上原ひろみさんが語る日常、そしてHiromi’s Sonicwonderのこと
前回お迎えしたのは、2021年の東京オリンピック開会式の年。そこから3年半の間にも、ライブ活動、映画音楽、新プロジェクト「Hiromi’s Sonicwonder」の結成など、ますます精力的に活動されています。
今回は、彼女の日常や音楽への向き合い方、そして最新アルバム『OUT THERE』に込めた思いをうかがいました。
■ 東京とニューヨーク、2つの拠点と朝のルーティン
現在、上原さんは東京とニューヨークを拠点に生活されている上原さん。
週末やオフの日の朝は、必ず「豆を挽いてコーヒーを淹れる」ことから始めているのだとか。
ピアノにはほぼ毎日触れており、作曲や“遊び弾き”を含めると、1日中ピアノと向き合っている日もあるそうです。
■ ライブ再開と「Hiromi’s Sonicwonder」
2022年以降、ライブ活動が本格的に再開し、再び世界中を旅する日々を過ごされている上原さん。
今回最新アルバムをリリースされたのが、4人編成のバンド「Hiromi’s Sonicwonder」です。
ベース:アドリアン・フェロー
ドラム:ジーン・コイ
トランペット:アダム・オファリル
アダムには、「会った瞬間、“何か起こる”と感じたんです。すぐに“ぜひ一緒にやってほしい”とお願いしました」
という上原さん。音楽での相性は、日常の会話ととても似ているそうで
「価値観や趣味が違っても、音で通じ合えればいい。それが音楽の面白さです」と語ってくださいました。
■ “化学反応”を信じて音を交わす
Hiromi’s Sonicwonderでは、ライブ中に互いの出方に即興で反応しながら、音を膨らませていく演奏が展開されます。
「“そう来たか!”という予想外の展開に、みんなニヤニヤしながら応じています。まるで音楽で会話をしているよう」
年齢や国籍が違っても「通じ合う感覚」があれば、音楽は成立する――。
上原さんはその“ケミストリー”を何よりも大切にしていると話します。
■ キーボードだからこそ、客席と“目が合う”
ライブでの上原さんは、体全体で音楽を表現しているのが印象的。
キーボードを演奏する際は、観客と正面で向き合うことが多く、お役さんの反応がよく見えるのだとか。
「演奏中に、“この子、今ドラムに恋をしたな”っていう瞬間があるんです。目の輝きや表情から伝わってきて、こちらも嬉しくなります」
■ ニューアルバム『OUT THERE』に込めた思い
2024年4月4日にリリースされたニューアルバム『OUT THERE』は、Hiromi’s Sonicwonderとしての2作目。
「今ここではないどこか”に向かって進んでいくような、ポジティブな気持ちを込めました」
という上原さん。
1作目では理想のメンバーを探して曲を作ったのに対し、今回はメンバーと演奏する前提で曲を書いたという違いも。
「まるで“キャスティングが決まってから脚本を書く”ような感覚でした」とお話しくださいました。
音楽で世界を旅しながら、聴く人と“音で会話”をしている上原ひろみさん。
ニューアルバム『OUT THERE』、ぜひチェックしてみてください!