- 2014.02.23
C.W.ニコルさんの森作り
今週は作家で環境活動家のC.W.ニコルさんのインタビューをお届けします。

ニコルさんが長野県の黒姫で取り組む「アファンの森」の森づくりは、以前にもご紹介しましたが、ニコルさんは今も休むことなくこの活動を続けています。
イギリス・ウェールズ出身のニコルさんが日本を訪れるようになったのは今からおよそ50年前。元々は空手や柔道の修業をするのが目的だったといいます。
それが黒姫に移住して、森の再生に取り組むまでになったきっかけは、若い頃に見た日本独特の風景、「里山」でした。
◆森づくりのきっかけ~C.W.ニコルさん
日本人はずっと自然を大事にしてきた民族ですが、里山と呼ばれる雑木林の手入れ、使い方は世界一素晴らしかったんですね。僕が最初に日本に来たのは1962年でしたが、当時もその文化が残っていました。しかしその後、石油が入ってくるようになって以降、放置されるようになってしまいました。僕はそういう森を自分のお金で買って手入れを始めたんです。
日本の昔からの原風景「里山」。
里山があり、その里山から流れる健康的な小川があり、そして小川から水をひいた田んぼがある。ニコルさんはこれは弥生時代から続く日本の文化だったといいます。
その風景を取り戻すため、ニコルさんは30年前に黒姫に移住。森に「手を入れる」ことで、里山を見事に再生させました。
◆里山の森づくり~C.W.ニコルさん
ブナの木などの落葉樹は、若いうちに切ると、切り株からまた芽が出るんです。蘖(ひこばえ)といいますが、里山では30センチ、40センチの太さになる度にこれを切って、炭をつくったり、薪にしたり、しいたけを育てる榾木(ほだ木)にしたりしていました。そうしないと木が混んてしまい、下の方に光が届かず、植物が死んでしまいます。そうすると、下に生物がいなくなってしまいますから、鷹やフクロウなどの大きな鳥もいなくなってしまいます。
そういう状態の森を手入れするのは、基本的には簡単な事です。元気な木を残して、病気になった木を間伐する、10パーセントの光が下に届くようにするんです。そうすると地面が緑になり、いろんな生物が戻ってきます。光を入れるということは、木と木の間に間合いができて、木が伸びる場所ができるんです。木が元気になればドングリなどの木の実が増えて、動物が戻ってきます。クマ、イノシシ、鹿、キツネ、タヌキ、アナグマ、テン、イタチ、リス、フクロウ…。クマが生きていける森ということは、色々な食べ物があるということです。
それに、動物の胃腸のなかに大事な菌があるんです。その菌は土の中の微生物を健康にし、きのこがたくさん出るようになります。
ですから、利用しながら森を良くするということは、健康と経済にとてもいいことだと思うんです。
ニコルさんは森をもとに戻すのは簡単だとおっしゃっていますが、やっぱりこれは経験があっていえることですよね。
またニコルさんは、木と木の間に間合いをつくってあげるとおっしゃっていましたが、つまり間伐をするということです。その結果、アファンの森は30年かけて生まれ変わり、7種類しか存在しなかった山菜が、いまでは137種類に。漢方に使う植物が196種類、絶滅危惧種は53種類にまでなっています。
そして、アファンの森財団は日本の家具メーカーとのコラボで、新たなプロジェクトをスタートさせています。
◆国有林の間伐~C.W.ニコルさん
アファンの森の土地のすぐとなりに国有林がありますが、貧弱で、暗くてどうしようもない状態でした。三十数年手入れをしていないので、本当はドラム缶くらいの太さになっているはずの木が僕の首くらいしかありません。それを間伐して光を入れて残った木を立派な木に育てるんです。下に光が届くようにしたら、半年で11種類の植物が見られるようになりました。そうするといろいろな生物が戻ってきて、木もドラム缶くらいの太さになり、材木としての価値も上がります。重機を森に入れたくなかったので、間伐した木の運搬には遠野から馬を借りました。馬を使って丸太を出す、馬搬ですね。馬はよく働くし、地面も傷めません。
馬を使って運びだした木ということで、馬の鞍のイメージで椅子をつくりました。馬搬で出した木材で一流の家具をつくるのは、これが初めてじゃないですかね。
岡村製作所という家具メーカーと共同でつくったのが「KURA」という名前のスツール(椅子)です。間伐材を使っていますし、その運搬も馬を使っているので、森を傷つけません。森を上手に活用し、里山を育てることにもつながるわけです。
ぜひ岡村製作所のサイトを見てみてください。馬が木を運んでいる姿などもみることができます。このスツール、座る部分は馬の鞍のイメージで、留め金には蹄鉄のデザインをあしらうなど、とてもカッコいい椅子です。ニコルさんは、自分の上に、さらにお相撲さんが座っても壊れないと、誇らしげに話していました。
この売上の一部は森林再生に活用されるそうです。
そして、馬搬は森を傷つけないだけでなく、馬の排泄物がそのまま森の栄養になるなど、様々なメリットがあるとニコルさんはいいます。
◆馬搬~C.W.ニコルさん
現在は馬搬をやっている人は6人くらいしかいません。ですから増やさなければいけないんです。1980年のイギリスでは、馬搬で丸太を出す専門家は20名くらいでしたが、今は70もの会社があります。国立公園などでは、木が病気になるなどの理由で伐採して外に出さなければならない時、自然を破壊しないよう、馬を使い始めました。
また、馬を使って運搬をしていると、人を呼び寄せる効果があります。イギリスでは、どこにでも散歩道があり、だれでも通ることができますが、地主が木を伐採していると反対運動が起きることがあります。しかし、馬を使って作業をしていると、周りの人が寄ってきて話しかけてくるので、馬の話題ををきっかけに両者の間でよくコミュニケーションがとれ、反対運動もほとんど起きないそうです。我々が馬搬で間伐をしている時も大勢の人が見に来ました。お祭りのようでした。
ニコルさんの、馬を使っていると周りの人が話しかけてくるというお話、よくわかりますね。確かに、馬がいると話しかけてみたくなります。
次回もニコルさんのインタビューの続き、宮城県東松島市で取り組む「森の学校」づくりのお話をお届けします。
【番組内でのオンエア曲】
・Baby I / Ariana Grande
・Passage / 山崎まさよし

ニコルさんが長野県の黒姫で取り組む「アファンの森」の森づくりは、以前にもご紹介しましたが、ニコルさんは今も休むことなくこの活動を続けています。
イギリス・ウェールズ出身のニコルさんが日本を訪れるようになったのは今からおよそ50年前。元々は空手や柔道の修業をするのが目的だったといいます。
それが黒姫に移住して、森の再生に取り組むまでになったきっかけは、若い頃に見た日本独特の風景、「里山」でした。
◆森づくりのきっかけ~C.W.ニコルさん
日本人はずっと自然を大事にしてきた民族ですが、里山と呼ばれる雑木林の手入れ、使い方は世界一素晴らしかったんですね。僕が最初に日本に来たのは1962年でしたが、当時もその文化が残っていました。しかしその後、石油が入ってくるようになって以降、放置されるようになってしまいました。僕はそういう森を自分のお金で買って手入れを始めたんです。
日本の昔からの原風景「里山」。
里山があり、その里山から流れる健康的な小川があり、そして小川から水をひいた田んぼがある。ニコルさんはこれは弥生時代から続く日本の文化だったといいます。
その風景を取り戻すため、ニコルさんは30年前に黒姫に移住。森に「手を入れる」ことで、里山を見事に再生させました。
◆里山の森づくり~C.W.ニコルさん
ブナの木などの落葉樹は、若いうちに切ると、切り株からまた芽が出るんです。蘖(ひこばえ)といいますが、里山では30センチ、40センチの太さになる度にこれを切って、炭をつくったり、薪にしたり、しいたけを育てる榾木(ほだ木)にしたりしていました。そうしないと木が混んてしまい、下の方に光が届かず、植物が死んでしまいます。そうすると、下に生物がいなくなってしまいますから、鷹やフクロウなどの大きな鳥もいなくなってしまいます。
そういう状態の森を手入れするのは、基本的には簡単な事です。元気な木を残して、病気になった木を間伐する、10パーセントの光が下に届くようにするんです。そうすると地面が緑になり、いろんな生物が戻ってきます。光を入れるということは、木と木の間に間合いができて、木が伸びる場所ができるんです。木が元気になればドングリなどの木の実が増えて、動物が戻ってきます。クマ、イノシシ、鹿、キツネ、タヌキ、アナグマ、テン、イタチ、リス、フクロウ…。クマが生きていける森ということは、色々な食べ物があるということです。
それに、動物の胃腸のなかに大事な菌があるんです。その菌は土の中の微生物を健康にし、きのこがたくさん出るようになります。
ですから、利用しながら森を良くするということは、健康と経済にとてもいいことだと思うんです。
ニコルさんは森をもとに戻すのは簡単だとおっしゃっていますが、やっぱりこれは経験があっていえることですよね。
またニコルさんは、木と木の間に間合いをつくってあげるとおっしゃっていましたが、つまり間伐をするということです。その結果、アファンの森は30年かけて生まれ変わり、7種類しか存在しなかった山菜が、いまでは137種類に。漢方に使う植物が196種類、絶滅危惧種は53種類にまでなっています。
そして、アファンの森財団は日本の家具メーカーとのコラボで、新たなプロジェクトをスタートさせています。
◆国有林の間伐~C.W.ニコルさん
アファンの森の土地のすぐとなりに国有林がありますが、貧弱で、暗くてどうしようもない状態でした。三十数年手入れをしていないので、本当はドラム缶くらいの太さになっているはずの木が僕の首くらいしかありません。それを間伐して光を入れて残った木を立派な木に育てるんです。下に光が届くようにしたら、半年で11種類の植物が見られるようになりました。そうするといろいろな生物が戻ってきて、木もドラム缶くらいの太さになり、材木としての価値も上がります。重機を森に入れたくなかったので、間伐した木の運搬には遠野から馬を借りました。馬を使って丸太を出す、馬搬ですね。馬はよく働くし、地面も傷めません。
馬を使って運びだした木ということで、馬の鞍のイメージで椅子をつくりました。馬搬で出した木材で一流の家具をつくるのは、これが初めてじゃないですかね。
岡村製作所という家具メーカーと共同でつくったのが「KURA」という名前のスツール(椅子)です。間伐材を使っていますし、その運搬も馬を使っているので、森を傷つけません。森を上手に活用し、里山を育てることにもつながるわけです。
ぜひ岡村製作所のサイトを見てみてください。馬が木を運んでいる姿などもみることができます。このスツール、座る部分は馬の鞍のイメージで、留め金には蹄鉄のデザインをあしらうなど、とてもカッコいい椅子です。ニコルさんは、自分の上に、さらにお相撲さんが座っても壊れないと、誇らしげに話していました。
この売上の一部は森林再生に活用されるそうです。
そして、馬搬は森を傷つけないだけでなく、馬の排泄物がそのまま森の栄養になるなど、様々なメリットがあるとニコルさんはいいます。
◆馬搬~C.W.ニコルさん
現在は馬搬をやっている人は6人くらいしかいません。ですから増やさなければいけないんです。1980年のイギリスでは、馬搬で丸太を出す専門家は20名くらいでしたが、今は70もの会社があります。国立公園などでは、木が病気になるなどの理由で伐採して外に出さなければならない時、自然を破壊しないよう、馬を使い始めました。
また、馬を使って運搬をしていると、人を呼び寄せる効果があります。イギリスでは、どこにでも散歩道があり、だれでも通ることができますが、地主が木を伐採していると反対運動が起きることがあります。しかし、馬を使って作業をしていると、周りの人が寄ってきて話しかけてくるので、馬の話題ををきっかけに両者の間でよくコミュニケーションがとれ、反対運動もほとんど起きないそうです。我々が馬搬で間伐をしている時も大勢の人が見に来ました。お祭りのようでした。
ニコルさんの、馬を使っていると周りの人が話しかけてくるというお話、よくわかりますね。確かに、馬がいると話しかけてみたくなります。
次回もニコルさんのインタビューの続き、宮城県東松島市で取り組む「森の学校」づくりのお話をお届けします。
【番組内でのオンエア曲】
・Baby I / Ariana Grande
・Passage / 山崎まさよし