- 2014.12.28
日本全国スギダラケ倶楽部1
きょうは、日本全国スギダラケ倶楽部 という、日本全国に活動を広げ続ける、ちょっと変わった団体をご紹介します。
名前を聴いただけではなんのことやら分からない「日本全国スギダラケ倶楽部」、実は日本全国に1800人のメンバーがいて日々、なにやら活動を続けているらしいんです・・・

というわけでお話を伺ったのは、日本全国スギダラケ倶楽部の中心人物、若杉浩一さん。
若杉さんは、オフィス家具などで知られる株式会社内田洋行の、関連会社のデザイナー。オフィスのIT関連など様々なデザインを手掛ける方です。
ですから元々、杉を使った家具とは、あまり関係ないお仕事をしています。それが、どうして杉に興味を持ち、スギダラケ倶楽部なんて不思議な団体を立ち上げたんでしょうか。
◆日本全国スギダラケ倶楽部をはじめたきっかけ
僕は熊本県の天草の出身なんですが、故郷には山があって杉があって、僕の親父もそうですが、その山の恵みで将来はなんとか生活ができるんじゃないかと、夢と希望を持って植林したり手入れしたりしていたんです。
僕は東京に出てきてプロダクトデザインの仕事をするようになったわけですが、企業が生きるためのデザインはあるんですが、地域のためのデザインとか地方のためのデザイン、特に林業のためのデザインなんてこれぽっちもなくて、自分の故郷はどんどん廃れていくっていう現象がありました。つまり物を売るためのデザインが進化すればするほど、我が故郷は衰退していくと感じたんです。
故郷には杉が植林されていたわけですが、林業がどんどん廃れていって国産材が使われなくなってるっていう現状を知ったときに、それがこの日本の今の産業の状況とか、社会の状況とか地域の状況を代表している1つじゃないかって気がしました。
そこで、色んな地域の山にたくさんあるこの杉という財産を厄介者にするか、未来の資源にするかは僕たちの手にかかっているのだから、なんとか社会で使えるものにするデザインができるんじゃないかっていうようなことを思い立って、僕の仲間のデザイナーと居酒屋で突然「やろうじゃないか」「おー!」なんて思ってしまったっていうのが始まりなんですよ。
かつては、木材需要の高まりを受けて杉の植林が盛んに行われていましたが、その後杉に代わる建築材や、安い輸入材が登場。植えられた杉のほうがコストがかかるようになり、日本の杉は使われなくなったんですね。
そんな中、若杉さんとデザイナー仲間の方々が最初は「居酒屋で思いついた」という、日本全国スギダラケ倶楽部、ずいぶん軽いノリで立ち上がったこの団体は設立から10年を経て、今や全国16支部・会員数1800人! さらにその勢力を広げています。
どうして、こんなに人が集まるのでしょう。
◆日本全国スギダラケ倶楽部の活動の広がり
国産の杉材って高いんじゃないの?って言われてますけども、実はすごく安いんですよ。例えば1.5mくらいの角材は1本2000円もしない。だからなんか計算してみると野菜より安いんじゃないかって思うくらいの安さですよ。1本育てるのに50年くらいかかりますからね。大根だったら1年もかからないでしょ?だから50年もかかって2000円いかないなんて、これ大根以下ですよね。
そのくらいの値段なのになぜか高いと言われているということを考えたときに、その1本の角材が、例えばデザインによって素敵な椅子に変わったとしたら、なにか新しい価値が生まれるんじゃないかと思って、たくさん家具をデザインしてみたんですよ。それがなかなか評判が良くて結構売れたんですよね。展示会で売ったりしたんですけど。
ところが買ってくれる人は素敵っていってくれるんですけども、これを企業に持って行って製品にしようとすると、クレームになるので製品にならないということなんですよね。木は色も違いますし、やわらかいので傷が入ったりもするし、ときどき割れたりする。それでこれは商品にならないっていうことなんですよ。工業製品は割れたり、色が違ったりしませんよね。それが大原則じゃないですか。だから売れない、製品にならないっていう矛盾があることわかりました。
だったらそういうものを売れるように、色んな地域に行って仲間を作っていこうじゃないかっていうのがスギダラクラブの人が増えていった始まりなのかもしれませんね。
とにかくまずは日本中のスギの産地回ろうと考え、秋田に行ったり、吉野に行ったり宮崎に行ったり、とにかく行こうっていうことでみんなで何人かで行くわけです。そうすると、日本全国スギダラケクラブって意味不明な、なんかあやしい名前じゃないですか。だから最初はむこうもちょっと引いた感じなんですけれども、一緒にお酒を飲んだり、懇親会をやって、場合によっては荒れた山の整備なんかをお手伝いしたりとかということから始まって、だんだん仲良くなっていきました。そうすると色々なお願いごと困りごとが地域にはあるもんですから、じゃあ町づくりのお手伝いしようかとか、その地域が困っていることを僕たちがお手伝いするっていうことから活動が広がっていきました。
こういう活動、若杉さんは「仕事として」やっているわけではありません。週末を利用して、手弁当で、いわば「部活動」の感覚で続けているそうなんです。
そして、こうした活動が実を結んだ一つの例があります。それが、宮崎県北方町上崎地区。この小さな集落で、2006年に作られた「上崎橋」という橋にまつわるエピソードです。
◆自分たちが作ったものを愛していくという物語
例えばある村に念願だった橋が掛かるとします。だけどそれが土木工事として突然出来上がるのもおもしろくない。そこで、その地域の人たちと行政と一緒になって、その橋が作られていくっていうプロセスを作ろうじゃないかっていうようなことで、自分たちの地元の山の木をみんなで切って、村の人たちと県の人たちとスギダラケクラブのメンバーと三つ巴になって橋の手すりを、木を使って取りつけてみんなでお祝いするみたいなことをします。やっぱり自分たちが作って、愛すべき素材の中に杉があって、小学生の子供たちからおじいちゃんまで一緒になって取りつけたんだよっていう物語をつくるんです。それによってこの上崎橋の下に住民たちが花を植えて、春には菜の花、秋にはコスモスが咲くようになり、そこが観光地になってきたんですよ。
何もなかった村が、自分たちがまちづくりに参加することによって、今度は人を呼ぼうとコスモスを植えたり菜の花を植えたり、そこでイベントを組み立てていく。それを楽しみにまた色んな人が集って来ると。
自分たちが作った杉の手すりは毎年自分たちでメンテナンスするということで、自分たちの物作り、自分たちが作った地域、自分たちが作ったものを愛していくという物語が出来上がってきたということなんですよね。
つまりそれはどういうことかというと、地域の風景とか地域のことを、杉を使って再生させていくっていう物語ですよね。それは簡単で便利で安い物作りではなくて、地域にある素材を自分たちの日常の生活の中へどう呼び戻していくかっていうことの始まりのような気がするんですよね。
日本全国スギダラケ倶楽部では、杉を使った家具や、お家で、杉がいっぱいあることを「スギダラ」とか「スギダラな」と言うそうですが、次回も引き続き、そんな「スギダラ」な活動についてご紹介します。
【番組内でのオンエア曲】
•MY COLOR / Perfume
•炎と森のカーニバル / SEKAI NO OWARI
名前を聴いただけではなんのことやら分からない「日本全国スギダラケ倶楽部」、実は日本全国に1800人のメンバーがいて日々、なにやら活動を続けているらしいんです・・・

というわけでお話を伺ったのは、日本全国スギダラケ倶楽部の中心人物、若杉浩一さん。
若杉さんは、オフィス家具などで知られる株式会社内田洋行の、関連会社のデザイナー。オフィスのIT関連など様々なデザインを手掛ける方です。
ですから元々、杉を使った家具とは、あまり関係ないお仕事をしています。それが、どうして杉に興味を持ち、スギダラケ倶楽部なんて不思議な団体を立ち上げたんでしょうか。
◆日本全国スギダラケ倶楽部をはじめたきっかけ
僕は熊本県の天草の出身なんですが、故郷には山があって杉があって、僕の親父もそうですが、その山の恵みで将来はなんとか生活ができるんじゃないかと、夢と希望を持って植林したり手入れしたりしていたんです。
僕は東京に出てきてプロダクトデザインの仕事をするようになったわけですが、企業が生きるためのデザインはあるんですが、地域のためのデザインとか地方のためのデザイン、特に林業のためのデザインなんてこれぽっちもなくて、自分の故郷はどんどん廃れていくっていう現象がありました。つまり物を売るためのデザインが進化すればするほど、我が故郷は衰退していくと感じたんです。
故郷には杉が植林されていたわけですが、林業がどんどん廃れていって国産材が使われなくなってるっていう現状を知ったときに、それがこの日本の今の産業の状況とか、社会の状況とか地域の状況を代表している1つじゃないかって気がしました。
そこで、色んな地域の山にたくさんあるこの杉という財産を厄介者にするか、未来の資源にするかは僕たちの手にかかっているのだから、なんとか社会で使えるものにするデザインができるんじゃないかっていうようなことを思い立って、僕の仲間のデザイナーと居酒屋で突然「やろうじゃないか」「おー!」なんて思ってしまったっていうのが始まりなんですよ。
かつては、木材需要の高まりを受けて杉の植林が盛んに行われていましたが、その後杉に代わる建築材や、安い輸入材が登場。植えられた杉のほうがコストがかかるようになり、日本の杉は使われなくなったんですね。
そんな中、若杉さんとデザイナー仲間の方々が最初は「居酒屋で思いついた」という、日本全国スギダラケ倶楽部、ずいぶん軽いノリで立ち上がったこの団体は設立から10年を経て、今や全国16支部・会員数1800人! さらにその勢力を広げています。
どうして、こんなに人が集まるのでしょう。
◆日本全国スギダラケ倶楽部の活動の広がり
国産の杉材って高いんじゃないの?って言われてますけども、実はすごく安いんですよ。例えば1.5mくらいの角材は1本2000円もしない。だからなんか計算してみると野菜より安いんじゃないかって思うくらいの安さですよ。1本育てるのに50年くらいかかりますからね。大根だったら1年もかからないでしょ?だから50年もかかって2000円いかないなんて、これ大根以下ですよね。
そのくらいの値段なのになぜか高いと言われているということを考えたときに、その1本の角材が、例えばデザインによって素敵な椅子に変わったとしたら、なにか新しい価値が生まれるんじゃないかと思って、たくさん家具をデザインしてみたんですよ。それがなかなか評判が良くて結構売れたんですよね。展示会で売ったりしたんですけど。
ところが買ってくれる人は素敵っていってくれるんですけども、これを企業に持って行って製品にしようとすると、クレームになるので製品にならないということなんですよね。木は色も違いますし、やわらかいので傷が入ったりもするし、ときどき割れたりする。それでこれは商品にならないっていうことなんですよ。工業製品は割れたり、色が違ったりしませんよね。それが大原則じゃないですか。だから売れない、製品にならないっていう矛盾があることわかりました。
だったらそういうものを売れるように、色んな地域に行って仲間を作っていこうじゃないかっていうのがスギダラクラブの人が増えていった始まりなのかもしれませんね。
とにかくまずは日本中のスギの産地回ろうと考え、秋田に行ったり、吉野に行ったり宮崎に行ったり、とにかく行こうっていうことでみんなで何人かで行くわけです。そうすると、日本全国スギダラケクラブって意味不明な、なんかあやしい名前じゃないですか。だから最初はむこうもちょっと引いた感じなんですけれども、一緒にお酒を飲んだり、懇親会をやって、場合によっては荒れた山の整備なんかをお手伝いしたりとかということから始まって、だんだん仲良くなっていきました。そうすると色々なお願いごと困りごとが地域にはあるもんですから、じゃあ町づくりのお手伝いしようかとか、その地域が困っていることを僕たちがお手伝いするっていうことから活動が広がっていきました。
こういう活動、若杉さんは「仕事として」やっているわけではありません。週末を利用して、手弁当で、いわば「部活動」の感覚で続けているそうなんです。
そして、こうした活動が実を結んだ一つの例があります。それが、宮崎県北方町上崎地区。この小さな集落で、2006年に作られた「上崎橋」という橋にまつわるエピソードです。
◆自分たちが作ったものを愛していくという物語
例えばある村に念願だった橋が掛かるとします。だけどそれが土木工事として突然出来上がるのもおもしろくない。そこで、その地域の人たちと行政と一緒になって、その橋が作られていくっていうプロセスを作ろうじゃないかっていうようなことで、自分たちの地元の山の木をみんなで切って、村の人たちと県の人たちとスギダラケクラブのメンバーと三つ巴になって橋の手すりを、木を使って取りつけてみんなでお祝いするみたいなことをします。やっぱり自分たちが作って、愛すべき素材の中に杉があって、小学生の子供たちからおじいちゃんまで一緒になって取りつけたんだよっていう物語をつくるんです。それによってこの上崎橋の下に住民たちが花を植えて、春には菜の花、秋にはコスモスが咲くようになり、そこが観光地になってきたんですよ。
何もなかった村が、自分たちがまちづくりに参加することによって、今度は人を呼ぼうとコスモスを植えたり菜の花を植えたり、そこでイベントを組み立てていく。それを楽しみにまた色んな人が集って来ると。
自分たちが作った杉の手すりは毎年自分たちでメンテナンスするということで、自分たちの物作り、自分たちが作った地域、自分たちが作ったものを愛していくという物語が出来上がってきたということなんですよね。
つまりそれはどういうことかというと、地域の風景とか地域のことを、杉を使って再生させていくっていう物語ですよね。それは簡単で便利で安い物作りではなくて、地域にある素材を自分たちの日常の生活の中へどう呼び戻していくかっていうことの始まりのような気がするんですよね。
日本全国スギダラケ倶楽部では、杉を使った家具や、お家で、杉がいっぱいあることを「スギダラ」とか「スギダラな」と言うそうですが、次回も引き続き、そんな「スギダラ」な活動についてご紹介します。
【番組内でのオンエア曲】
•MY COLOR / Perfume
•炎と森のカーニバル / SEKAI NO OWARI