- 2017.02.26
森林ジャーナリスト 田中淳夫さんインタビュー3
今週も先週に引き続き、『森林ジャーナリスト』の田中淳夫さんのインタビューです。
森と人との関係をテーマに取材、執筆活動を続けている田中さん。今日は、森の「いやし効果」をめぐる、ある活動についてジャーナリストとしての視点でお話いただきます。

~「森は怪しいワンダーランド」のなかで、森林セラピーのことについてもお話されていますね。
私は仕事も含め、個人的にも森歩きはしょっちゅうしています。森を歩くとやっぱり気持ちいいんですよ。仕事で行き詰まっていても、森を歩くとすきっとして、新しいアイデアが浮かんだりとか、体も肩こりが治ったり。だから、森を歩くことの効用はものすごく感じています。もともとはそれは「森林浴」といわれていたのですが、それをもっと科学的に調べてみようという人がいまして、実際に調べてみると、森を歩くと血圧が下がるとか、脳波がおだやかになるとか、そういう効果があるんだということがわかってきました。それが森林療法と呼ばれるようになったんですが、それに目をつけて始まったのが森林セラピーなんですね。言葉は似てますが、これは地域づくり、まちおこしなんです。つまり、「森を歩くと健康になれる」といって人を呼ぼうっていう、一種の観光のメニューなんですね。ですから、森林セラピー基地などが設けられているんですが、それはなんとか客に来て欲しいということでやっているので、「健康になりたい」ということと微妙にずれがあるんじゃないかなと思いますね。だから、本当は一人、二人で歩くのがいいのに、何十人がぞろぞろ歩くイベントとしてやってしまったりとか、ガイドの資格制度がつくられて、免許をとらないといけないようになってしまったり、いろいろなことがあって、本来の思いと現在の実際の内容がだいぶおかしくなっているんじゃないかなということを感じています。
~でも勉強することは意味ありますよね?
はいそうですね。内容は悪いことは書いていませんしね。もっと昔から「森林インストラクター」というものもあります。それはまさに森林の知識をつけて、他の人に森を案内するインストラクターです。それはそれでまたいい勉強になるんじゃないかなと思います。
~森林を気持ちよく歩くためにこんな歩き方がいいというのはありますか?
森林セラピー基地でも見かけるのですが、登山になってしまっている人もいるんですよね。最後まで歩くぞ!っていってせっせと歩いている方もいらっしゃいます。それはちょっと違うんじゃないかなと思います。歩く過程に意味があるので、そんなに速度も上げなくてもいいですし、立ち止まるということも必要なんですね。たとえば、大きな木の下に座り込むとか、それも森林セラピーの一種になりますしね。ゆったりと周りの自然を感じながら歩くのが、森林セラピー、森林療法の効果なんじゃないかと思います。
~田中さんご自身、プライベートでも森に接してますか?
私が住んでいるのは奈良県の生駒市で、大阪と奈良県の間にある生駒山の山麓なんですね。家のすぐとなりが山の始まりで、原稿が煮詰まると森に入って歩きまわるのは、日課みたいなものです。いわゆる里山で、道もたくさんハイキングコースみたいなのがあるんですが、ここに谷があるから、ちょっと下りてみようと行ってしまったり、そういうふうに知らないところを探して行ってしまう感じですよね。
~本の中で、谷に落ちたっていう話がありましたよね。
低い山だし、そんなにでこぼも無いから、道がなくても森を突っ切ったら次の街に出るだろうと気軽に入っていったんですよね。そうしたら、大した高低差は無いと思ってたら、森のなかには3~5mの崖があって、そこに川が流れていたり、狭い地域なのに以外なほど知られていない場所があって、そこを進んでいたらずるずると落ちてしまって痛い目にあったりしています。100m行けば住宅地が拡がっていて、そこに小学校があって、校内放送が聞こえているんですよ。そこで転んで遭難しかけてたんです。そういう意味では怖いですよ。そこで足を痛めて歩けなくなっていたら、それは本当に危ないですよね。
~その里山は、田中さんご自身なにか活用されていますか?
生駒山のごく一部なんですが、うちで持っている部分があるんですね。そこが雑木林でそこで遊んでいるんです。あまりにも茂ってたら切り開いたり、また植えてみたりとか。デッキを築いたり、一時はツリーハウスづくりもやっていたんですけどね。そういうちょっとした遊びも森と遊ぶ醍醐味みたいなものですよね。これからの季節はタケノコが出てくるんです。これも竹が増えするという問題はあるんですけど、わたしはタケノコを掘るのをいちばんの楽しみにしています。
~最後に、森林ジャーナリストとして、これからどんなことを伝えていきたいと思っていらっしゃいますか?
やはり、森の本当の姿を知ってほしいという気持ちはあります。一時期は、森のことをみんなに伝えようと思ってると、どうしても自然科学的に論じてしまうことがあって、小難しくなっちゃうんですよね。でも、今回書いた本のように、科学的な面もあるけれども、一方で精霊の話のような、不思議な世界もある。その両面があるのが森だと思うんですね。どっちも知っていただくと、本当の森のおもしろさがわかる。森のことを知らないと、森を破壊してもなんとも思わないんですね。森のことを知っていると、たとえばそこを開発するために伐採してしまおうというときに、「ちょっと待てよ」っていう気持ちになるんじゃないかと思うんです。ぜひ正しい姿を知って、楽しんでいただきたい。森と人とのつきあい方をぜひみなさんで考えていただきたいなと思っています。
森林ジャーナリスト田中淳夫さんのお話しを3回にわたってお届けしましたがいかがでしたでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください。
田中淳夫さんの本「森は怪しいワンダーランド」のプレゼントへのたくさんのご応募ありがとうございました。当選は発送を持って代えさせていただきます。たのしみに待っていてくださいね!

「森は怪しいワンダーランド」新泉社 田中淳夫著
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Dirty Work / Austin Mahone
・かわいいひと / チャットモンチー
森と人との関係をテーマに取材、執筆活動を続けている田中さん。今日は、森の「いやし効果」をめぐる、ある活動についてジャーナリストとしての視点でお話いただきます。

~「森は怪しいワンダーランド」のなかで、森林セラピーのことについてもお話されていますね。
私は仕事も含め、個人的にも森歩きはしょっちゅうしています。森を歩くとやっぱり気持ちいいんですよ。仕事で行き詰まっていても、森を歩くとすきっとして、新しいアイデアが浮かんだりとか、体も肩こりが治ったり。だから、森を歩くことの効用はものすごく感じています。もともとはそれは「森林浴」といわれていたのですが、それをもっと科学的に調べてみようという人がいまして、実際に調べてみると、森を歩くと血圧が下がるとか、脳波がおだやかになるとか、そういう効果があるんだということがわかってきました。それが森林療法と呼ばれるようになったんですが、それに目をつけて始まったのが森林セラピーなんですね。言葉は似てますが、これは地域づくり、まちおこしなんです。つまり、「森を歩くと健康になれる」といって人を呼ぼうっていう、一種の観光のメニューなんですね。ですから、森林セラピー基地などが設けられているんですが、それはなんとか客に来て欲しいということでやっているので、「健康になりたい」ということと微妙にずれがあるんじゃないかなと思いますね。だから、本当は一人、二人で歩くのがいいのに、何十人がぞろぞろ歩くイベントとしてやってしまったりとか、ガイドの資格制度がつくられて、免許をとらないといけないようになってしまったり、いろいろなことがあって、本来の思いと現在の実際の内容がだいぶおかしくなっているんじゃないかなということを感じています。
~でも勉強することは意味ありますよね?
はいそうですね。内容は悪いことは書いていませんしね。もっと昔から「森林インストラクター」というものもあります。それはまさに森林の知識をつけて、他の人に森を案内するインストラクターです。それはそれでまたいい勉強になるんじゃないかなと思います。
~森林を気持ちよく歩くためにこんな歩き方がいいというのはありますか?
森林セラピー基地でも見かけるのですが、登山になってしまっている人もいるんですよね。最後まで歩くぞ!っていってせっせと歩いている方もいらっしゃいます。それはちょっと違うんじゃないかなと思います。歩く過程に意味があるので、そんなに速度も上げなくてもいいですし、立ち止まるということも必要なんですね。たとえば、大きな木の下に座り込むとか、それも森林セラピーの一種になりますしね。ゆったりと周りの自然を感じながら歩くのが、森林セラピー、森林療法の効果なんじゃないかと思います。
~田中さんご自身、プライベートでも森に接してますか?
私が住んでいるのは奈良県の生駒市で、大阪と奈良県の間にある生駒山の山麓なんですね。家のすぐとなりが山の始まりで、原稿が煮詰まると森に入って歩きまわるのは、日課みたいなものです。いわゆる里山で、道もたくさんハイキングコースみたいなのがあるんですが、ここに谷があるから、ちょっと下りてみようと行ってしまったり、そういうふうに知らないところを探して行ってしまう感じですよね。
~本の中で、谷に落ちたっていう話がありましたよね。
低い山だし、そんなにでこぼも無いから、道がなくても森を突っ切ったら次の街に出るだろうと気軽に入っていったんですよね。そうしたら、大した高低差は無いと思ってたら、森のなかには3~5mの崖があって、そこに川が流れていたり、狭い地域なのに以外なほど知られていない場所があって、そこを進んでいたらずるずると落ちてしまって痛い目にあったりしています。100m行けば住宅地が拡がっていて、そこに小学校があって、校内放送が聞こえているんですよ。そこで転んで遭難しかけてたんです。そういう意味では怖いですよ。そこで足を痛めて歩けなくなっていたら、それは本当に危ないですよね。
~その里山は、田中さんご自身なにか活用されていますか?
生駒山のごく一部なんですが、うちで持っている部分があるんですね。そこが雑木林でそこで遊んでいるんです。あまりにも茂ってたら切り開いたり、また植えてみたりとか。デッキを築いたり、一時はツリーハウスづくりもやっていたんですけどね。そういうちょっとした遊びも森と遊ぶ醍醐味みたいなものですよね。これからの季節はタケノコが出てくるんです。これも竹が増えするという問題はあるんですけど、わたしはタケノコを掘るのをいちばんの楽しみにしています。
~最後に、森林ジャーナリストとして、これからどんなことを伝えていきたいと思っていらっしゃいますか?
やはり、森の本当の姿を知ってほしいという気持ちはあります。一時期は、森のことをみんなに伝えようと思ってると、どうしても自然科学的に論じてしまうことがあって、小難しくなっちゃうんですよね。でも、今回書いた本のように、科学的な面もあるけれども、一方で精霊の話のような、不思議な世界もある。その両面があるのが森だと思うんですね。どっちも知っていただくと、本当の森のおもしろさがわかる。森のことを知らないと、森を破壊してもなんとも思わないんですね。森のことを知っていると、たとえばそこを開発するために伐採してしまおうというときに、「ちょっと待てよ」っていう気持ちになるんじゃないかと思うんです。ぜひ正しい姿を知って、楽しんでいただきたい。森と人とのつきあい方をぜひみなさんで考えていただきたいなと思っています。
森林ジャーナリスト田中淳夫さんのお話しを3回にわたってお届けしましたがいかがでしたでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください。
田中淳夫さんの本「森は怪しいワンダーランド」のプレゼントへのたくさんのご応募ありがとうございました。当選は発送を持って代えさせていただきます。たのしみに待っていてくださいね!

「森は怪しいワンダーランド」新泉社 田中淳夫著
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Dirty Work / Austin Mahone
・かわいいひと / チャットモンチー