4月8日(日)19:00〜放送TOKYO FMサンデースペシャル『LOVE YOUR HEART, LOVE YOUR BODY』では、ハロースマイル実行委員長の小巻亜矢さんと国立成育医療研究センター産婦人科医の三井真理先生が、リスナーから寄せられた質問に答える形で番組を展開しました。
ラジオネーム:まりえさん (岐阜県、20代、会社員、女性)
会社の健康診断で検診を受けましたが、私は恥ずかしながら性交渉の経験がありません。
経験がないから受けなくてもよかったかなと思いますが、経験がなくても検診は受けたほうがよいのでしょうか?
三井先生:子宮頸がんの原因については、ほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こっているのではないかと言われています。このウィルスは主に性交渉によって感染することまではわかっているのですが、これがすべての子宮頸がんの原因に当てはまるわけではありません。他の原因がある場合もあり、必ずしも性交渉の経験のない女性は絶対に子宮頸がんにはならないとは言い切れません。ですので、検診は受けなくてもいいということではないと思います。
小巻:続いて、今年、ハロースマイルの事務局に30代女性のMさんからこんなメッセージが届きました。
先日、会社の健康診断を受けに行き、子宮頸がんの検診も入った検診票を渡されました。
検診を受けようと診察室に入ったところ、私が問診票に“性交経験がない”と記入していたため、「経験ないんですよね?子宮頸がんはどうしてなるかご存知ですか?」と聞かれ、資料みたいなものを渡されて、受けなくてもいいといわれました。
しかし、ネットで検索したら、経験がある、ないに関わらず、受けた方がいいと書いてあるものもあり、こちらのハロースマイルのサイトに辿り着きました。
会社の健康診断は毎年同じところで受けますので、2年後にまた同じように言われるのかなと思い、どうしたらよいのかと、こうして問い合わせをさせていただきました。
会社の方にも、何で受けなかったのかを言うのが非常に恥ずかしかったので、次回はそうならないよう、アドバイスをいただけたらと思います。
よろしくお願い致します。
小巻:Mさん、本当に勇気を持ってこのメッセージを送ってくれたことにありがとうと言いたいと思います。三井先生、いまのメッセージですけれども、残念ながら社会全体がまだまだ、この病気に対しての認識が薄いのかなというような、ちょっと残念な印象も受けますが。
三井:子宮頸がんの原因の9割ほどは、性交渉のときにヒトパピローマウイルスに感染することが関与しているのではないかということまではわかっています。しかし、必ずしも性交渉がきっかけということではありませんし、性交渉がなくても子宮頸がんのリスクは否定できず、また、何かしらの婦人科系の病気になることもあります。そのなかに子宮頸がんも含まれますので、性交渉が無いから子宮頸がんの検診、あるいは婦人科の検診が必要ないということではないので、検診が必要ないということはありません。
ラジオネーム:みちびきエンジェルさん (滋賀県、30代、パートアルバイト、女性)
産婦人科には行ったことがなく、なんとなく怖い気がしていけない日々を過ごしています。
検診はどのような感じで行われるのでしょうか。痛くはないのでしょうか。
三井:子宮頸がんの検診を受けるためには内診台という、産婦人科特有の台に乗っていただく必要があります。その内診台に乗るためには、ショーツもストッキングも全部外していただいて、下半身が全部出た状態で内診台に乗っていただきます。ほとんどの内診台はいま動くようになっているんですけれども、座った形から、寝るような状態に体制が変わっていきます。そのときに足は開いているという状態で、産婦人科医に膣が見えるような状態になります。そこに乗っていただいたうえで、膣の細胞をとったりとか、超音波の検査になります。内診台では、医師と患者さんの間にカーテンがあったり顔が見えないようになっている場合がほとんどです。
小巻:痛みというのは、人によって感じ方が違うので、おそらく、検診そのものはあっという間なんですよね。
三井:そうですね。検診そのものは5分程度で、そんなに時間はかからないと思うんですけれども、やっぱりどなたでも最初の検診は怖いと思うので、最初にひと言産婦人科医に、「今日が生まれて初めての検診なんです」とか、声をかけていただけると、こちらも気をつけて対応できるかなと思います。
ラジオネーム:ハルカリさん(埼玉県、30代、女性)
わたしは妊娠をきっかけに初めて産婦人科に行って、そこで子宮頸がんが見つかりました。無事出産できましたが、いまも定期的に検査しています。子宮頸がんだと言われたときは本当に本当に悲しく、なんでいままで検診にいかなかったんだろうと後悔しました。いまは自分のためにも家族のためにも、自分の健康が第一と思うようになり、家族と過ごす日々を大切に感じています。
三井:日々の中で、妊娠がわかって、初めて産婦人科医に行って、初めて内診台に乗って、初めて子宮頸がんの検査を受けたという方はときどきおられます。妊娠と同時に子宮頸がんの診断がつく方もなかにはおられますので、そうなりますとハルカリさんもおっしゃっていましたが、妊娠を継続しながら、自分の命と向き合って、いくつかのことを乗り越えていくというのは、決して簡単なことではないんですね。ハルカリさんの場合は無事に出産までいたることができて、本当に良かったと思うんですけれども、妊娠をきっかけにというよりは、もっと前に自分の体を確認しておく、本当に自分と自分の未来のために、ぜひ検診を受けていただけたらと思います。