今では多くの会社が社会貢献活動に取り組むようになりました。
交通事故ゼロの社会を目指す施策を行う企業もあります。
交通に関する活動をする会社の多くは、
仕事で自動車やトラック、バスを使う運輸・旅客業ですが、
今回は岡山県にある会社の取り組みを紹介しました。





それは道路工事や店舗の駐車場の警備員、
交通誘導をする警備員を派遣している株式会社KIG。
5年前に起業した代表取締役社長 37歳の田代康介さんにお話を聞きました。

KIGは岡山市内の幹線道路、国道や主要県道に
交通安全を啓発するメッセージ広告を出しています。
その数は、およそ30タイプ。

KIGが交通安全広告を出しているのは2年前の不幸な出来事がきっかけ。
従業員の方が深夜に自転車を運転していて交通事故で亡くなってしまったから。
会社として何か交通安全に役立てることはないか?と考えたのです。

1番反響が大きかったのが、
実は岡山県がウインカーを点けない県だということで
KIGの方が親指を立てて「ウインカーを点けようぜ!」としているもの。





その他、飲酒運転の防止を呼びかけるもの。
副社長と常務が手を繋いで屈託のない笑顔で笑い
「お酒飲んで運転したらダメでしょ!というメッセージが入っています。





さらに、KIG警備員の顔に水がかかっている瞬間をアップで撮影して、
「居眠りしている人はこう!」というのもあります。





いろんな個人、団体、企業の取り組みによって、
毎年、交通事故 死者数は減り続けています。

こうした輪がもっと広がって、危険な運転をしている人が
「自分が恥ずかしい」と思うくらいになればいいですね。





今ではさまざまなクラウドを活用したサービスが登場しています。
それは交通安全の分野でも同じ。
今回はクラウド型の交通安全管理システムを紹介しました。





クラウド型交通安全管理システム「AI-Contact」のサービス開始は2018年。
開発し、リリースしたのは、ジェネクスト株式会社。
今回のコメントは、そのCEO 笠原一さんです。

きっかけは父親が関わった交通事故。
笠原さんの父はタクシーの運転手で、ドライブレコーダーが搭載されていました。
約8年前なのでドライブレコーダーは証拠としては認められなかった時代です。
ただ、その映像をタクシー会社の事故担当者等と見た時、
笠原さんには父親が悪いようには見えませんでした。

でも、過失は父親が大きいことになっています。
そこで「これはおかしい」というところから自ら意見書を作成。
違反点数15点が覆って0点となり、免許証を取り戻すことができました。

その話を知った周囲から交通事故の相談を受けるようになった笠原さん。
結果的に交通事故問題の解決を図るベンチャーを設立します。
2009年のことでした。





まず、乗り出したのは交通事故鑑定事業。
年数を重ねると気づいてきたことがありました。

それは、やはり事故の根本的な原因は道路交通法違反にあるということ。
さらに笠原さんは交通事故当事者になった運転者の身勝手さと
道路交通法違反の多さを目の当たりにします。

笠原さんがサポートする側も相手方も
自分を棚に上げて相手の道路交通法違反を主張するのです。
そして、警察の実況見分を見ると映像と違うことを言ったりする。

いずれのドライバーも相手は道路交通法を守るだろうという意識があり
その上で、自分は道交法違反をしていながら相手の違反に腹立てる。
道路交通法違反がなければ事故にならなかったケースが相当数あるのです。

こうした経験を重ねて笠原さんが企画したのが
クラウド型安全管理システム「AI-Contact」です。





ターゲットとしたのは、営業車を持つ一般企業。
専用デバイスかスマートフォンのGPSを使い、
運転者のGPS情報をクラウド上のサーバーに転送します。

するとクラウド上のサーバーに入っている47都道府県の地図情報と突合。
運転する人の道路交通法違反がどのくらいあったかが分かります。
スマートフォン、PCでWEBサイトを開けば、運転者の道路交通法違反の場所、
グーグルのストリートビューの画像情報、
どこでどんな違反をしたのか累計の厳守率が見えるので、
気をつけようとすることができるサービスになります。





こうしたサービスが普及すると道路交通法違反が減り、交通事故も減るのでしょう。
覚えておいていただきたいのは、事故発生から24時間以内に亡くなっている事故は、
ほぼ全てに道路交通法違反があるということ。

これを無くしたいと考えている笠原さんは
以下のような交通安全に対するメッセージを送って下さいました。

「30分でもいいので道路交通法を100%守った運転をしてみてください。
すると、この運転をしていれば事故に合わないな、
危ない車が突っ込んできても止まれる、避けれるということを実感できると思います」

ハンドルを握っているみなさんは、
まずは道路交通法に反する運転行為をしないことを意識して下さい。
そして、営業車を持つ会社の経営者の方がいれば、
こうしたクラウド型交通安全管理システムの導入も考えてはどうでしょう?





クルマに乗る時、シートベルトをきちんと着用していますか?
今週は、去年の10月から11月にかけて警察庁とJAFが合同で行なった
「シートベルト着用状況 全国調査」からシートベルト着用について考察しました。





2002年に始まった警察庁とJAFの「シートベルト着用状況 全国調査」。
最新の2020年調査は「高速道路等」全国 105箇所、  
「一般道路」全国782箇所で行われました。


【調査対象者】

<高速道路等>

 運転者     5万 5,549人
 助手席同乗者  1万 8,211人
 後部座席同乗者 1万 3,873人


<一般道路> 

 運転者     30万 3,091人
 助手席同乗者   4 万 8,498人
 後部座席同乗者  5 万 5,755人


かなり大きな規模の調査なので
もちろん統計上、信頼がおけるデータです。
その結果、シートベルト着用率は


【調査結果】

<高速道路等>

 運転者     99.7%
 助手席同乗者  98.5%
 後部座席同乗者 75.8%


<一般道路>

 運転者     99%
 助手席     96.5%
 後部座席同乗者 40.3%



高速道路も一般道も運転者と助手席同乗者は100%近く。
それに対して、後部座席は高速道路等が75.8 %、一般道路が40.3%。
かなりの差があります。

このデータには、もう少し踏み込むと驚く事実も隠れていました。
後部座席同乗者の着用率は前部座席より低いものの上昇傾向にあります。
ただ、それはあくまで全国平均値。
実は47都道府県別で見ると23箇所で前年より着用率が下がっています。





特に着用率が低いところは沖縄県 15.8%、宮崎県 19.7%、
佐賀県 24.4%、大分県 24.8%、大阪 25.3%。
着用率が高いところは群馬県 61.8%、長野県 59.4%。
ただ高いといっても6割程度ですから再考する必要があるでしょう。





後部座席でシートベルトをしない理由は
いろいろと想像できます。


*運転席や助手席と比べて装着しにくい。

*例えば友人が後部座席に乗っていて
 運転者の自分が装着するように指摘するのは気が引ける。

*道路交通法で装着が義務付けられていることを知らない。
  ちなみに2008年以前は運転席と助手席だけに義務付けられていましたが
  今は全席でシートベルト着用義務があります

*ただ、後部座席は一般道路でシートベルトをしなくても行政処分がない
 そこに甘んじている  など・・・


去年9月から新型車は全座席を対象に、
警報音を発する「シートベルトリマインダー」をつけることになっています。
今後はハード面の整備によって後部座席の装着率も上がるでしょう。

しかし、そうした強制力ではなく、
自らの安全を確保するという考えのもと、
シートベルトを締めるようにしましょう。

警察庁の最近のデータによると
後部座席のシートベルト非着用の交通事故 致死率は、
一般道路で着用時のおよそ3.3倍、高速道路ではおよそ11.7倍です。





減少率が低い自転車乗車中の事故。
コロナ禍に危険運転が目立つこともあり、
今週は先週に続き「自転車の交通ルールと安全利用」をお届けしました。
お話を伺ったのは自転車ジャーナリストで、
自転車の安全利用促進委員会メンバーの 遠藤まさ子 さん。





昨今、自転車の利用は規則が厳しくなっています。
スマホを見ながら操作しながらという運転はもちろんダメ。
イヤホンの使用も自治体によりますが概ね禁止されています。
片耳ならいいと考えられる方も多いのですが
片耳でも取り締まられている自治体もあります。

道路交通法はしばしば改正されます。
去年の改正では自転車の”あおり運転”に罰則が設けられました。
自転車を車のドライバーと同様に交通ルールを知っていて
きちんとマナーを守って運転する立場とみなすようになってきています。
自転車を運転するのは生活手段というよりは
車と同じ乗り物を運転している気持ちが年々求められていると思う。
遠藤さんは、そう話します。





自転車に乗っていて、歩行者に怪我を負わせたり、
死亡に至らせてしまった場合は、刑罰が課せられます。
例えば2017年、スマートフォンと飲み物を持ちながら電動アシスト自転車に乗り
歩行者を死亡させたケースでは地裁で禁固2年、執行猶予4年の判決が下されました。

その刑事罰とは別に発生するのが損害賠償金。
安全な自転車利用を心がけていても
事故当事者になってしまうことがあります。
保険には必ず入りましょう。





自転車保険は多くの自治体で義務化の動きが進んでいます。
しかし、基本的に罰則が設けられてはいません。
したがって義務化されている自治体でも加入率は6割ほど。

自分が怪我をした時だけではなく相手に怪我をさせてしまうケース、
あるいは負傷者や死亡者が出なくても
例えば車を傷つけてしまったような時には損害賠償は発生します。
備えとして保険に入っておくことは大切です。





そして、自転車の事故を避けるためには自転車の選び方も重要です。
見た目が同じであっても1つ1つの機能がきちんと安全なものを選びましょう。
外面上は整っていてもブレーキが効かなかい、
タイヤが薄くて滑りやすいという製品にもあるので気をつけましょう。

可能であれば乗ってみる。
自転車店が近所になくて離れた大型店まで予約をして引き取りに行く、
半ネット販売のような場合にはBAAマークがある自転車を選ぶといいでしょう。
それが遠藤さんのアドバイス。





BAAマークは自転車のサドルの下、
縦パイプに貼られている緑のベースに白地のマーク。
一般社団法人自転車協会が定める、
フレーム強度、ブレーキの制動性能など、
およそ90の検査項目をクリアした自転車に貼られるもの。
製品由来の事故が起こった時は保障も受けられます。





そして、日々のメンテナンスも大切。
不具合を自分自身では感じてなくても
専門家が見るとあることが往々にしてあります。
1年に1回は定期メンテナンスをしてください。

自分で出来るメンテナンスはタイヤの空気を入れること。
遠藤さんによると女性は空気圧が低いまま乗っている方が多いそうです。

一般の自転車は空気が抜けるとペダルが重くなります。
でも、最近お母さんの立場にある人の利用頻度が高まっている
アシスト自転車はペダルがあまり重くならないので気づかない人が多いとか。

空気入れが家にないという方もいるでしょう。
店頭に自動空気入れの設置する自転車店も増えていますので
そういったものを活用しつつ、ついでに気になるところがある時はみてもらう、
そうすると自分では気づかない不具合も見つかるので一石二鳥です。