- 2022.04.03
林業や環境問題をめぐる「不都合な真実」_森林ジャーナリストの田中淳夫さん_1
最近、よく耳にする「SDGs」
この番組で触れる機会も多いですが、それらの情報が全て本当なのかというと、
実は疑ってかからないといけないこともあるようです。
今週のゲストは森林ジャーナリストの田中淳夫さん、3度目のご出演となります。
林業や環境問題をめぐる「不都合な真実」を
ジャーナリストの視点で解説していただきます。

>>>>>>>>>>>>>>
高橋:まずは環境問題をめぐって最近注目になっている言葉
「グリーンライ」「グリーンウォッシング」という言葉ですが?
田中:この場合のグリーンは環境ですよね。
環境に関するうそ、環境に良いと思わせる洗脳ですね。
どちらかと言うと本当は全然環境に良くないことを
環境に良いと嘘をつくと言う意味ですね。
高橋:例えばわかりやすいものだと?
田中:最近植物性油脂のヤシの実洗剤が
環境に良いと言っていますが、それを取るために
原生林を切り開いて植えているわけだから、
むしろ自然破壊だと言う面もあるわけですね。
特に、アブラヤシと言う樹木は何十万ヘクタールと言う面積の
熱帯雨林を切り開いて植えているんですね。
プランテーションを作ってやっているので
相当な面積の熱帯雨林が破壊されていることになるから、
環境破壊なのに、植物性だから環境に優しいと
思わせてしまうと言う所ですね。
高橋: 今東京都民の間で注目されているのが、
神宮外苑の再開発に伴う1000本の樹木が伐採される計画。
署名活動や反対の声も上がっているが、見解は?
田中:神宮外苑の計画が正しいのか
おかしいのか判断しかねるが、
この手の時に言われるのが大木は老木だから
二酸化炭素を吸収しないので切って若い苗を植えたら
成長するので二酸化炭素を吸収してくれるから、
大木を切って若い木に植え替えるのは環境に良いことだと、
街路樹だけじゃなく林業でもそうですし、
大木を切るときの言い訳みたいに使われている。
でも普通に考えたらわかるが大木はあの大きさ。
それが吸収している炭素の量と小さな若い木で植え替えたばかりのものでは
比べ物にならない。ただひとこと言っておくと
大木は基本的に老木でだんだん寿命がつきつつあるわけですね。
樹齢500年だったらそろそろ枯れてもおかしくない歳。
だんだん弱ってきて病気になることもあるし、
台風で枝が折れたりすることもある中で、
何が何でも残そうと言うのも不自然ではないかと思う。
自然の中で枯れていく木は普通に枯れていくのに、
一生懸命生かそうといろいろ努力される方がいるが、
そこまでするものから、自然に寿命が尽きたものは
そのまま見ていくのが1つの考え方じゃないかと思っています。
高橋:リテラシがついて老木はしょうがないと
意識が芽生えると良いかもしれない?
田中:丁寧な説明が必要です。
この太い木を切らなかったらいつか倒れて
大損害が出るかもしれないと説明をしっかりした上で
納得の上で切るべきで、議会で計画が決まったから
地元の意見も聞かずに切ってしまうとなると騒動が起こると思う。
高橋:一方で、街路樹は想像以上に生き物のオアシスになっていると言う調査結果も?
田中:街路樹は木が点々と生えているだけで
あまり自然としては大した事ないと思いがちだが、
実際そういう研究をされた大学教授もいらっしゃって、
意外と木を伝って野鳥が渡っていたり、昆虫もいるし、
動物や生物が結構多様だということがわかってきている。
木の列があることによって夏だったら気温が下がる。
ヒートアイランド現象を緩和する役割も果たしていたり
そういう研究はあちこちに出てきていて、
捨てたものじゃないと言う感じがしますね
高橋:街路樹だけを見ると森には見えないしスカスカに見えるが、動物にとっては?
田中:回廊みたいなもの。
それを伝わって次の大きな公園から次の公園に移ることもできるし、
人間の目に見える緑と言うだけではなく生物多様性にも
結構役に立っている気がします。
高橋:家の庭、ちょっとした樹木を植えることって鳥や動物の休む場所になる?
田中:あり得ます。
ベランダすべてを森にしろとは言わないが
1本そういう木を植えてみるのも手かもしれない

高橋:ここ最近の森や環境をめぐる話題の中で、注目している事は?
田中:林業の話だが、日本の場合は森づくりは、
そこに生えている木をすべて切っていちから全部植える。
皆伐して一斉に植える、造林する植樹する
パターンだったが、これだと森がなくなってしまう。
環境に良くないと言う声が広がってきていてでも
最近は木を切るときは抜き切りをする。
全部切るんじゃなくてすこし間を抜いていく。
その間に抜けたところに次の木が育つようにする。
それが育ってきたら残しておいた木を切る、恒続林。
そういう考え方がヨーロッパで始まって、
ヨーロッパで広がってきているんですが、
それが日本にも入ってきて少しずつ挑戦する方も現れたり。
期待をしているのは奈良県の林業としては、
これから恒続林を目指すと宣言したんですね。
そのための人材育成も始めているんですね。
フォレストアカデミーと言う学校を作って
恒続林の林業をできるような人材を育てようと言うことで、
卒業した人があちこちに赴任して、
これから挑戦していくことになるのかなと思っている。
高橋:林業に携わる方にとってはメリットはなんですか?
田中:手間がかかるのでデメリットなのかもしれませんが、
森がなくならなければそこに豊かな環境が
残って生物多様性も保てるし、持続的な木材生産ができる。
日本の場合は杉とかヒノキとかわずかな樹種しかないが、
恒続林と言う考え方ではいかに多様な木を植えるかというのがテーマなんですね。
しかも広葉樹も針葉樹も混ぜて植える。
田中:あくまで林業ですから広葉樹であっても
育ったら木材として使う。
じゅんじゅんに使うようにしていこうと言う事ですね。
高橋:本当に日本の森って高速道路を走ってると杉林が多いじゃないですか。それがもしその考えが浸透すると、こんもりした、いろんな樹木が生えた森になる可能性もありますね
田中:見た目は天然林と変わらなくなってきますよね。
いろんな木が混ざって生えているわけだから。
しかも樹齢もみんな混ざっている。
若い木も高樹齢もある森づくりと言う事ですね。
高橋:やっぱりいろんな木が混ざると?
田中:災害に強くなると言う事ですね。
いろいろ混ざっていた方が風水害にも強いし、
病気にも強いし、そういう点からも災害が多い時代には
こういう路線もあるんじゃないかなと思うんですけどね。
>>>>>>>>>>>>>>
高橋: 森林ジャーナリスト 田中淳夫のインタビューお聴きいただきました。
来週も引き続き田中敦夫さんのインタビューお届けしました。
田中さんは本を出したばかりです。

『虚構の森』。新泉社から出ているこの本は、
環境問題をめぐる常識、誰もがそうだと思っている情報が
実は必ずしも正しいとは限らない・・・そんな事例が数多く書かれています。
そして今回、この本を番組お聴きの方の中から3名様にプレゼントします。
欲しい方は、番組HPのメッセージフォームから「田中さんの本・希望」と
書いてメッセージをお寄せください。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・High And Dry / Jamie Cullum
・祈れ呪うな / キリンジ
この番組で触れる機会も多いですが、それらの情報が全て本当なのかというと、
実は疑ってかからないといけないこともあるようです。
今週のゲストは森林ジャーナリストの田中淳夫さん、3度目のご出演となります。
林業や環境問題をめぐる「不都合な真実」を
ジャーナリストの視点で解説していただきます。

>>>>>>>>>>>>>>
高橋:まずは環境問題をめぐって最近注目になっている言葉
「グリーンライ」「グリーンウォッシング」という言葉ですが?
田中:この場合のグリーンは環境ですよね。
環境に関するうそ、環境に良いと思わせる洗脳ですね。
どちらかと言うと本当は全然環境に良くないことを
環境に良いと嘘をつくと言う意味ですね。
高橋:例えばわかりやすいものだと?
田中:最近植物性油脂のヤシの実洗剤が
環境に良いと言っていますが、それを取るために
原生林を切り開いて植えているわけだから、
むしろ自然破壊だと言う面もあるわけですね。
特に、アブラヤシと言う樹木は何十万ヘクタールと言う面積の
熱帯雨林を切り開いて植えているんですね。
プランテーションを作ってやっているので
相当な面積の熱帯雨林が破壊されていることになるから、
環境破壊なのに、植物性だから環境に優しいと
思わせてしまうと言う所ですね。
高橋: 今東京都民の間で注目されているのが、
神宮外苑の再開発に伴う1000本の樹木が伐採される計画。
署名活動や反対の声も上がっているが、見解は?
田中:神宮外苑の計画が正しいのか
おかしいのか判断しかねるが、
この手の時に言われるのが大木は老木だから
二酸化炭素を吸収しないので切って若い苗を植えたら
成長するので二酸化炭素を吸収してくれるから、
大木を切って若い木に植え替えるのは環境に良いことだと、
街路樹だけじゃなく林業でもそうですし、
大木を切るときの言い訳みたいに使われている。
でも普通に考えたらわかるが大木はあの大きさ。
それが吸収している炭素の量と小さな若い木で植え替えたばかりのものでは
比べ物にならない。ただひとこと言っておくと
大木は基本的に老木でだんだん寿命がつきつつあるわけですね。
樹齢500年だったらそろそろ枯れてもおかしくない歳。
だんだん弱ってきて病気になることもあるし、
台風で枝が折れたりすることもある中で、
何が何でも残そうと言うのも不自然ではないかと思う。
自然の中で枯れていく木は普通に枯れていくのに、
一生懸命生かそうといろいろ努力される方がいるが、
そこまでするものから、自然に寿命が尽きたものは
そのまま見ていくのが1つの考え方じゃないかと思っています。
高橋:リテラシがついて老木はしょうがないと
意識が芽生えると良いかもしれない?
田中:丁寧な説明が必要です。
この太い木を切らなかったらいつか倒れて
大損害が出るかもしれないと説明をしっかりした上で
納得の上で切るべきで、議会で計画が決まったから
地元の意見も聞かずに切ってしまうとなると騒動が起こると思う。
高橋:一方で、街路樹は想像以上に生き物のオアシスになっていると言う調査結果も?
田中:街路樹は木が点々と生えているだけで
あまり自然としては大した事ないと思いがちだが、
実際そういう研究をされた大学教授もいらっしゃって、
意外と木を伝って野鳥が渡っていたり、昆虫もいるし、
動物や生物が結構多様だということがわかってきている。
木の列があることによって夏だったら気温が下がる。
ヒートアイランド現象を緩和する役割も果たしていたり
そういう研究はあちこちに出てきていて、
捨てたものじゃないと言う感じがしますね
高橋:街路樹だけを見ると森には見えないしスカスカに見えるが、動物にとっては?
田中:回廊みたいなもの。
それを伝わって次の大きな公園から次の公園に移ることもできるし、
人間の目に見える緑と言うだけではなく生物多様性にも
結構役に立っている気がします。
高橋:家の庭、ちょっとした樹木を植えることって鳥や動物の休む場所になる?
田中:あり得ます。
ベランダすべてを森にしろとは言わないが
1本そういう木を植えてみるのも手かもしれない

高橋:ここ最近の森や環境をめぐる話題の中で、注目している事は?
田中:林業の話だが、日本の場合は森づくりは、
そこに生えている木をすべて切っていちから全部植える。
皆伐して一斉に植える、造林する植樹する
パターンだったが、これだと森がなくなってしまう。
環境に良くないと言う声が広がってきていてでも
最近は木を切るときは抜き切りをする。
全部切るんじゃなくてすこし間を抜いていく。
その間に抜けたところに次の木が育つようにする。
それが育ってきたら残しておいた木を切る、恒続林。
そういう考え方がヨーロッパで始まって、
ヨーロッパで広がってきているんですが、
それが日本にも入ってきて少しずつ挑戦する方も現れたり。
期待をしているのは奈良県の林業としては、
これから恒続林を目指すと宣言したんですね。
そのための人材育成も始めているんですね。
フォレストアカデミーと言う学校を作って
恒続林の林業をできるような人材を育てようと言うことで、
卒業した人があちこちに赴任して、
これから挑戦していくことになるのかなと思っている。
高橋:林業に携わる方にとってはメリットはなんですか?
田中:手間がかかるのでデメリットなのかもしれませんが、
森がなくならなければそこに豊かな環境が
残って生物多様性も保てるし、持続的な木材生産ができる。
日本の場合は杉とかヒノキとかわずかな樹種しかないが、
恒続林と言う考え方ではいかに多様な木を植えるかというのがテーマなんですね。
しかも広葉樹も針葉樹も混ぜて植える。
田中:あくまで林業ですから広葉樹であっても
育ったら木材として使う。
じゅんじゅんに使うようにしていこうと言う事ですね。
高橋:本当に日本の森って高速道路を走ってると杉林が多いじゃないですか。それがもしその考えが浸透すると、こんもりした、いろんな樹木が生えた森になる可能性もありますね
田中:見た目は天然林と変わらなくなってきますよね。
いろんな木が混ざって生えているわけだから。
しかも樹齢もみんな混ざっている。
若い木も高樹齢もある森づくりと言う事ですね。
高橋:やっぱりいろんな木が混ざると?
田中:災害に強くなると言う事ですね。
いろいろ混ざっていた方が風水害にも強いし、
病気にも強いし、そういう点からも災害が多い時代には
こういう路線もあるんじゃないかなと思うんですけどね。
>>>>>>>>>>>>>>
高橋: 森林ジャーナリスト 田中淳夫のインタビューお聴きいただきました。
来週も引き続き田中敦夫さんのインタビューお届けしました。
田中さんは本を出したばかりです。

『虚構の森』。新泉社から出ているこの本は、
環境問題をめぐる常識、誰もがそうだと思っている情報が
実は必ずしも正しいとは限らない・・・そんな事例が数多く書かれています。
そして今回、この本を番組お聴きの方の中から3名様にプレゼントします。
欲しい方は、番組HPのメッセージフォームから「田中さんの本・希望」と
書いてメッセージをお寄せください。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・High And Dry / Jamie Cullum
・祈れ呪うな / キリンジ