- 2022.04.24
ダンゴ虫は外来種!?今、植物に起きていること_森林ジャーナリストの田中淳夫さん_4

森林ジャーナリスト・田中淳夫さんの新刊本「虚構の森」。
この本では私たちが当たり前だと思っていることが、実は真実とは限らないということを、
森や自然に関するデータや研究結果とともに紹介しています。
本当にいろいろ「え?そうなの?」ということがたくさん挙げられているんですが、
なかでもびっくりしたのがコレ。「ダンゴムシは・・・外来種である」。
ほんとに?と思った方、このあと詳しく田中さんに教えていただきます。
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高橋:ダンゴムシも外来種とかあるんですか?
田中:ほとんど本来の名前は
オカダンゴムシという外来種です。
明治時代にヨーロッパから入ってきたんですね。
それまで日本にはいなかった種類です。
日本にはもともと在来のダンゴムシはいるんですが
山奥にしかいなかった。広く世間にはいなかったんですね。
ところがオカダンゴムシは街に住みたがる、
適応できるので身の回りのダンゴムシをみんなオカダンゴムシですね
高橋:ヨーロッパからなぜやってきたんですか?
田中:貨物に入っていたという話ですね。
気がついたら増えていたから何から入ってきたか
わからないんですけどね。
はっきりは言えないけどどうもコンクリートが好きという話がありましたね。
高橋:そういうところにいるイメージがありますよね
田中:コンクリートは石灰岩から作るのでカルシウムが多いです。
そのカルシウムを好むんじゃないかという声もありますけどね。
高橋:ダンゴムシって土壌をつくりますか?
田中:というか、腐葉土を食べたりするんですね。
それでフンをするわけですからそれによって
土壌を作るということは言えますね。
高橋:ということはダンゴムシは外来種ですが悪くない?
田中:もちろん農作物も食べるから
そういう意味では害虫かもしれないんだけども
同時に土壌を豊かにする面もあるわけですよね。
外来種はすべて敵というわけではなくて
役に立つものもあるということですね。
ダンゴムシだけじゃなくていろんな虫がいることによって
土壌が作られるわけですから、
オカダンゴムシはよそ者だからと取り除く必要は無いわけですね。
高橋:ここまでお話を聞いていると外来種とひとくくりにしがちですが、外来種と日本の在来種の線引きは難しいですか?
田中:歴史的に見て人間が持ち込んだものが
外来種というおおざっぱな定義はあるが、
じゃあ遣唐使が持ち込んだのはどうなのか、
というのがありますよね。
日本人が今食べている野菜類は全て外から持ってきています。
白菜もキャベツもほとんどそうですよね。
日本古来の野菜なんてほとんどないですよね。
これは農作物として適応しているわけだし、
外来種が入ってきても在来種と喧嘩せずに共存しているのだったら
それはだんだんいつかは馴染んでくるんではないかという気がしますね。
逆にアメリカザリガニはわからないが、
ブラックバスとかが入ると在来の魚を全部食べてしまって
ブラックバス一色になってしまうということになる。
これは生物多様性もなくなりますし、
それまでのものが絶滅してしまうのだから問題ですよね。
いかに共存するかということを考えて、
外から入ってきたものが全て悪いと言ってしまうと
食べるものがなくなってしまうと言うことになりますよね。
高橋:外来種といっても持ってきたのは我々ですから。いかに共存するか?
田中:うまく日本の自然にゆっくり馴染んでくれたら
いいのですが急激に増えてしまうと
どうしても在来種を追い払ってしまう部分がありますのでね。
高橋:一方すごく気になるのが、人間社会だけじゃなくて植物にもパンデミックが起きている?
田中:最近わかったのは漆の木。
国産漆が足りないので植林しているんですが
植えても植えても枯れてしまう現象があって
何故かと調べたらある種の病原菌が見つかったんですね。
ファイトフトラ・シナモミ。
これが原因で、これを退治すれば良いと思っていたら、
同じ病原菌が世界中に広がっていることがわかったんですね。
欧米でもナラを枯らしたりあちこちでそういう現象が起きている。
なぜこんなに広がったのかと考えたら、
もともと熱帯の土にいる菌なんですが、
それがなぜかヨーロッパにも日本にも広がっているのは
おかしいと思って調べると、
土の移動が結構激しかったことがわかったんですね。
土なんか輸入しないと思っていたら実は結構しているんです。
わかりやすく言えば、
園芸店とかホームセンターで腐葉土が売っていますよね。
あれよく読んでもらうと原材料が東南アジアになっています。
インドネシアとかネパールとか。
海外の土を持ってきているんですね。
有機肥料なんかもそうですね。
有機肥料は海外のものが多いんです。
その中にもし菌が混ざっていて日本に持ち込んだら
日本に広がっていると言うことになりますよね。
あんまり植物の病気だからピンとこないんですけど
でも知らないうちに結構そういう
病原菌が広がっている可能性はありますね。
それをパンデミックというかもしれない
高橋:漆に限ってなんですか?
田中:ヨーロッパでは楢の木を枯らすとか、
あちこちのものが枯れています。
高橋:最近のことなんですか?
田中:そもそも調査がそんなにしていなかったので
最近わかってきたという。
その菌が病原菌となってというのが
結構世界中にあることがわかってきたんですね。
高橋:もしかすると世界中に広がっていて?
田中:この後どんどん枯れていくのかあるいは
植物のほうも耐性、免疫を持つのかわからないですね。
まさか世界中の植物にワクチンを打つわけにはいかないですから
植物の方が生き残れるかどうか淘汰される時代かもしれないですね。
高橋:本来私たちの手が届かなくて良いところに手を入れてしまうと人間だけでなくいろんなことが起きちゃうんですね?
田中:しかも人間はどんどん移動しますからね、
人間がその場所でその病気になるだけならいいが、
母国に帰って広めてしまうということが
今起きているわけですよね。
同じことが植物でも広がっているかもしれないですよね。
高橋:しかも発見されたのが最近で、もしかしたらどんどん枯れてしまうかもというのはすごく恐ろしいですね
田中:今のところそんなにたくさんの種類ではなく
いくつかの種類が枯れているんですが、
農作物にもし広がったらどうなるんだろうというのがありますよね。。
高橋:環境問題は複雑に絡み合った自然の中で起きることだというのがよくわかったんですが、そういうことを考えるときに大事なのが「虚構の森」ですね!
田中:何も全部嘘と言うのではなくて異論もあるよと。
世界のいろんな研究を見ていると、
全く違う見方も研究結果として出ていると言うことを紹介しています。
これを読んで今の常識と異論頭を突き合わせて
どっちが本当はいいんだろうと言うことを
考えてほしいと思って描きました。

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高橋: 4週に渡って、森林ジャーナリスト 田中淳夫のインタビューお聴きいただきました。

田中さんが発表した新刊『虚構の森』。この本を番組お聴きの方の中から3名様にプレゼントします。
欲しい方は、番組HPのメッセージフォームから「田中さんの本・希望」と
書いてメッセージをお寄せください。
(※当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。)
【今週の番組内でのオンエア曲】
・SAKURAドロップス/宇多田ヒカル
・We Are Here/アリシア・キーズ