもが守るように伝えることが大事です。

小学校低学年のうちは、
それほど無茶や無謀な動きはしませんが、
高学年ともなると、塾帰りに自転車に乗って、
しかも友だちと一緒だったりすると、
悪ふざけをしているうちに危ない運転をしかねません。

なかなか耳を貸してくれないかもしれませんが、
その危なさも、何かの機会に、話して聞かせることが大切。
これからの時期の夕方から夜にかけて、
子どもが交通事故に遭ってしまわないよう注意を払いましょう。

来週水曜日の10月9日は「トラックの日」ですが、
普通自動車より大きく重量があるトラックとの交通事故はとても危険です。

交通コメンテーター  西村直人さんにお話を伺いつつ
今回は交通社会においてトラックに対する注意点についてお伝えしました。





歩行者や自転車利用者の立場にある時
トラックと関わる大きな割合は交差点です。

あなたが歩きか自転車で横断歩道を渡ろうとしていて信号は青。
左折しようとしているトラックに気付いても、
「交通弱者が優先。相手はプロのドライバー」という意識で、
躊躇せずに横断し始めることはとても危険なことです。

トラックは普通自動車と比べて死角が広くなります。
歩行者や、中には自転車で横断歩道を渡っている人もいますが
十分注意していても特に大型トラックについては
その死角に入っている可能性があることを留意して下さい。
これはお子さんに伝えるようにして下さい。

さらに子どもについては「横断歩道は青になったら渡るんだよ」と伝えていませんか? 
横断歩道は青であることは大前提ですが、左折しようとしているクルマがある時は、
その運転手が自分に気づいているかどうかを確認してから渡るように伝えて下さい。
死角の広いトラックなら尚更です。





次はクルマやバイクに乗っている時の話。
まずは交差点でトラックとの衝突・接触を避けるためのポイント。

トラックは積荷を積んでいるので、急ハンドルをすると
荷崩れを起こしてしまう恐れがあるので急なハンドル操作はできません。

一方で交差点で、例えば直進するトラックと右折する車両、
もしくは逆に右折するトラックと直進してくる例えば二輪車といった状況では、
トラックは重量があるのでスタートしてから交差点を渡り切るまで相応の時間がかかります。

それに対して二輪車は小さいので、右折する、右折待ちをする大型トラックからは
非常に遠くにいるように見えます。ですから、二輪のライダーは大型トラックが
右折を始めたと認識した時点で速度を緩めるだけではなく
ブレーキをかけて先に通過させてしまうという判断をして下さい。

また、交差点でトラックは左折しようとしていて、
二輪のあなたは直進という場合は、先ほどの歩行者・自転車の利用者同様
内輪差に巻き込まれてしまう可能性があります。
トラックが左折をしていると気づいたら、
止まって、内輪差の中に入らないようにしましょう。





続いてはトラックの直進時の追突事故について。
高速道路の渋滞の末尾に乗用車のドライバーが遭遇した場合には
早い時点からハザードランプを点灯させて注意を促しながら
前の車との距離を車2台分ぐらい空けて停止しましょう。
そのあとで後ろの大型トラックがきちんと止まったら通常の車間距離に戻します。

車2台分を空けるのは、万が一後ろの大型トラックが気づくのが遅れて
自分のクルマに追突する可能性が感じた場合は左右なりに避けることができるから。
ルームミラーを確認して安全な運転環境を保ちましょう。





最後にトラックと出会い頭の事故を起こさないためには
例えばコンビニの駐車場から本線道路に出るような時には
距離を空け、しっかりと安全確認をしてから道路に出ること。
「後ろからトラックが来ているけど、本線に入って急加速すれば大丈夫だろう」
そんな考え方は危険。急ブレーキを踏むことになりかねません。

さらに信号機のない交差点では一時停止の停止線の前で1度しっかり停まる。
その後でゆっくり自分のクルマの全体の部分が交差する道路から来るかもしれない
クルマのドライバーに確認してもらえるように進みましょう。

停止線の位置からは交差する道路の状況がわからないこともあるので
見えやすいところまで進んでしまうクルマも少なくありませんが、それは危険。
停止線の手前で止まり、その後もう1回本線に出る前に止まるという
二段階停止を心がけるようにして下さい。